想いをかたちに

日々起こること、仕事のこと、気になること、
小さなことから気ままにつれづれに書いていきます。

居心地のよい、普段着の住宅

2023-02-20 | 建築探訪

みなさん、こんばんは

先週末は、住宅設計入門で、
中村好文さんの実例見学へ出かけてきました。

いづれも「中村好文 普通の住宅、普通の別荘
に載っている住宅3軒。

何か、有名人にでも会うような感覚での見学でした。
各お宅には、オーナー様もいてくださり、
その家に対する想いや使い勝手もお聞きでき、
大変貴重な時間でした。




本を持ちの方は、どの家かすぐわかるかと思いますが、
やはり、写真ではわからないプランニングの素晴らしさ、
様々な工夫、納まりがわかります。



もちろん、そこに座ってしかわからない感覚も、
現地に行くからこその体験です。
全てが、中村好文さんと、増田奏さんの解説つきで、
これもまたありがたいことです。


そして最後は、なんとオーナーが中村好文さん。
当初のオーナー様が、

「これこそが居心地のよい
 普段着の住宅」

と語られたその空間。
それは、私が常に目指しているもの。

本当に心地よく、
美味しいおもてなしと共に、
受講生の皆さん、中村さんとも色々お話ができ、
いつまでもそこにいたくなる空間でした。

その目標を、実際に体感でき、本当にいい勉強になりました。

ご興味がある方には、実際にお会いしたときに、
少しでもこの感動をお伝えできればと思います。

株式会社国興 国興ホーム
田中一興

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伊是名島 銘苅家

2023-02-17 | 建築探訪

みなさんこんにちは

今週は、ついに沖縄県伊是名島、銘苅家に伊礼さんと行ってきました

スライドを交え、お話は何回も聞いたことがありましたが、実物を体感するのは初めてです

 

その佇まい、建築フォルム、素材感、納まり、敷地との調和

改めて、建築はどのようにあるべきか、どのように設計するべきかを感じさせていただきました

 

軒先2100の母屋、軒先空間「雨端」

内部からの見え方は、軒裏が反射光で少し明るく、部屋の天井は暗い、

光のグラデーションが、外の景色をまた演出してくれます

外部の眩しさを調整しているかのようで、これも低い軒先の効果かと思います

伊礼さん、住宅デザイン学校の事務局、参加者の皆様、ありがとうございました

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すごい方々と”貴重な”建築視察

2019-09-15 | 建築探訪

みなさん、こんばんは

「時代は建築の時代から、庭の時代へ転換している」

と隈研吾さんが本で書いていて、

いかに庭や外部空間と建築をどう作るかが大事な今。

建築家伊礼さんと、造園家荻野さんと、

住宅デザイン学校のOB仲間と共に、

熱帯建築家ジェフリー·バワの建築を体感しに、スリランカへ来ました。

コーディネートは、バワの本を書いている山口由美さん、

ワクワクしないわけがありません!

機内、その本に目を通しながら、

自分でも何か新しい感覚を得られる予感が。

今日は丸一日かけて移動、モルディブ空港経由で、

ジェットウィング·ラグーンにたった今チェックイン、 

このホテルもちろん、バワの設計。

写真の空間は、夜でわかりにくいですが、すべてドアや窓がほぼない、半戸外。

いきなり、その空間に興奮してしまい、寝れません。

そんな時は、やはり実測。

こんなとこ来たら、寝る間を惜しんで!とみんな言ってました。

いい視察になりそうです。

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高山寺 石水院

2017-09-26 | 建築探訪



みなさんこんばんは

続けて、京都栂尾にある高山寺 石水院に訪れませした
これは、堀部さんの本「建築を気持ちで考える」を北欧に行く前に読んでいて、
そこに掲載されていた写真、文を読んで是非行って見たいと思っていました 

 

写真は撮影禁止ということで今回はスケッチとホームページからの写真を




KYOTRIP|京都観光おすすめスポット情報

遠くの山並みから、近くの山の木々の見え方、切り取り方が素晴らしく、
これは山の林の中に床が浮いているような感覚
初秋、紅葉前のさらに夕刻、なんとも言えない景色を体感できました
この寸法を体に入れようと平面と断面を短時間でできる限り拾いました

実はここ、よく教科書で見た鳥獣戯画のお寺、レプリカが飾ってありました


<高山寺公式ホームページより>

京都に行った際は是非、学校での授業を思い出すとともに、素晴らしい建築と景色を
御楽しみいただいたらどうでしょうか

お子様を連れて行くと、歴史の教科書がより身近に感じられ、
小さい頃から日本の素晴らしい建築を実際に味わうことができます
おすすめです

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栗林公園 掬月亭

2017-09-25 | 建築探訪



みなさん、こんばんは

香川県高松市に行く機会があり、朝起きて何かみたい建築なかったかな
と考え思い浮かんだのが、栗林公園の掬月亭でした

中村好文さんの本、意中の建築で読んで以来、気になっていましたし
伊礼さんがフェイスブックにもアップしていて、いつかはと思っていました
それは突然のひらめきと、突然の出会いでした

公園の中に入り横からアプローチ
植栽の陰に隠れていましたが、雨戸、障子が開けられ、向こうが抜けて見える感じ、
写真で見ていた空間を彷彿とさせるものでした
そして、軒先きがシャープで低く抑えられていて、佇まいがいい



そして、大茶屋の内部へ
まるで景色の中に、水辺に飛び出しているような開放的な空間  まさしく庭の中にいる感覚
ただ座っているだけでも、もちろん心地いいのですが、
ここで、茶会などが行われたら、何と気持ちいいだろうと感じました

このスッキリさ、ミースやコルビュジェの近代建築に通じるものがあります
近代建築の巨匠たちは、京都「桂離宮」に影響を受けたというのは、
中村好文さんはじめ、いろんな書籍で読んだことがありますが、
桂離宮を訪れた時よりも、ここでより実感しました
モダニズム、近代建築の源流は、日本の建築にあった



大茶屋ともう一つ、非常に心地よかったのが、一番奥にある茶室
海外からのお客様に押し出されるように奥へと進んだところに、この茶室はありました
6畳間のその空間は、正面に床の間と、丸窓、そこから切り取られた山の風景が心にくい
そして、左に障子に挟まれた庭園の緑
大茶屋の喧騒から離れ、当時の人たちもこの落ち着いた空間でゆっくりしたんだと想像できました

   

皆さんも、香川県高松に行かれた際は、ぜひこの空間を体感ください

他に高松市には丹下健三設計の県立体育館がありますが、
車で通りましたが未だ閉鎖中でした
耐震改修ができないほど難しい構造とは聞いてましたが、考えさせられます
同じ設計で県庁などもあります。こちらも一緒にご覧になると、
世界の近代建築に影響を与えた日本建築から、日本の近代建築を見ることができます
うどんとともにぜひ

  

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北欧へ 光と影 続き

2017-09-12 | 建築探訪



みなさんこんにちは

前回の続きですが、ここからは全てアールト設計です。

6.アールト大学 学生のためのホテル 学生寮
こちらは一見、開口部が特徴的でそちらに目がいきましたが、
建物を一周するとその配置、ボリューム設計に唸らされました
模型の写真もつけましたが、地形に沿ったカーブ、
また、アールトのボリュームをとにかく小さく感じさせるための工夫、
ただのカーブではなくS字にしたり、凹ませたり、
逆に、小さいボリュームをあえて飛び出させたり、
それにより、赤煉瓦の建物の重々しさが、軽減されていました
敷地に対する佇まい6層の建物とは思えないものでした
そして、ピロティと内部にトップライト、柔らかい光をおとしています

 
   
エントランスの写真は丸谷先生がアップしてくださいました
 

7.アールト大学 図書館
こちらは図書館という機能に対して、工夫された開口部の設計を体感することができました
トップライト、ハイサイドライトそして窓、断面的に光を柔らかく回す設計、
柔らかい光に包まれ、ここちいい図書館でした
そして、連続水平窓にはアアールトらしい本当に一部高さを変える設計が見られます
角を壁にしない納まりと相まって、動きが出て、煉瓦の重さ、硬さが和らいで、
佇まい良くなっているように感じました


      

  


8.アールト大学 オーディトリウム
こちらは、主張する象徴的な外観をし、大学のシンボルとなっている印象です
階段状、劇場の席のような部分では学生たちが授業を行っていました
内部は、この独特の断面により作られた窓から柔らかい光が、
座席と講師席にふりそそいでいました
聞く方もさることながら、喋る方も気持ちよく、喋りやすいのではないかと、
使い心地の良さを感じる空間でした


    

9.給水塔
参加者の方が、全体模型を見ていて発見した給水塔
アールトの作品集にちょっとだけ載っていたもの
コースには入っていませんでしたが、ぜひ見て見たいということで、回ってもらうことに
これも、今回ツアーの醍醐味。本日二つ目のコース外物件
それは、突然現れ、予想よりはるかに大きく、その造形とともに圧倒されました
これもアールト作品


  


10.厚生年金会館
この作品は、アールト大学からはなれ、ヘルシンキの街中にあるオフィス
こちらが有名なのは、図書館と食堂です
大学の図書館と違い、ここはトップライトのみ
ここには他とまた違った落ち着きがある雰囲気でここち良かったです
食堂はレベル差と開口部そしてツタにより、
ランチタイム、食事の時間をゆったり過ごせる空間となっていました
天井に見えるのは暖房の温熱パネル、機能のデザインもしっかり考えられていました
現在も約700人の方々が働くオフィスビル
外観についてはやはり、ボリュームを抑えることを意識した工夫の積み重ねがありました
使い続けられ、街の中で良さを増した建築がそこにはあるように感じました



    
     
   

11.フィンランディアホール
いよいよ最後の作品
このホールはアールト晩年の作、増築部分は奥さんが完成させたというもの
増築部分のうねる壁は、その前の木の枝ぶりからその形になったとのこと
森を大事にするお国柄がそんなところからも感じられました
ホールはエントランスは思った以上に低く、
階段を登ったホワイエで一気に開放感を味わえます
これが空間の明るさのメリハリ、より開放感が強調されます
ホール自体もアールトらしい、アンシンメトリー
音響については賛否両論あるそうです
街に対して閉じ、自然に対して開くという構成がしっかり取られ、
ホールとして大事な、日常の中の非日常を味わえるいい建築だと思いました
下の車回しだった部分は、囲われ、レストランになったとかで、
やはり時代、要請に合わせて建築をどう変化させていくか
それも今作り手に求められている重要な仕事だと改めて感じました

 

     

  


こうしてここにアップをさせてもらいましたが、
写真や話は知っていても、実際に見なくてはわからない、感じられない部分が多いと
改めて感じさせられることも多い視察でした。
改めて内容の濃い、本当に有意義な視察だったと感じます。
全体を通してまた振り返りたいと思いますが、
今回通じて、自然体、また、これでいいんだと改めて自分で再確認させていただくことも多く、
これからの仕事についても、生かしていきたいと思います。

長い記事を最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。 

 

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北欧へ 光と影

2017-09-11 | 建築探訪



みなさん、こんにちは

北欧視察最終日は、盛りだくさんの一日でした
教会建築4棟、大学施設5棟、年金会館、ホール、計11棟
そのうちアールト設計の建築が、6棟
締めくくりにふさわしい、ラストスパートです

様々な光と陰の形を、体験することができました
そして今まで体験したことないような空間体験をさせてもらいました

1.ラーヤサロ教会 2003 Kavi Jrävien and Merja Nieminen
木造の小屋組や、板張り、祭壇正面と横の赤いモニュメントも木です
その木の空間に入れる光は、3段レベル差のハイサイドライトと、
効果的に配置されたトップライトや窓です
木と日の温もりを感じる教会空間となっています
一つ、教会までのホワイエ空間(エントランスとホール)も、
写真のように周りの緑を意識できるようにガラス張りになっていましたが、
ここは暗いぐらいでもよかったのではないかと思いました
その方が教会内部の明るさ、温もりをより感じるのではないかと
メキシコ、バラガンのカプチン派教会は、全室は真っ暗、
扉を開けると一気に光に包まれる その時の感動は今でもはっきり覚えています 



    


2.Church of the Good Shepherd 2002  Juha Leiviskä
こちらの教会は、外観のレンガ造に対して、列柱空間を抜け中に入ると
真っ白な壁や柱、そして光を落とすガラスのキューブなので構成された空間
幸い晴れたり曇ったりし、光の強弱も体験できました
写真の通り、トップライトやスリッドは左右非対称、大きさもまちまち、
これにより、左上からのメインの光と右上のかげ、
そのコントラストの中に浮かぶペンダントの照明器具、光の雲を想像させます
電気を消し、光が強くなった瞬間は、綺麗でゾォっとしました



 


3.Myyrmäen Kirkko  1984  Juha Leiviskä
続けて同じ建築家レイヴィスカの作品
駅の横にあるこの教会は、森と線路の間に淡い色のレンガの壁を集めたように佇んでいる
これも、大きなボリュームを感じさせない手法の一つだと感じました
内部は、白い壁と柱、今度は白い壁、面と光の線を感じさせる空間
そして照明器具の光の雲、それを吊り下げるコードさえ空間を構成する線となり、
素晴らしい空間を作っていました



   



4.オタタニエミの教会 1957 1976 ヘイッキ & カイヤ・シレン
アールト大学の中にあるこの教会は、最初は1957年に完成し、
1976年に火災が起き、全焼したそうですが、学生などの要望で、
すぐに再建されたそうです 一つの教会がです
それはアプローチから中に入り、教会空間を体験し、
本当に愛される教会なんだとわかりました
そのように、何年経っても愛される建築を作りたいと感じました

 
    

5.デイポリセンター  ライリ&レイマ・ピュテラ
岩盤の自然な起伏の中にそれに沿わせるように建てられた大学施設
ちょっと内部に岩盤のような石の意匠が、もう少し自然というか
できればフランクロイドライトや、ジェフリーバワのように、
そのまま岩を残して、それを内装として表せればよかったと感じました
一つも同じサッシがなく、大工さんが大変苦労したとのこと
空間構成は、使いにくい部分もありそうですが、学生施設として面白かったです



 

まずここまでとし、続きは後日にさせていただきます

この後は、一気にアールト建築5棟です 

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北欧へ アールト自邸 アトリエ ほか

2017-09-10 | 建築探訪



みなさん、こんばんは。

本日のメインはヘルシンキにあるアールト自邸とアトリエです。

白く塗られたレンガと焦げ茶色の木の外壁が、
面としてずれて収まっているため、
ボリューム感はなく、佇まいよくそこにありました。
そして玄関も決して大げさでなく、木と石と緑でまとめられています。



初めは自宅にアトリエが併設されていて、
その吹き抜け空間から見学スタート。
想像していたより空間は大きくなく、しっくりくる大きさ。



一番奥、緑が綺麗に眺められるコーナーサッシの部分が、
アールトの席だったそうですが、本当はそこは奥さんの席。
実は当初の予定は一段上がった写真を撮っている位置だったとのことですが、
そこがここち良かったようです。
確かに気持ちよく、いい仕事ができそうなデスクでした。






そして自宅部分へ。



本の写真を見ていてひとつの気になっていたことがありました。
それは写真右上の梁の付け根、斜めの方立て。
案内してくれた方に聞いたのですが、
この建物は、レンガ造、木造、鉄筋コンクリート造など、
当初の事務所員の方に聞いてもいろんな構造混ざっていてはっきり言えないとのことです。
何れにしても構造的には必要だったのだろうと考えられます。

実際そこに立ってみると写真で見ていたよりは気にならない印象でしたが、
リビングへ入ってくる時は、次の写真のカットとなります。



外の鮮やかな緑に目が行くため、反対側の梁の端部は当然気になりません。
このことにより、気にせずそのままにしたのではないか。と一緒に見学行った方も話してらっしゃいました。

これはなるほど。と納得しました。
職業柄、空間の全てに目を配り、窓の反対側も気にして見ます。
しかしながらそこに住んでいる人、もしくは来た人はそこまで気になるでしょうか。
それよりも、そこを無理をせず安全性などもっと大事なところを優先する。
当然、何も気にかけなくていいわけではないですが、
いろんなことに置いてバランスを取れる、そんな高度な設計を見た気がします。



ダイニングについては、ここはフィンランド伝統の窓の納め方、
はめ殺しの大きな窓の横に縦長の換気用窓という形。
これにより、微妙にアンシンメトリーになり、空間に動きが出ます。
この椅子は、アールト本人が気に入ってイタリア・ベネツィアで購入した椅子。
これはどこでも使い続けるほど、気に入っていたようです。

 

そして、アトリエへ。



看板サインも、よく見ないとわからないぐらいの慎ましさ。

中に入ると、まず食堂「タベルナ」へ
これはイタリア語で食堂の意味。イタリア好きなのが伺えます。
ちなみに、私も西欧中心に11カ国一人旅した際、
どこが良かったか?と聞かれたら、あえていうならイタリアと話していたぐらいでした。



アトリエの空間は、ハイサイドライトと連続窓で構成されており、
柔らかい明るさで、落ち着きがある空間が演出されていました。
私もこんなアトリエ空間を作りたいと思いました。

ギャラリー空間については、照明器具や家具など色々と実験できるようになっていました。
この中にある柱は、文化の家のホールの柱と同じ形で、実験的に作っていたというのも、驚きました。
開口部は全て中庭を向き、その中庭はローマの円形劇場のようになっており、
実際にプレゼンテーションや打ち合わせをしていたそうですが、いろんな活動が想像されました。

その後はヘルシンキ駅周辺の美術館、音楽ホールがある近辺で、
自由見学しながら昼食。少し、ヘルシンキ市民の気分を味わえました。
駅はエリエル・サーリネンの作品。いい駅でした。
   

午後は、「文化の家」へ。
巨大なボリュームにならないよう形を工夫したり、仕上げをレンガと銅板にしたり、
その効果は、街の中にしっくりはまっている佇まいになっていました。
内部は役場と同じくニューマンスケールで非常に心地いい空間でした。

ホールもアンシンメトリー。アールトの基本です。
柱は、本当にアトリエにあったものと一緒でした。

 

 

最後は、 岩をダイナマイトなどで砕いてその中に作ったテンペリアウキオ教会を見て、
ツアーの見学は終了しました。

 

しかしここで終わらないのが、今回ご一緒している皆さんです。
ツアーにない、アールト作品、アカデミア書店にみんなで行きました。

こちらも、綺麗なトップライトと石の仕上げを、いいスケールで作られていました。
カフェ アールトもペンダントの照明器具がギリギリまで低く設けられており、
心地良さそうな空間となっていました。



 

 

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北欧へ アールト 役場と夏の家

2017-09-09 | 建築探訪

みなさん、こんばんは

本日は、アールトゆかりの地、ユバスキュラ周辺の建物を見て回りました
とにかく、町中にアールトゆかりの建物が多い地域です
数え切れないぐらいの建築を見学させていもらいました

その中で、まず見たのはセイナッツァロの役場
アールト建築の中で、そのできた背景も含め地元で非常に人気が高い建物
昨年まで無料でユビキュラス市が公開していたそうですが、
経費等の問題で一度閉鎖されたそうです
しかしながら今見れるのは、一人の起業家がオフィスをこの旧役場に構え、
冬以外の一定期間、自由に公開できるようにしたとのこと
それぐらい、愛されている建築家であり、建物だということが、
実物を見て、納得できました

アールト50〜54歳の作品はアールト空間論で埋め尽くされており、
この役場はその中でもアールトファンにとっては、珠玉の作品となっているようです

天井・壁・床を分離せず、壁と床の仕上げを同じにしたり、
シンメトリー(対称)を極力避け、アシンメトリー(非対称)にし、
空間に流動性・躍動・動きなどバランスのとれたデザインが見られました

もう一つの要素はそのスケールだと思います
大きなボリュームに、壁に見せないために、
壁を雁行させたり、窓で壁の端をなくしたり、様々な工夫により、
確かに、大きな建築の威圧感はありませんでした
内部空間も役場なのに、住宅のような人にとって丁度いいスケールでできています

その一例が、写真の玄関の扉から、玄関ホールです

役場全体が、自分の家の延長のような、
佇まいもよく、非常に居心地がいい空間でした 




 
 


実際に打ち合わせルームなどに座りながら話を聞き、
実際に体感しながら見学することができました

そして、アールトの夏の家へ 
役場をやっている時に、この地域を非常に気に入り、
アールト本人が、役場の設計の仕事をしながら、
色々探し回って、見つけた敷地だったとのこと
今は車で山側からアプローチしますが、
当初はその道路がなく、対岸から船でアプローチしていたそうです

それが写真の桟橋とアプローチです







桟橋からアプローチしてくるとこの壁に向かってくるのですが、
この壁の開口、日差しを取り入れるためにこの形になったどうです
この壁を右からまわりこむと、有名な下の写真のシーンとなります


  

先ほどの壁の開口の白い細い列柱もそうですが、この建物は実験住宅とも言われているぐらい、
様々な実験がされています
その一つがタイルのパターン、壁と床、50種類以上あるそうです



小高い岩盤から屋根を見下ろすと、下から見上げられるところは瓦ですが、
そのエッジ以外は板金で、これも実験の一部なのかもしれません




中からの窓の取り方は、さすがうまいです



景色を切り取るこの壁
窓と同じく、そこにいる人に、開放感と落ち着きを与えるように思います

この中庭は森の中でいながら、半戸外のような中国の四合院の中庭にも似た安心感がありました
残念ながら当日は雨でしたが、心地よさを感じることができました

あとこの敷地には、サウナとそこから湖に飛び込むことができる桟橋
(アールトは実際、サウナからすぐ飛び込んでいたそうです)
そして、アールト本人が設計し作った船とその格納庫があり、
そちらも見学することができました

現在も、アールト一族が別荘として使っているそうですが、
ここに来たら、いろんな自然と触れ合いながら、
心身ともにゆったりできるであろう建築でした


サウナへのアプローチ



サウナは湖のほとりに丸太で作られていました

飛び込める桟橋、対岸にはアールト自身が若い頃設計した教会があり
それもこの敷地を選んだ理由の一つでもあったそうです

収納庫と中にある船
家具を作っていたことは有名ですが、船まで作っていたとは思いませんでした 

その後、ユヴァスキュラ大学へ
さながら、アールトキャンパス、
街にあるアールト博物館にも行き、その展示は実大の部屋も3種類あり、
現地の方と結婚し暮らしているガイドさんの非常に熱のこもった説明もあり、
本当に勉強になりました
撮影オッケーということで、展示パネルも模型も何枚も撮りました

 

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北欧へ フィンランドへ

2017-09-08 | 建築探訪



みなさんこんばんは

昨夜はフェリーに乗り込み、スウェーデン・ストックホルムから
フィンランド・トゥルクへ、フェリー泊の移動
船室に泊まるというのは、記憶がある限り初めて、それだけでワクワクする体験でした
その船室に二人で泊まったのですが、シャワートイレ含め、
コンパクトに非常に良くできていて、もう少し幅が狭くてもいいかと思わせるぐらいでした
以前泊まったことがあるフランス・マルセイユ コルビュジェのユニテダビデシオンと、
そのスケール感、機能を考えた作りなど、何か通じるものを感じました 

朝下船し、最初の目的地へ 



1941年竣工 ブリュッグマン設計のトゥルクの礼拝堂です。
私がアメリカやヨーロッパの教会を見てきた経験では、
先日も書きました通り、教会や礼拝堂は、左右対称という固定概念がありました。
しかしながらここは、平面的にも断面的にもほぼ全てと言っていいほど、非対称。
椅子に座って、その理由を想像してみると、
スウェーデンでもそうでしたが、人は亡くなったら森に帰るという認識が北欧にはあり、
祭壇の十字架と一緒に大事に考えられたのが、その森。
その「森」への意識により、外の森との一体化を図ったのではないかと思います。
座ってみると、祭壇と窓、出入り口が正面となります。
人は、正面から祭壇へ向かい、礼拝し、森への出入り口から出て森へ帰る。
そんな姿が想像できました。
光の入り方など、すべてがバランスよく空間として構成され、素晴らしい教会でした。






また、神父様達が控えるバックヤードも、いい空間でした。
窓の配置から、置かれた家具、そこから見える景色、入る光、
ココチ良さそうな居場所がそこにはありました。




そして移動し、アールト設計の住宅、マイレア邸へ

特徴的な玄関ポーチが、私たちを迎えてくれました。
残念ながら、内部は撮影禁止。一生懸命気になった点をスケッチしました。

写真で見た印象は、結構内部空間が大きい印象があったのですが、
玄関入り、曲線の壁と階段に誘導されたリビングは、
広すぎない、ちょうどいい、しっくりくる広さでした。

なおかつ、窓の位置や暖炉、家具の場所など、その設えにより、
人の居場所がいくつも用意されていました。

またそのための構造・設備を考えた納まりや素材・色など、
すべてがバランスよく計画されており、
まさに「心地いい場所の集合体」となっていました。



そして帰り、私を迎えてくれた玄関ポーチに出ると、
そこには森の一部に屋根をかけたかのような空間が広がっていました。
雨も降っていたこともあり、より緑は濃く、雨の雫も手伝ってそう感じました。

スケッチで、その雰囲気が伝われば幸いです。







このふたつの建築を通して思うことは、
そこに物語が想像できることです。
建築家が意図したことかどうかはわかりませんが、
少なくとも、訪れた私はそこに物語を想像し、その空間に心地よさを感じたわけです。

作り手として、物語を感じてもらえるように、
設計する建築に、自分で物語をつむぐことが大事だと改めて感じました 。

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