盗品の金属製品…押しつぶして商品化、特需の中国へ? 2007年3月5日 読売夕刊
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070305itw6.htm
全国で金属製品の窃盗被害が多発している。警察庁によると、昨年は全国で約5700件、被害総額は約20億円にのぼった。
街中から消えた車止め、チェーン、電線などは一体、どこへ行ったのか。流通過程には、一部の金属収集業者などが手がけているとみられる〈盗品ロンダリング〉の仕組みが見え隠れする。そして、盗品から商品へと姿を変えた金属製品の行き先は、急速な経済成長に伴う大がかりな社会資本整備が進む中国との見方が強い。
◆売りさばき先
慣れた操作でフォークリフトを乗りこなし、倉庫から、屋根材の銅板を運び出す男を防犯ビデオがとらえていた。
2月26日早朝、兵庫県尼崎市の古河電気工業大阪事業所から銅板約2トン(時価200万円相当)を盗み、現行犯逮捕されたトラック運転手、有馬雄樹容疑者(34)は県警の調べに、「神戸の金属収集業者に1キロ500~600円で売りさばくつもりだった」と供述。以前にも4回にわたって計約3トンを盗んだことを認めており、売却先などを追及している。
業界関係者によると、金属収集業者の大半は零細な個人経営で、関西でも数百あるといわれる。警察署から古物商と金属屑(くず)商の許可を受ければ営業でき、実態は判然としない。
◆盗品が商品に
「中国特需のお陰で、なんぼでもさばける。いちいち品物の出所なんか確認しない。あからさまに盗品と分からなければ買うで」
京都府内の金属収集業の男性は言う。特にステンレスと銅は引っ張りだこで買値も高い。ステンレスは1キロ約400円。「1本5キロの支柱を10本盗んできたら、2万円稼ぐのと同じ。『もうかる』と吹聴して、盗みの手口まで教える悪い業者もおる」と明かした。
男性によると、車止めやチェーンはパワーショベルやプレス機で押しつぶし、銅線はカッターで被膜をはぎ、棒材や板材に成形する。「結局、盗品かどうかなんてわからんようになる。少しまとまった量を金属問屋に持ち込んだら、『最近、盗品がよく出回ってるから』と買いたたかれることもあるけどな」
大阪府内の別の業者は「盗品が形を変えて正規の商品になるということ。盗品と知って買えば、罪(盗品等有償譲り受け罪)に問われるが、問屋も『盗品の認識はなかった』という免罪符を得られる」と話す。
警察当局によると、こうした金属類の主な輸出先は中国とみられる。2008年の北京五輪や10年の上海万博を控えた建設ラッシュが要因とされ、財務省貿易統計では、日本からの銅の輸出量は昨年約22万トンと国別の輸出先でトップで、前年比約6万トン増、ステンレスは約30万トンで10年前の約10倍に上る。取引価格も10年前に比べ、銅は約4倍、ステンレスの原料のニッケルも約5倍に高騰している。
◆対策
相次ぐ被害に予防策を講じる自治体も出てきた。今年に入り、公園に設置していたステンレス製の車止め計29基を盗まれた大阪府東大阪市は、1基あたりの値段が10分の1の約5000円という塩化ビニール製への交換を始めた。
担当者は「車がまともにぶつかれば折れてしまう。根本的な対策にはならないが、これだけ多発すると、交換費用はバカにならず、背に腹は代えられない」。
全国の金属加工処理業者が加盟する社団法人「日本鉄リサイクル工業会」(東京)も、会員の業者に、持ち込み主の身元などの確認を徹底するよう文書で注意喚起している。
金属窃盗の発生件数が昨年、全国ワースト1だった大阪府警の幹部は「数十キロが一度に盗まれるケースが多く、重機などを持った専門のグループが暗躍している可能性もある」と指摘。府内の金属収集業者について、大量持ち込みなど過去の不審事例の洗い出しを進めるとともに、盗品と疑われるケースの通報を徹底するよう求めている。
この問題 本当に厄介ですね。最近は電線や金属パネルだけで飽き足らず、滑り台や墓地の線香皿、給水管の蛇口、半鐘、ガードレール、廃棄予定の給食容器、信号機一式など、一昔前ならば、当の泥棒も暗黙の了解で手を出さなかったものにまで盗み出すようになり、これではまるで終戦直後の闇市状態…。
また一部の自治体では車止めを大量に盗まれたために耐久性は低いが値段が10分の1の塩化ビニール製の車止めを再設置している自治体もあるようです。
警察だってこれだけ盗まれる物が多様化して何でも有り状態では対策の施しようもないでしょうし、盗品を受け入れる側にもしっかりしてほしいものですが、その盗品を受け入れる側のモラルも低下。この騒ぎ いつまで続くのでしょうか…。同じ日本人としてこのような行為は非常に悲しい事だと思います。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070305itw6.htm
全国で金属製品の窃盗被害が多発している。警察庁によると、昨年は全国で約5700件、被害総額は約20億円にのぼった。
街中から消えた車止め、チェーン、電線などは一体、どこへ行ったのか。流通過程には、一部の金属収集業者などが手がけているとみられる〈盗品ロンダリング〉の仕組みが見え隠れする。そして、盗品から商品へと姿を変えた金属製品の行き先は、急速な経済成長に伴う大がかりな社会資本整備が進む中国との見方が強い。
◆売りさばき先
慣れた操作でフォークリフトを乗りこなし、倉庫から、屋根材の銅板を運び出す男を防犯ビデオがとらえていた。
2月26日早朝、兵庫県尼崎市の古河電気工業大阪事業所から銅板約2トン(時価200万円相当)を盗み、現行犯逮捕されたトラック運転手、有馬雄樹容疑者(34)は県警の調べに、「神戸の金属収集業者に1キロ500~600円で売りさばくつもりだった」と供述。以前にも4回にわたって計約3トンを盗んだことを認めており、売却先などを追及している。
業界関係者によると、金属収集業者の大半は零細な個人経営で、関西でも数百あるといわれる。警察署から古物商と金属屑(くず)商の許可を受ければ営業でき、実態は判然としない。
◆盗品が商品に
「中国特需のお陰で、なんぼでもさばける。いちいち品物の出所なんか確認しない。あからさまに盗品と分からなければ買うで」
京都府内の金属収集業の男性は言う。特にステンレスと銅は引っ張りだこで買値も高い。ステンレスは1キロ約400円。「1本5キロの支柱を10本盗んできたら、2万円稼ぐのと同じ。『もうかる』と吹聴して、盗みの手口まで教える悪い業者もおる」と明かした。
男性によると、車止めやチェーンはパワーショベルやプレス機で押しつぶし、銅線はカッターで被膜をはぎ、棒材や板材に成形する。「結局、盗品かどうかなんてわからんようになる。少しまとまった量を金属問屋に持ち込んだら、『最近、盗品がよく出回ってるから』と買いたたかれることもあるけどな」
大阪府内の別の業者は「盗品が形を変えて正規の商品になるということ。盗品と知って買えば、罪(盗品等有償譲り受け罪)に問われるが、問屋も『盗品の認識はなかった』という免罪符を得られる」と話す。
警察当局によると、こうした金属類の主な輸出先は中国とみられる。2008年の北京五輪や10年の上海万博を控えた建設ラッシュが要因とされ、財務省貿易統計では、日本からの銅の輸出量は昨年約22万トンと国別の輸出先でトップで、前年比約6万トン増、ステンレスは約30万トンで10年前の約10倍に上る。取引価格も10年前に比べ、銅は約4倍、ステンレスの原料のニッケルも約5倍に高騰している。
◆対策
相次ぐ被害に予防策を講じる自治体も出てきた。今年に入り、公園に設置していたステンレス製の車止め計29基を盗まれた大阪府東大阪市は、1基あたりの値段が10分の1の約5000円という塩化ビニール製への交換を始めた。
担当者は「車がまともにぶつかれば折れてしまう。根本的な対策にはならないが、これだけ多発すると、交換費用はバカにならず、背に腹は代えられない」。
全国の金属加工処理業者が加盟する社団法人「日本鉄リサイクル工業会」(東京)も、会員の業者に、持ち込み主の身元などの確認を徹底するよう文書で注意喚起している。
金属窃盗の発生件数が昨年、全国ワースト1だった大阪府警の幹部は「数十キロが一度に盗まれるケースが多く、重機などを持った専門のグループが暗躍している可能性もある」と指摘。府内の金属収集業者について、大量持ち込みなど過去の不審事例の洗い出しを進めるとともに、盗品と疑われるケースの通報を徹底するよう求めている。
この問題 本当に厄介ですね。最近は電線や金属パネルだけで飽き足らず、滑り台や墓地の線香皿、給水管の蛇口、半鐘、ガードレール、廃棄予定の給食容器、信号機一式など、一昔前ならば、当の泥棒も暗黙の了解で手を出さなかったものにまで盗み出すようになり、これではまるで終戦直後の闇市状態…。
また一部の自治体では車止めを大量に盗まれたために耐久性は低いが値段が10分の1の塩化ビニール製の車止めを再設置している自治体もあるようです。
警察だってこれだけ盗まれる物が多様化して何でも有り状態では対策の施しようもないでしょうし、盗品を受け入れる側にもしっかりしてほしいものですが、その盗品を受け入れる側のモラルも低下。この騒ぎ いつまで続くのでしょうか…。同じ日本人としてこのような行為は非常に悲しい事だと思います。
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