ファイナンシャルプランナーのニュースチェック

日々のニュースをFPの視点からチェックしてコメントします

奨学金滞納者を通報へ 学生支援機構、金融機関側に

2008-10-24 19:08:22 | Weblog
奨学金滞納者を通報へ 学生支援機構、金融機関側に 2008年10月10日 朝日
http://www.asahi.com/national/update/1009/TKY200810090310.html
 大学生の約3割に奨学金を貸している日本学生支援機構が、全国の銀行などでつくる信用情報機関に滞納者情報を通報する滞納防止策に乗り出す。滞納額増加に悩んだ末の強硬策で、年内に信用情報機関に加盟する見通し。通報されると対象者は、銀行ローンを組めなくなったり、クレジットカードを作りづらくなったりする可能性がある。
 機構の奨学金には、無利子と有利子があり、07年度は約8250億円を貸し出している。大学の学部生でみると、同年度は約81万人、3.3人に1人が利用した。
 奨学金は貸与終了後、期間内に返すのが原則で、返済分が新たな奨学金に充てられる。病気や失業などで返済できない場合、手続きをすれば返済が猶予される。
 機構は長期滞納者に、法的措置に移るとの「予告」を積極的に行うなど対応を強めてきたが、奨学金を借りながら転居先不明などで、予告書が返送されるケースは3割(06年度)にのぼる。
 こうした状況から、督促は思うように進まず、延滞額や未返済額の増加に歯止めがかかっていない。貸し倒れの危険がある「リスク管理債権」に当たる3カ月以上の延滞債権額は07年度末で2253億円と、05年度末より389億円増えた。また07年度に返済されるべき3175億円のうち、未返済は2割を超える660億円あった。
 機構や文部科学省によると、新制度は、悪質な滞納者をなくすため、「一定期間滞納すると、信用情報機関に知らせる」ことを条件に貸していく。どの時点で通報するかは検討中だ。今のところ、10年度の新規貸与者から対象にする方針で、すでに利用している人にも適用できないか検討している。
 通報先となる信用情報機関は、大手銀行や全国の地銀など約1400の金融機関が会員となっている。滞納情報が通報されると、対象者は加盟金融機関でローンが組めないなど、日常生活にも影響が出るとみられる。
 奨学金貸与の際、機構側が信用情報機関の情報を利用することはないものの、所在が分からない滞納者の住所確認などについては提供を受けることも考えられている。
 文科省の担当者は「これまでの防止策より厳しく、効果はあるだろう」と話す。
 06年に6カ月以上の滞納者を対象に行った調査では、滞納の理由は、「低所得」の45.1%がトップで、次いで多かったのが「借入金の返済」の25.3%。借金の返済に追われ、奨学金返済がままならない状況が浮かび上がった。
 このため、機構がつくった有識者会議が今年6月、信用情報機関の活用を提言。滞納者に過剰な貸し付けをさせずに多重債務化を防ぐことは、「教育的観点から極めて有意義。また、返還能力の確保につながる」としていた。




 少し前の報道ですが、奨学金絡みで興味深い報道があったので、当ブログにもこの記事を取り上げたいと思います。
 大学等を卒業してからも奨学金を返さない学生が増えて、その滞納額が巨額になっている問題ですが、日本学生支援機構(日本育英会の奨学事業・日本国際教育協会・内外学生センター・国際学友会・関西国際学友会の留学生交流事業等を整理・統合し、2004年4月に誕生)が、全国の銀行などで作っている信用情報機関に滞納者情報を通報する滞納防止策に乗り出すことがわかりました。
 それにしても『借りた金を返さない奴が悪い』と言えばそれまでですし、滞納理由にも悪質なものが増えて財源も深刻化していることは知っていましたが、いきなりここまで強硬な対抗策を打ってくるとは予想もしませんでしたねぇ…(吃驚

 まあ、銀行ローンが組めないのは当たり前のこととしても、クレジットカードの取得目的の中には、大手スーパー系のカードなら年会費無料で発行できるため、特定日に買い物が5%引きになることだけを目的に加入している方も少なくないでしょうし、他にも公共料金やインターネットのプロバイダ料金を払うだけのためにクレジットカードを使っている方も結構いるのではないでしょうか…。
 さすがに1年程度の滞納でいきなり金融機関に滞納者情報を流すようなマネはしないと思いますが、家庭の事情はまさに人それぞれですし、滞納理由を客観的に分析できる基準作りや事前警告を何度・どの程度の文面で警告するのかと言った仕組をきっちり作らないまま、先に制度だけ導入すると、それこそ混乱を招きかねませんし、ごくごく個人的には、仮に信用情報を金融機関に渡すとしても、余程悪質なケースを別にすれば、かなり慎重な運用が求められるのではないかと思います。


コメントを投稿