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雇用対策法案:衆院否決なら解散要求決議案???

2008-12-23 17:03:25 | Weblog
雇用対策法案:衆院否決なら解散要求決議案…民主提出方針 2008年12月20日 毎日
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20081220k0000m010097000c.html
 民主党の小沢一郎代表らは19日、党本部で幹部会を開き、参院で可決された野党提出の雇用対策関連法案が衆院で否決された場合、麻生太郎首相に衆院解散を求める「解散要求決議案」を衆院に提出する方針を決めた。解散要求決議案は、89年6月に社会、公明、民社の野党3党が当時の宇野宗佑首相に対し提出して以来19年ぶり。過去に11回提出されたが可決された例はなく、今回も否決される見通し。
 解散要求決議案提出の狙いについて、山岡賢次国対委員長は幹部会後、記者団に「解散して政権を代えるしか、雇用を救済する方法はない」と強調した。野党多数の参院でも、雇用対策関連法案の成立を与党に求める「参議院の決議を尊重する決議案」を提出し、他の野党各党にも協力を求め可決させる考えだ。
 解散要求決議案を巡って、民主党内には「自民党内の『造反予備軍』にとって、内閣不信任案に比べて賛成しやすいのでは」(中堅)と、与党側の同調を期待する見方もある。自民党の大島理森国対委員長は国会内で記者団に「何回、解散、解散と言ってきた。何の意味があるのか。揺さぶりにも何にもならない」と批判した。

野党の雇用関係4法案、22日の衆院委採決見送り 2008年12月22日 日経夕刊
http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20081222AT3S2200K22122008.html
 与党は22日、民主党など野党3党の雇用関係4法案について、同日中の衆院厚生労働委員会での採決を見送る方針を固めた。与野党ともに慎重審議を求める声があることなどを考慮したとみられる。与党側は仕切り直したうえで24日に衆院厚労委と本会議で採決したい考えだ。
 自民党の大島理森国会対策委員長は22日、民主党の山岡賢次国対委員長に電話で「今日は採決しない」と伝えた。その後、衆院厚労委は理事会で同日中の採決見送りを決めた。
 雇用法案では、民主党などが参院の厚労委と本会議でいずれも採決を強行。与党は22日の衆院厚労委、24日の衆院本会議でそれぞれ否決する段取りで動いていた。





 民主党が15日午前に、新卒予定者の採用内定取り消しを規制する労働契約法改正案など独自の雇用対策4法案(内容は、政府に悪質な内定取り消しの企業名公表を求める。雇用調整助成金の受給対象を非正規労働者に拡大。派遣労働者も雇用保険の対象にする。など)を、社民・国民新党と共同で参院に提出して、与党議員が十分な審議の時間が取れていないと猛反発する中、わずか1日で参議院を通過させてしまったことにも唖然としましたが、今度は雇用対策法案を衆議院で否決したら、衆議院の解散を求める「解散要求決議案」を衆議院に提出する方針を決めるという、これまた吃驚するようなことを言い出してきました。
 結局当初予定していた22日に採決を行なうことはせず、採決を24日にずらすことにしたですが、多分そのまま通過して法案が成立する可能性は限りなく低いのではないかと個人的には見ています。

 というのも、確かに採用内定取消の問題は、日本では一番最初に入社した会社が、その方の生涯年収やその後のキャリアを左右しかねないだけに、あまりにも『悪質な内定取消事例に対しては企業名を公表することで社会的に制裁を課す』という考え方もわからなくもないのですが、問題は何をもって悪質とするか…。
 学生から見れば、『企業業績の悪化』程度の理由で約束を破られてはたまらない(第三者の目から見ても、本当に人を切らざるを得ないくらい企業経営が悪化しているのか、単なる便乗解雇なのか判別できません)でしょうし、かといってあまり会社の内情を詳細に話すと、それが噂になって取引先との決済が手形から現金支払いへ変更させられるなど、資金繰りが苦しくなる可能性だってあるでしょうし、そうなると、『パートや派遣労働者○人に辞めてもらった。正社員の賞与も○割減になった。そんな苦しい状況なので申し訳ないが内定は取り消させて欲しい』レベルの話を他言無用扱いですることあたりが期待されるのでしょうが、会社側からみれば、そのレベルだって取引先との影響や(お財布状況を赤の他人に知られることによる)社員のモラルダウンを考えれば、できれば避けたいところ。
 
 また、内定取消しの具体的理由を一切告げずにに内定辞退を促すようないい加減な企業に対しては、社会的制裁を受けても文句は言えないと思いますが、もし通常の解雇並みに厳しい規制を、運用レベルでも行なうとなると、企業は人員調整そのものが困難になってしまいますし、果たして、まだ働いてもいない新人さんに、既に会社の戦力になっている従業員と同じレベルの保護を与えることが本当に妥当なのか(人員整理やむなしとなった場合に、正社員よりも前にパートを解雇することは労働判例でも合法視されていますし、その順番から考えると、まだ会社で働いていない内定者は、雇用優先順位も当然パートさんよりも下と判断するのが妥当と思われます)は、かなり議論のあるところではないでしょうか…。
 この採用内定取消問題は、急激な景気の悪化により、あらゆる業種に広まっていて、迅速にある程度の規制強化を図らなければならない問題だとは思いますが、他の『雇用調整助成金の受給対象を非正規労働者に拡大』『派遣労働者も雇用保険の対象にする』と異なり、具体的な基準作りが難しいだけに、おそらく一発で法案成立はないでしょうし、今回は与野党で折り合い所を探す段階で終わりそうな気がしますね。


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