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年金給付額:物価上昇でも据え置き見通し 厚労省 

2008-08-29 15:51:20 | Weblog
年金給付額:物価上昇でも据え置き見通し 厚労省 2008年8月27日 毎日
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20080827k0000m010050000c.html
 厚生労働省は26日、09年度の年金給付額について、物価が上昇しても据え置かれるとの見通しを示した。04年年金改革で導入したマクロ経済スライドが初適用される可能性があることなどを踏まえた判断。これを受け自民党厚労部会は、年金受給者だけでなく、低所得者や障害者、母子家庭を対象に一時的な現金給付を補正予算で行うよう政府に要望することを決めた。
 従来、年金は物価に連動させてきたが、マクロ経済スライドは物価が上がっても給付額の伸びを抑える仕組み。05年度以降は物価が伸びず機能しなかったものの、09年度は適用される見通しという。
 一方、00~02年度は計1.7%物価が下がったが、与党主導で年金額を下げなかった。04年改正では、今後物価が上昇してもこの1.7%分は相殺することが決まっている。マクロ経済スライド分と合わせ09年度は物価上昇率が2.5%を超えないと、年金は増えない計算となるが、08年1~6月の物価の平均上昇率は1.2%だった。



 実は、このマクロ経済スライドの仕組みそのものは、平成16年度の年金制度改正により、平成17年4月から既に導入されているのですが、2000年度から2002年度までの物価変動率分▲1.7%については、年金額を減額しなかったため、その分を吸収するまではマクロ経済スライドの適用そのものが凍結されていたのですが、食料品などを中心に物価が上がり始めたことで、いよいよこのマクロ経済スライドによる調整が来年度から始まってしまう可能性が非常に高いようです。
 とはいえ、このマクロ経済スライドという仕組。元々の仕組みが非常に複雑な上に、▲1.7%分の吸収という更にややこしい計算が加わるため、ほとんどの方にとっては理解不能な複雑な仕組みだと思うのですが、本来の実施予定から4年も経ってからの実施では、ほとんどの方はそんなものが導入されたこと自体忘れているでしょうし、これまでのように物価の上昇と比べて年金額が上がらない(概ね物価の上昇から0.9%を引いた水準しか年金額が上がらないとお考え下さい)ために、生活の苦しさを訴えて政治に不満を持つ年金生活者が急増することは確実でしょうし、これまで責任説明を十分に果たしてこなかったツケが来年度以降一気に噴出す形になるのではないでしょうか…。
 ごくごく個人的には、付加給付的な厚生年金はともかく、生活費の支給的性格を持つ老齢基礎年金にまでこの規定の適用をすることはどうしても賛同できませんし、小額を削って生活保護の申請及び窓口の事務処理が増えては元も子もない(年金支給総額を減らしたければ、単純に老齢厚生年金の支給水準を減らせばよかっただけのことではないでしょうか…)と思うのですが、後期高齢者医療制度の導入だってあれだけ大混乱したのだから、日常の生活費となる年金支給額の規定の見直しは、もっと大きな混乱になりそうな危惧をどうしても感じてしまいます。


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