想いをかたちに

日々起こること、仕事のこと、気になること、
小さなことから気ままにつれづれに書いていきます。

北欧へ フィンランドへ

2017-09-08 | 建築探訪



みなさんこんばんは

昨夜はフェリーに乗り込み、スウェーデン・ストックホルムから
フィンランド・トゥルクへ、フェリー泊の移動
船室に泊まるというのは、記憶がある限り初めて、それだけでワクワクする体験でした
その船室に二人で泊まったのですが、シャワートイレ含め、
コンパクトに非常に良くできていて、もう少し幅が狭くてもいいかと思わせるぐらいでした
以前泊まったことがあるフランス・マルセイユ コルビュジェのユニテダビデシオンと、
そのスケール感、機能を考えた作りなど、何か通じるものを感じました 

朝下船し、最初の目的地へ 



1941年竣工 ブリュッグマン設計のトゥルクの礼拝堂です。
私がアメリカやヨーロッパの教会を見てきた経験では、
先日も書きました通り、教会や礼拝堂は、左右対称という固定概念がありました。
しかしながらここは、平面的にも断面的にもほぼ全てと言っていいほど、非対称。
椅子に座って、その理由を想像してみると、
スウェーデンでもそうでしたが、人は亡くなったら森に帰るという認識が北欧にはあり、
祭壇の十字架と一緒に大事に考えられたのが、その森。
その「森」への意識により、外の森との一体化を図ったのではないかと思います。
座ってみると、祭壇と窓、出入り口が正面となります。
人は、正面から祭壇へ向かい、礼拝し、森への出入り口から出て森へ帰る。
そんな姿が想像できました。
光の入り方など、すべてがバランスよく空間として構成され、素晴らしい教会でした。






また、神父様達が控えるバックヤードも、いい空間でした。
窓の配置から、置かれた家具、そこから見える景色、入る光、
ココチ良さそうな居場所がそこにはありました。




そして移動し、アールト設計の住宅、マイレア邸へ

特徴的な玄関ポーチが、私たちを迎えてくれました。
残念ながら、内部は撮影禁止。一生懸命気になった点をスケッチしました。

写真で見た印象は、結構内部空間が大きい印象があったのですが、
玄関入り、曲線の壁と階段に誘導されたリビングは、
広すぎない、ちょうどいい、しっくりくる広さでした。

なおかつ、窓の位置や暖炉、家具の場所など、その設えにより、
人の居場所がいくつも用意されていました。

またそのための構造・設備を考えた納まりや素材・色など、
すべてがバランスよく計画されており、
まさに「心地いい場所の集合体」となっていました。



そして帰り、私を迎えてくれた玄関ポーチに出ると、
そこには森の一部に屋根をかけたかのような空間が広がっていました。
雨も降っていたこともあり、より緑は濃く、雨の雫も手伝ってそう感じました。

スケッチで、その雰囲気が伝われば幸いです。







このふたつの建築を通して思うことは、
そこに物語が想像できることです。
建築家が意図したことかどうかはわかりませんが、
少なくとも、訪れた私はそこに物語を想像し、その空間に心地よさを感じたわけです。

作り手として、物語を感じてもらえるように、
設計する建築に、自分で物語をつむぐことが大事だと改めて感じました 。

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北欧へ アスプルンド「夏の家」

2017-09-07 | 建築探訪

最初の画像は、偶然、私のスケッチブックに丸谷先生が描いてくださった貴重なスケッチ
これもまた非常に貴重な体験でした 

写真はデジカメでも撮っているのですが、読み込めずiphoneの写真です
また、おいおい入れ替えていきたいと思います


夏の家、まずアローチから 

少し、苔むしたシダ植物が生える林、
信州の里山の景色にも似た山の中を歩いて行くと

木々の間に板葺きの屋根が見えてきます
そして白い外壁で傾斜地に埋まりこむかのように立つ「夏の家」が姿を現します

周りの環境と違和感なく溶け込み、とにかく、佇まいがいい


最初は「なんでこんな山の中にアスプルンドは別荘を作ったんだろう」と疑問に思いました

建物に近づき右を見ると、そこには入り江になった海がある素晴らしい景色が広がっていました
ロケーション、まさしくこんなところがあったら、といった最高のところです

しかしながら、まず疑問に感じたのは、その最高の景色に対して、
建物の長い面を向けてではなく、なぜ短い面を向けて建てているのかとういうことです 



この気持ち良さそうな軒下空間からも海は見えません。
シンボルツリーがあり海が見える庭を見ることはできますが

 

海に開く窓も、外から見た印象としては小さい





中に入り、手作りの美味しいパイと、コーヒー・紅茶をいただきながら、

暖炉のあるリビングで、ご夫妻に自己紹介を各自させていただきながら、
お話も聞かせていただきました

そしてそのリビングにあるのが、海に向かった窓です
物語が繋がり、全てに納得できました








佇まい 開放感 落ち着き 肌触り 最高のココチ良さ

ここに来て改めて実感させられました
また、自分の考えてきたこと、目指しているものを肯定してもらえたような
そんな感覚になりました

私にとって、本当に貴重で大切な体験となりました

Charlottaさんご夫妻はじめ、皆様、そしてこの建築に、
心から感謝いたします 




 

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北欧へ 3日目

2017-09-07 | 建築探訪


みなさん、こんばんは

今朝は、丸谷先生に教わったホテル近くの教会見学からスタートしました。



1枚目の写真の奥に2枚目の写真の空間があります。
おそらく古い部分に増築したと思われますが、
古い部分と新しい部分が見事にバランスよく繋がっています。
また、以前の認識から教会は左右対称という固定概念がありましたが、
今回は非対称で空間に奥行きを感じさせてくれました。
設計力の高さに感心させられました。



その後、午前はアスプルンドの「夏の家」に出かけました。
アスプルンドの孫娘さん夫婦がオーナーで、管理されているのですが、
その素晴らしい建築とランドスケープ、そしておもてなしに、
本当に素晴らしい時間を過ごさせていただきました。
詳しくはこの後に。



午後は旧市街と、ストックホルム図書館。

こちらも、いつかは見てみたかった憧れの丸い閲覧室が有名な図書館。
残念ながら撮った内部の写真を公開するには、
特別な許可がいるということで載せられませんが、
その内部空間は、まさしく未体験の空間。
外部から見るとやはり固い印象は免れなかったのですが、
高窓から柔らかい光が入り、
まさしく本に囲まれた本当に特別な空間でした。

その円の外側もどうなっているか気になったのですが、
閲覧室の円に沿って天井低くこもるスペースがありました。
長く読書に没頭できそうな空間、ここち良かったです。



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北欧へ 2日目

2017-09-06 | 建築探訪

北欧 2日目 ストックホルムで迎える朝です。
朝は散歩から。やはりせっかく来たから街を見る。感じる。
通勤の方々が多い中、カメラを構え、ストックホルム市庁舎が対岸が見えるところまで。
街並みはやはりすばらしい。というか今まで見て来たヨーロッパの街並みでも、
これは?!という街並みにそぐわない建物はなく、全体的に洗練されている印象でした。



そして本日1件目は、アスプルンドのスカンディア・シネマ
今は、特別なイベント以外使うことがなく、通常空いていないのですが、
そこは、特別なご縁があり、私どもだけのために特別に開けていただき、
見せていただきました。

街をイメージし、そこから各家に行くように個室空間への演出があったり、
スケールも、ヒューマンスケールで随所に気の利いた設えがあり、
とても居心地のいいシアターでした。 




2件目は、ノーベル賞の晩餐会で有名なストックホルム市庁舎。
アスプルンドの先生、エストベリの設計で1901年に、若手職人の手で作られた建物です。

まず、正面の門から中庭に入り、目の前に広がる広場から川辺までの抜け、一体感。
なんとなく、ベネツィアのサンマルコ広場を思い起こしましたが、
ノーベル賞の晩餐会が行われるホールは、もともと中庭にする設計で、
その中庭は、当時エストベリが視察をし気に入ったサン・マルコ広場のような中庭を作りたかった
とのこと。



いつの時代も、建築の設計にはどこか、参考にするものがあるのだと改めて感じました。
イメージを受け継ぐ、もしくは真似して、よりいい空間ができればいいというだと思います。
そのために、いつの時代も建築に携わる人は、やはり幾つになっても、
世界の街、名建築を見てまわる必要があるのだと思います。 
 




そして、3件目は、アスプルンドの森の墓地。
私にとって一つの憧れの地でした。
実際訪れ、そのランドスケープ(外部計画)の素晴らしさを感じましたが、
実はそこは、同年のレヴェレンツが共同設計者として担当していたとのこと。
これもまた、お互いを生かし、共同で行うことの意味を改めて感じました。

もう一つ深く感心させられたのは、
大切な人の死という言葉にならない深い悲しみと向き合う人たちに対する
その場所としての二人の建築家としての本当に真摯な姿勢です。

森に帰ることを自然な流れであることを連想させるランドスケープと建物、
空間構成による光と陰、そして角を極力無くし、まわるいディテールによるその空間は、
「優しさ」を感じさせてくれ、松林のその松の足元にある墓地はなにか神々しく、
亡くなった方がそこで眠れてよかったとさえ感じさせてくれるのではないかと思いました。

なかなかは入れない、待合室や大礼拝堂、そして、森の斎場の内部まで見学できたことは、
非常にありがたいことでしたが、それもあってか、
そこまで思わされたのは、初めての体験でした。














このアングルで冬の写真のスライドが、18年前、最初に私がこの建築を知ったきっかけで、
見た瞬間に、ここに行ってみたいを思ったのを鮮明に覚えています。

 




最後に中は見れないということで外観でしたが、
その共同設計者、レヴェレ ンツ設計の教会を見ることができました。
ボリュームは佇まいよく抑えられ、そのレンガの表情は趣深く、
なんとも言えない表情をしている建築でした。 

 


.

夜はこの旅行でご一緒している方々のうち6人の方と、
スウェーデン料理が食べられる1908年創業の老舗レストランへ。
美味しいピッティパンナというジャガイモとお肉を炒めた上に目玉焼きをのせた料理と、
スウェーデンビールで、本日の見学の話、建築の潮流の話などで盛り上がり、
楽しいストックホルムの夜となりました。 

 

 

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北欧へ

2017-09-05 | 建築探訪

みなさん、こんばんは

本日から日本を離れ、
ドイツ・ミュンヘン経由で、スウェーデン・ストックホルムに来ています。 

学生時代に、益子義弘先生にスライドを見せていただいたアスプルンド、
そして、住宅に関わる人間としてその建築を体感しておきたかったアアールト、

今回念願叶って、丸谷博男先生コーディネートの
「今、改めて触れる北欧デザイン A.アールトとG.アスプルンド」
に参加させていただくことができました。



乗り換えで降りたミュンヘンの空港では、
vitra社のモバイル・PCのウェイティングコーナーがあり、目を引きました。
vitra社はスイスの家具会社ですが、
本社の周りには建築家がいくつかモデルルームも作って展示しているとのこと。 
早速、今回の旅行の意味を再確認させられました。

そして、日付変更線ギリギリ、 ストックホルムのホテルへ到着しました。

明日から、思いっきり、北欧デザインを体感し、吸収したいと思います。 


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