販促費４０００万円詐取容疑、森永乳業・元課長代理を逮捕

販促費４０００万円詐取容疑、森永乳業・元課長代理を逮捕　2007年5月9日　
読売夕刊　http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070509i104.htm?from=main1
朝日夕刊　http://www.asahi.com/national/update/0509/TKY200705090080.html
　飲料大手「森永乳業」（東京都港区）の元課長代理が在職中、取引先のスーパーに支払う名目で販売促進費約４０００万円をだまし取ったとして、警視庁捜査２課は９日、元同社課長代理、渡辺直人容疑者（４３）（千葉市美浜区打瀬１）を詐欺容疑で逮捕した。
　渡辺容疑者は総額１億５０００万円に上る販売促進費を引き出しながら、取引先のスーパーには虚偽の説明をして大量のビール券を購入、金券ショップで換金する手口を繰り返していた疑いが強く、同課は、詐取した資金を交際相手の女性との遊興費などに使ったとみて調べている。
　調べによると、渡辺容疑者は同社の東京支社（港区）に勤務していた０５年８月～０６年３月、上司に「取引先のスーパーが大量に商品を納入してくれる。この取引先に販売促進費を出したい」と持ち掛け、同社から約４０００万円をだまし取った疑い。
　渡辺容疑者は、この販売促進費を、取引先のスーパーの銀行口座に振り込ませて上司や同僚を信用させる一方、スーパーには「ビール券を大量に購入したいので、代金を振り込んだ」と説明。スーパーから受け取ったビール券を都内の金券ショップで換金していた。同様の手口は０１年１２月に始まっており、総額１億５０００万円の販売促進費がスーパー側に渡っていないことに気付いた同社が昨年６月、警視庁に告訴していた。
　同社は「不正を見抜けなかったことを重く受け止め、再発防止に全力で取り組んでおります」（広報ＩＲ部）とコメントしている。


　この横領事件。平成18年4月に支社内で配置換えがあった際に容疑者が一部業務を引き継がなかったこと、容疑者が他の部署に異動した後、後任者がスーパーから「前任の方にいつも大量のビール券を買っていただいていた」と謝礼を言われたことから、不正行為を疑い社内調査を実施して発覚したようですが、詐欺が始まったのが平成13年12月で、平成16年4月の異動までの3年間、全くチェック機能が働いていなかった（しかも森永乳業はワンマン零細企業ではなく、堂々たる東証一部上場企業です）というのはさすがに問題があるのではないでしょうか。
　対個人消費が売り上げのメインの森永乳業にとって、価格競争が厳しい中、1億5000万円ものキャッシュを稼ぎ出すことがどれ程厳しいものか…。こういった横領事件はいくら会社の他の人間が業績を上げようと必死になって働いても、その頑張りを一気に無にしてしまいかねないだけに、お金の絡む事に関しては、もっと相互チェック作用を働かせるべきなのではないかと思います。