遺伝屋ブログ

酒とカメラとアウトドアの好きな大学研究者です。遺伝学で飯食ってます(最近ちょっと生化学教えてます)。

とことんやったもんが勝ち

2014-01-27 23:57:50 | BIONEWS
今日は冷えましたねー、市場が。(笑)

種の手掛かり遺伝子転移=藻類で初発見―海洋機構(時事通信) - goo ニュース
生物の分類は、形態や生理機能、性的交配可能性とか、まあそういうとっても「生物的な」要素でなされてたんで、分類学の世界ってけっこう門閥ってのがあったんですが、現代はリボソームRNAの配列でやっちゃいます。まあ、そこに行き着くまでは、全ゲノムのハイブリダイゼーションとかいろいろ試みられたんですが、「リボソームでいいんじゃね?」ってなことに落ち着いていてますです。そんなわけで、この学問は今は細々としたもんで、生物の多様性よりも分類学者の方が危機にひんしていたりします。(笑・・・えない)
この研究は「リボソームRNA配列で決めるってのが、ホントにいいのか?」という、ちゃぶ台をひっくり返すようなインパクトのある研究なのです。
それは・・・「上甑島の貝池の泥から採取した特殊な藻類のDNAを調べたところ、たんぱく質を合成する細胞小器官「リボソーム」を生み出す遺伝子の一つが2種類あり、うち1種類は別の微生物から転移して来たことが分かった。」ということ。細菌などの原核生物では転移する例が知られていたが、藻類や動植物の真核生物で確認されたのは初めてだそうな。あのね、藻類の細胞壁はけっこう分厚いよ。能動的にそういうシステムがあるって解釈しないといけないじゃない。
んじゃ、今までの分類はなんだったんだ・・・・orz これからは、単純にリボソームRNAの配列を決めても、その環境中の近縁種の配列も調べないとあかんよなぁ。

微生物の分類学は、産業用にまだ重要なんですよ。種が違うと特許で利用法からなんからおさえることが出来るんです。だから、ヤクルトや協和発酵や宝酒造や味の素等の会社はものすごく充実したタイプカルチャーコレクションを持ってます。ATCCという大組織を作って国家レベルで力をいれている米国には到底かないませんがね・・・。

カエルの合唱:「隣同士のカエルは交互に鳴く」法則確認(毎日新聞)
土佐の実家は両側を田んぼに挟まれているので、何となくそう感じてカエルの合唱を聞いていましたが、聞き流してましたですよ。うかつだった!
理化学研と京大の研究グループは、カエルの鳴き声に合わせてLEDライトが点滅する装置「カエルホタル」を独自に開発。島根県・隠岐島の水田に装置40台を設置して点滅を動画で撮影し、鳴き声のパターンを数学理論を使って解析した。その結果、6~8匹の群れの中で1匹が鳴き始めると他のカエルも鳴き始める。カエルは1秒間に3回鳴くが、隣同士のカエルはタイミングをずらしている。そして、1匹を隔てたカエル同士は同時に鳴くことがある--などを実証しました。
研究方法がユニークですね。そして、とっても科学的だ♪ 

蛍の光り方もそうじゃないかなぁ・・・そんな気がします。

「あたり前のようなことでも大まじめに叡智を集めて分析する」これが科学の醍醐味です。

本日のお酒:KIRIN 一番搾り STOUT + 沖縄泡盛 蔵 古酒
コメント
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