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労働時間の規制撤廃、法制化へ 成果賃金に対応 

2006-11-25 00:43:22 | Weblog
労働時間の規制撤廃、法制化へ 成果賃金に対応 2006年11月24日 産経
http://www.sankei.co.jp/news/061123/sei001.htm
 厚生労働省が次期通常国会で法制化を目指す、労働時間の規制を受けない働き方(日本版ホワイトカラー・エグゼンプション)の素案が23日明らかになった。対象を一定以上の年収、業務、権限・責任をもつホワイトカラーに限定したうえで、制度導入が長時間労働を助長しないよう、週2日以上の休日確保や健康対策の実施などを条件にする。同制度は、多様な労働形態に対応した法制度の実現を求める経済界が、早期導入を強く求めていた。
 企画・立案などに携わる事務職が対象となる労働制度には、勤務実態にかかわらず一定時間働いたとみなす「みなし労働時間制」(裁量労働制)があるが、労働基準法が定める1日8時間・週40時間の労働時間規制をはずし、賃金の算出根拠から時間の概念をなくす制度は初めて。
 素案は、労働時間にとらわれない働き方を「自由度の高い働き方」とし、適用対象を(1)労働時間では成果を適切に評価できない業務(2)権限と責任を相当程度伴う地位(3)仕事の進め方や時間配分に関して上司から指示されない(4)年収が相当程度高い-の4要件を満たす労働者と規定している。
 さらに、過労防止のため「休日の確保」と「健康・福祉確保措置の実施」を明記。労基法による法定休日が週1日なのに対して、この制度の対象者は「1年間を通じて週休2日分の日数(104日)以上の休日を確実に確保できるようにする」と盛り込んだ。
 労働安全衛生法が残業月100時間以上の労働者に義務付けている「本人の申し出による医師の面接指導の義務」も、同80時間程度で義務付ける。
 厚労省は、こうした方針を盛り込んだ最終報告書案を12月上旬に開く労働政策審議会(厚労相の諮問機関)の労働条件分科会に提示。労使の意見を踏まえ、次期通常国会に労基法などの関連法改正案を提出する方針だ。
 ただ、労組側は「残業代を払わなくてもいい制度」(連合)などと反対、既存の裁量労働制の適用拡大などで対応すべきとしている。
 一方、人件費の抑制という狙いもあるとみられる経済界は、対象者の決め方について「基本は労使自治にすべきだ」と主張して、法律による要件の厳格化を警戒。年収水準の適用要件についても「400万円以上」(日本経団連)などと訴え、対象範囲を広くすることを求めている。
 労使の考えには隔たりが大きく、今後の調整は難航が予想される。

<視点 人件費抑制懸念も>
 厚生労働省がまとめた、労働時間の規制を受けない働き方の素案は、おおむね日本経団連など経済界の要請に沿った内容となった。「製造業の現場とは違い、ホワイトカラー(事務職)の仕事は時間では成果が計れない」との主張に一定の理解を示した格好だ。ただ、運用次第では人件費抑制の方便になりうるだけに、その導入に当たっては慎重な対応が必要となる。
 厚労省によると、産業構造の転換により、昭和45年に全雇用者の43・7%だったホワイトカラーは、平成16年には55・2%に達した。事務職の仕事は必ずしも時間では計れず、短時間で仕事を終えられる有能な人にとって不利な側面も否定できない。経済界が主張する通りだ。
 しかし、30歳代の男性の4人に1人が週60時間以上の長時間労働に追われる現状では、「残業代を払わないことを合法化する制度」という連合の懸念はもっともだ。
 日本経団連が適用対象者の年収を400万円以上にすべきだと主張していることも、疑念に拍車をかける。国税庁の民間給与実態統計調査の平均給与(17年度437万円)などを念頭に置いたものだが、これは税、社会保険料などの控除前の収入だけに、手取り水準で考えればあまりに低い印象は免れない。
 時間では計れない「成果」の達成度合いを判断する基準についても、労使協議の上で企業側が決めることになるため、制度運用上の不透明感がつきまとい、「人件費削減が狙いではないか…」と勘ぐりたくもなる。
 景気回復を確かなものにするため個人消費の拡大が期待されるなか、賃金カットを連想させる制度導入は経済全体への悪影響が避けられない。「まずスケジュールありき」ではなく、議論を尽くす必要がある。


 このホワイトカラーイグゼンプション。まずは年収のラインを決めないと、使用者側も労働者側も歩み寄りのしようがないと思うんですけどね…。
 年収ですが、適用対象を『(1)労働時間では成果を適切に評価できない業務(2)権限と責任を相当程度伴う地位(3)仕事の進め方や時間配分に関して上司から指示されない(4)年収が相当程度高い』の4要件を満たす労働者と規定するのならば、年収400万円は非現実的ですし、逆に厚労省側が期待している年収1000万円だと、今度は使用者側に導入するメリットがないでしょう。
 仮に制度を導入するとしても、今より早く帰社できるような仕事配分がされなければ、労働者側に受け入れるメリットが全くありませんし、「まずスケジュールありき」ではなく、使用者側も無駄な会議をなくす、正社員の過度な負担を減らすために派遣労働者やパートタイム労働者と正社員との比率を是正するなどの対応をしないと、話は全く進まないような気がします。
 まあ、厚労省はとりあえず制度を導入したがっているようですが、運用するのはあくまでも民間だということは忘れないでもらいたいものですね。


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