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東京地裁「パワハラ自殺」初の労災認定…上司の暴言が原因

2007-10-18 12:40:54 | Weblog
東京地裁「パワハラ自殺」初の労災認定…上司の暴言が原因 2007年10月16日
読売 http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20071015i113.htm
産経 http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/071015/trl0710152345004-n1.htm
日経 http://www.nikkei.co.jp/news/main/20071015AT1G1503J15102007.html
朝日 http://www.asahi.com/national/update/1015/TKY200710150296.html
毎日 http://mainichi.jp/select/jiken/news/20071016k0000m040070000c.html
 製薬会社の営業担当社員だった男性(当時35歳)がうつ病になって自殺したのは、直属の上司の暴言が原因だったとして、男性の妻が国を相手取り、労災と認めるよう求めた訴訟の判決が15日、東京地裁であった。
 渡辺弘裁判長は「男性は、上司の言動により過度の心理的負担を受けて精神障害を発症し、自殺に及んだ」と述べて、男性の自殺を労災と認定し、国に遺族補償給付の不支給処分を取り消すよう命じた。
 原告代理人によると、上司の暴言やいじめなどのパワーハラスメント(職権による人権侵害)を自殺の直接の原因と認め、労災を認定した司法判断は初めて。
 判決によると、男性は1997年から、東京都内に本社のある製薬会社の静岡営業所で営業担当として勤務していたが、2002年4月に赴任してきた係長から、「存在が目障りだ。お願いだから消えてくれ」「お前は会社を食いものにしている、給料泥棒」「お前は対人恐怖症やろ」などの暴言を受けた。男性は02年12月~03年1月、適応障害やうつ病を発症し、取引先とのトラブルが続いた後の03年3月に自殺した。
 男性の遺書には、係長から受けた暴言が記され、「自分の欠点ばかり考えてしまい、自分が大嫌いになりました。先月からふと『死にたい』と感じていました」などと書かれていた。
 判決は、<1>係長の態度には男性への嫌悪の感情があった<2>男性の立場を配慮せずに大声で傍若無人に発言していた――などと指摘。「係長の言葉は過度に厳しく、男性の人格、存在自体を否定するものもあった。男性の心理的負担は、通常の『上司とのトラブル』の範囲を大きく超えていた」と述べた。

 判決後、記者会見した原告代理人の川人博弁護士は「これまで自殺が労災と認定されたのは、長時間労働を原因とするケースが大半だった」と指摘し、「日本では、職場での上下関係を前提にした上司による暴言や嫌がらせが放置されてきたのが現状。今回の判決は、そうした風潮を正す意味でも画期的だ」と話した。男性の妻は「勝訴でほっとした。裁判をやった甲斐(かい)があった」と語ったという。
 一方、男性の自殺を労災と認めなかった静岡労働基準監督署は「今後の対応については、判決内容を検討し、関係機関とも協議した上で判断したい」とコメントした。


 パワーハラスメント絡みの裁判と言えば、代表的なものとして、
①エールフランス事件 千葉地裁 平成6年
(http://morahara.nukenin.jp/99hanrei/furansu.htm)
②川崎市水道局(いじめ自殺)事件東京高裁 平成15年3月25日判決
(http://morahara.nukenin.jp/99hanrei/suidoukyoku.htm)
③誠昇会北本共済病院事件 さいたま地裁 平成16年9月24日判決
(http://morahara.nukenin.jp/99hanrei/byouin.htm)
④保険会社上司(損害賠償)事件 東京高裁 平成17年4月20日判決(請求認容)
⑤サンデーペイント事件 大阪地裁 平成17年7月15日判決 (請求棄却)
⑥レタスカード事件 京都地裁 平成18年8月8日判決(http://www.chosunonline.com/article/20061103000027)
 などがありますが、パワハラ絡みで労災が認められたのは今回がはじめてのようですね。

 ちなみに、今回のパワハラ事例に近いものとしては④の保険会社上司損害賠償事件があり、この事件では、『業績のよくない課長代理職の部下に対し、「意欲がない、やる気がないなら会社を辞めるべきだと思います。当サービスセンターにとっても、会社にとっても損失そのものです。あなたの休業で業務職が何人雇えると思いますか」というメールを送りつけた所長が、100万円の慰謝料を請求され、判決では、不法行為を形成はするが、「いわゆるパワーハラスメントの意図があったとはいえない」とされ、名誉毀損による慰謝料5万円が相当』という判決が出ているのですが、こちらの事件では自殺というショッキングな出来事があったとはいえ、労災が認められた以上、ある意味それ以上に悪質と見られているのでしょうし、訴えられた側の興和創薬(旧日研化学)の社会的信用は著しく失墜したのではないでしょうか。

 参考までに、東京都産業労働局が平成18年に957事業所を対象に行った調査では、パワハラ対策について具体的に6項目の質問をぶつけたところ、一つも実施していない事業所は全体の59.2%にものぼり、規模別では1000人以上の事業所で33.3%、100~200人の事業所で59.6%、99人未満の事業所に至っては77.7%!! もの事業所で、全く対策が取られていないのだとか…。

 パワハラはセクハラのように法律(均等法)で対策を取ることが義務付けられているわけではありませんし、時には『上司の側が部下に仕事を一生懸命やってもらおうと激励するあまり、きつい言葉を使ってしまう』というケースも少なくありません(勿論、今回の事件では、それに該当しない単なる嫌がらせ目的なことは明らかですが…)し、またパワハラという言葉そのものがセクハラと比べるとまだ歴史が浅く(パワハラという言葉は、2001年にクオレ・シー・キューブ(http://www.cuorec3.co.jp/)代表の岡田康子さんが使い始めました)、その取組の重要性が理解されずに全般的に取組が遅れていたり、取り組んでいても、その取組自体思考錯誤のようですが、一度裁判沙汰になると、結果的にはそれ以上の巨額の費用がかかりかねない(電通の過労自殺事件では損害賠償額こそ1億6800万円でしたが、対策費用を含めると数十億円がぶっとんだと聞いています。つまり損害賠償額そのものよりも事後対策費用の方が、まっとうな企業にとっては余程怖いということですね)だけに、セクハラ対策と同じテーブルでパワハラも社内で発生していないかをチェックすることが、企業にとっても長期的には得策だと思いますし、このような不幸な事件を引き起こさないための秘訣なのでは…と個人的には考えています。


1 コメント

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生きる目的は一体何か (GEORGE)
2007-10-20 19:59:09
はじめまして。
ご迷惑でしたらお赦しください。

自分が日頃から考えていることですが
人は一体、何のために生きているのでしょうか?
人はどこから来て
何のために生きて
どこへ向かっているのでしょうか。

神の存在、愛とは何か、生きる意味は何か、死とは何かな
どの問題などについて、ブログで分かりやすく聖書から福音
を書き綴っています。ひまなときにご訪問下さい。
http://blog.goo.ne.jp/goo1639/

(聖書のことば)
「すべて、疲れた人、重荷を負っている人は、わたしのところ
に来なさい。わたしがあなたがたを休ませてあげます。」
                   (マタイの福音書11:28)。
「わたしの目には、あなたは高価で尊い。わたしはあなたを愛
している。」(イザヤ書43:4)。

★私のブログから----------。
「生きる目的は一体何か」
http://blog.goo.ne.jp/goo1639/m/200705

「人生の目的と意味は何か」
http://blog.goo.ne.jp/goo1639/d/20060519

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