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健保で「労災隠し」、労働局へ通報制度 

2007-06-16 11:12:18 | Weblog
健保で「労災隠し」、労働局へ通報制度 2007年06月06日 朝日
http://www.asahi.com/life/update/0606/TKY200706050430.html
 労働者が職場や通勤途中でけがをしたとき、会社が労災保険ではなく健康保険で治療させようとするのは違法です――。不正な「労災隠し」を是正するため、厚生労働省は社会保険庁に届いた健康保険の診療記録に労災の疑いがある場合、その情報を各地の労働局に通報し、事業主を指導できるようにする新たな制度を今月中にも始める。
 社保庁によると、05年度の健康保険による診療報酬請求のうち、労災保険が適用されるべきだと判断された例が約5万件あった。しかしこれまでの対応は、各地の社会保険事務所が本人や事業主に連絡して労災申請を促すだけ。厚生省と労働省の合併以前は所管が分かれていたこともあり、労働局への通報もなく、労災扱いに切り替えられないまま放置されるケースが多かった。
 労働者にとっては、治療の自己負担額が健保の3割に対して労災は基本的にゼロなど、補償範囲に大きな差がある。企業は労災扱いになるとその後の労災保険料が重くなり、イメージも悪いため、労災隠しが後を絶たない。このため、今後は社保庁からの情報をもとに各労働局でもチェックし、本人の協力を得たうえで事業主を指導する。
 労働安全衛生法では、労働者が4日以上休む事故を企業が労働基準監督署に報告しない「労災隠し」には50万円以下の罰金が科される。



 労災保険では、その企業が属する業種の危険度に応じて労災保険料率を定めていて、さらに一定規模以上の企業の場合は、過去3年間の労災事故の有無により最大で40%前後保険料を引き下げたり逆に引き上げたりする仕組み(要は自動車保険で、事故を起こしたら保険料が上がり、事故を起こさなければ保険料が下がる仕組みと同じ。労災保険のメリット制についての解説はこちら http://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/06/s0614-4a.html)を取り入れることができるようになっていますが、実はこの労災保険料率、一番高い『水力発電施設、ずい道等新設事業』の1000分の118から一番低い金融・保険業やその他のホワイトカラー職種の1000分の4.5まで、実際に労災にあう確立に応じて実に様々。
 そのために、一定規模以上でかつ労災保険料率の高い職種の会社の場合は、メリット制を適用して、少しでも保険料率を抑えようとするのですが、そこで労災事故が発生してしまうと、今度は翌年以降の保険料率が大幅に上がってしまうため、企業が健康保険を使わせてその3割負担は企業が負担することで(酷いケースでは、外国人労働者の場合は金を握らせてそのままクビにすることも…)労災隠しを図ろうとすることが後を絶ちません。

 もっとも健康保険では、たとえばケガで働けないためにお給料が出ない時に支給される傷病手当金一つとっても6割の水準しか出ませんし、これに対して労災保険は本則給付こそ6割ですが、特別支給金という形で更に2割の給付が加算され、しかも期間制限もないなど、労災保険を活用した方が当の労働者にとっても有利(本当は有利不利の問題ではありませんが、ここでは単純に労働者に対しての金銭給付の意味で考えます)となっています。

 使用者側はこういったことは中々教えてくれませんし、本来なら、厚生労働省などお役所がもっと労災保険を使うことの有利性をもっと周知させていかなければならないのではならないのですが、個人的には明らかにおかしいケースのみチェックするだけでなく、労働基準法だけでなく労災保険制度の仕組みをもっと働き手に伝えていく事が必要なのではないかと思いますね。


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