不正融資の旧石川銀元頭取らに10億円の支払い命令 2008年6月24日 読売
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080623-OYT1T00523.htm
2001年に破たんした旧石川銀行(金沢市)の旧経営陣がゴルフ場運営会社に回収見込みのない融資を行ったとして、整理回収機構が高木茂・元頭取(72)ら2人を相手取り、損害賠償を求めた訴訟の判決が23日、金沢地裁であった。
倉田慎也裁判長は、「被告は回収可能性が極めて乏しいと認識しており、注意義務違反が成立する」として、請求通り10億円の支払いを命じる判決を言い渡した。
訴えられていたのは、高木・元頭取のほか、川口睦・元同行専務(68)。
判決によると、2人は00年9月、融資先の広告会社が実質的に経営する千葉県のゴルフ場運営会社に対し、57億円を融資したが、ほぼ全額を回収できず同行に損害を与えた。
2人は、刑事裁判でも特別背任罪に問われ、高木・元頭取は懲役3年の金沢地裁判決を不服として控訴中。川口元専務は有罪判決が確定している。
独裁の果て~NOVA元社長逮捕 「これでおれも銀行頭取かよ」 2008年6月25日 産経
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080624/crm0806242323051-n1.htm
平成13年末に破綻(はたん)した石川銀行の不正融資事件に絡み、金沢地検の取り調べを受けたNOVA顧問(当時)の、26ページにわたってつづられた供述調書がある。同行から増資への協力を懇願されたNOVA元社長、猿橋(さはし)望(のぞむ)容疑者(56)が、「ワンマン社長」らしく鶴の一声で承諾し、得意絶頂となっている姿が生々しい。
13年4月中旬、大阪・心斎橋のNOVA統括本部11階の社長室。猿橋容疑者は同行の頭取、専務の2人と向きあった。2人は「好きなポストを差し上げますから、何とか65億円を貸してほしい」と懇願した。当時、同行は増資70億円分の引き受け先が見つからず、切羽詰まっていた。
困惑した猿橋容疑者は2人を応接間に下がらせ、顧問に「大丈夫かな」と相談した。顧問は「やめた方がいいですよ。もしやるとしても弁護士や公認会計士を入れて精査してからにしなきゃ」と進言。しかし、猿橋容疑者は頭取の言葉を信用したのか、「よし貸そう。銀行だから心配いらんだろ」と融資を決断した。
頭取らは喜びのあまり、「NOVA銀行と思ってもらって結構です」などと持ち上げた。2人が帰った後、慢心した猿橋容疑者は冗談を言って笑いとばした。
「これでおれも銀行の頭取かよ」
融資後、1カ月を経過しても、65億円が戻る気配はなかった。事態に気づいた猿橋容疑者は、顧問に「このままだと株主総会が開けない。何とかならないか」と泣きついた。猿橋容疑者自らも、取り立てに金沢へ出向く騒ぎになった。
NOVA関連各社は、同行から250億円超の巨額融資を受ける見返りに、融資の一部約120億円を増資名目で銀行側に還流させる「見せかけ増資」に手を染めていた。不正な取引にもかかわらず、猿橋容疑者が「250億円を融資してくれるなら、増資を引き受けよう」と明言していたことが、供述調書にも記されている。
不正融資事件の公判で、検察側はNOVA側の関与も指摘したが、最終的に罪には問われなかった。しかし、増資の代わりに受け取った株は同行の破綻で紙くず状態。それがNOVAの経営を最後まで苦しめたと指摘する声は多い。(以降省略)
この石川銀行。元々は加州相互銀行が第二地銀の一斉転換により、石川銀行となったものの、県内のシェアはわずか5%で、県内のリーディングバンクである北國(ほっこく)銀行(シェア4割)と争うどころか、隣県の富山に本店のある北陸銀行(シェア2割)にさえ後塵を拝する有様で、現状打開のために大口融資に傾斜した東京支店の債権がバブルの崩壊で焦げ付いて、2001年9月期決算では224億円の債務超過・自己資本比率がマイナス6.37%に転落し、2001年の年末にあっけなく経営破綻。
そしてこの石川銀行は、破綻直前の1年あまりで預金残高の5%を越えるかなり強引な増資を実施していたようで、実際取引先の融資の申込時に自社株を強引に押し付けたり、別の取引先には、過去の融資分の担保を外してまで増資株を買わせるなど、かなり強引な増資引き受けをさせていた(詳しくは http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/ishikawa/kikaku/030/main.htm)ため、こういった旧株主を中心に損害賠償請求を相次いで起こされているのですが、整理回収機構の損害賠償請求分については、請求通りあっけなく10億円の損害賠償が認められたようですね。
まあ石川銀行の場合、地元の案件でさえ、北國銀行が手を出さないような酷い融資案件を多く囲い込み、破綻が秒読み段階になっても、地元の北國銀行さえ当初は店舗や融資先の引き受けを拒否(最終的には北陸銀行(42支店)を中心に北國銀行他3行に分割営業譲渡)するような酷い財務内容でしたし、破綻直前には、先日逮捕され渦中の人となっているあのNOVA元社長の猿橋容疑者から65億円を引き出すなど、かなり資金繰りには切羽詰まっていたようで、このゴルフ場への融資の審査についても、かなりいい加減に行われていたのだと思いますが、高木元頭取や川口元専務も、まさか債権譲渡先から訴えられ、その全額の損害賠償が認められるとは予想さえしていなかったのではないでしょうか…。
とはいえ、この両者に10億円もの支払い能力があるはずもなく…。結局は損害賠償額の大きさだけがクローズアップされ、肝心の回収はロクにできない建前だけの裁判になりそうな嫌な予感がしますね。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20080623-OYT1T00523.htm
2001年に破たんした旧石川銀行(金沢市)の旧経営陣がゴルフ場運営会社に回収見込みのない融資を行ったとして、整理回収機構が高木茂・元頭取(72)ら2人を相手取り、損害賠償を求めた訴訟の判決が23日、金沢地裁であった。
倉田慎也裁判長は、「被告は回収可能性が極めて乏しいと認識しており、注意義務違反が成立する」として、請求通り10億円の支払いを命じる判決を言い渡した。
訴えられていたのは、高木・元頭取のほか、川口睦・元同行専務(68)。
判決によると、2人は00年9月、融資先の広告会社が実質的に経営する千葉県のゴルフ場運営会社に対し、57億円を融資したが、ほぼ全額を回収できず同行に損害を与えた。
2人は、刑事裁判でも特別背任罪に問われ、高木・元頭取は懲役3年の金沢地裁判決を不服として控訴中。川口元専務は有罪判決が確定している。
独裁の果て~NOVA元社長逮捕 「これでおれも銀行頭取かよ」 2008年6月25日 産経
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080624/crm0806242323051-n1.htm
平成13年末に破綻(はたん)した石川銀行の不正融資事件に絡み、金沢地検の取り調べを受けたNOVA顧問(当時)の、26ページにわたってつづられた供述調書がある。同行から増資への協力を懇願されたNOVA元社長、猿橋(さはし)望(のぞむ)容疑者(56)が、「ワンマン社長」らしく鶴の一声で承諾し、得意絶頂となっている姿が生々しい。
13年4月中旬、大阪・心斎橋のNOVA統括本部11階の社長室。猿橋容疑者は同行の頭取、専務の2人と向きあった。2人は「好きなポストを差し上げますから、何とか65億円を貸してほしい」と懇願した。当時、同行は増資70億円分の引き受け先が見つからず、切羽詰まっていた。
困惑した猿橋容疑者は2人を応接間に下がらせ、顧問に「大丈夫かな」と相談した。顧問は「やめた方がいいですよ。もしやるとしても弁護士や公認会計士を入れて精査してからにしなきゃ」と進言。しかし、猿橋容疑者は頭取の言葉を信用したのか、「よし貸そう。銀行だから心配いらんだろ」と融資を決断した。
頭取らは喜びのあまり、「NOVA銀行と思ってもらって結構です」などと持ち上げた。2人が帰った後、慢心した猿橋容疑者は冗談を言って笑いとばした。
「これでおれも銀行の頭取かよ」
融資後、1カ月を経過しても、65億円が戻る気配はなかった。事態に気づいた猿橋容疑者は、顧問に「このままだと株主総会が開けない。何とかならないか」と泣きついた。猿橋容疑者自らも、取り立てに金沢へ出向く騒ぎになった。
NOVA関連各社は、同行から250億円超の巨額融資を受ける見返りに、融資の一部約120億円を増資名目で銀行側に還流させる「見せかけ増資」に手を染めていた。不正な取引にもかかわらず、猿橋容疑者が「250億円を融資してくれるなら、増資を引き受けよう」と明言していたことが、供述調書にも記されている。
不正融資事件の公判で、検察側はNOVA側の関与も指摘したが、最終的に罪には問われなかった。しかし、増資の代わりに受け取った株は同行の破綻で紙くず状態。それがNOVAの経営を最後まで苦しめたと指摘する声は多い。(以降省略)
この石川銀行。元々は加州相互銀行が第二地銀の一斉転換により、石川銀行となったものの、県内のシェアはわずか5%で、県内のリーディングバンクである北國(ほっこく)銀行(シェア4割)と争うどころか、隣県の富山に本店のある北陸銀行(シェア2割)にさえ後塵を拝する有様で、現状打開のために大口融資に傾斜した東京支店の債権がバブルの崩壊で焦げ付いて、2001年9月期決算では224億円の債務超過・自己資本比率がマイナス6.37%に転落し、2001年の年末にあっけなく経営破綻。
そしてこの石川銀行は、破綻直前の1年あまりで預金残高の5%を越えるかなり強引な増資を実施していたようで、実際取引先の融資の申込時に自社株を強引に押し付けたり、別の取引先には、過去の融資分の担保を外してまで増資株を買わせるなど、かなり強引な増資引き受けをさせていた(詳しくは http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/ishikawa/kikaku/030/main.htm)ため、こういった旧株主を中心に損害賠償請求を相次いで起こされているのですが、整理回収機構の損害賠償請求分については、請求通りあっけなく10億円の損害賠償が認められたようですね。
まあ石川銀行の場合、地元の案件でさえ、北國銀行が手を出さないような酷い融資案件を多く囲い込み、破綻が秒読み段階になっても、地元の北國銀行さえ当初は店舗や融資先の引き受けを拒否(最終的には北陸銀行(42支店)を中心に北國銀行他3行に分割営業譲渡)するような酷い財務内容でしたし、破綻直前には、先日逮捕され渦中の人となっているあのNOVA元社長の猿橋容疑者から65億円を引き出すなど、かなり資金繰りには切羽詰まっていたようで、このゴルフ場への融資の審査についても、かなりいい加減に行われていたのだと思いますが、高木元頭取や川口元専務も、まさか債権譲渡先から訴えられ、その全額の損害賠償が認められるとは予想さえしていなかったのではないでしょうか…。
とはいえ、この両者に10億円もの支払い能力があるはずもなく…。結局は損害賠償額の大きさだけがクローズアップされ、肝心の回収はロクにできない建前だけの裁判になりそうな嫌な予感がしますね。
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