石橋みちひろのブログ

「つながって、ささえあう社会」の実現をめざす、民主党参議院議員「石橋みちひろ」の公式ブログです。

憲法記念日に考える

2013-05-03 23:54:18 | 活動レポート

今日は憲法記念日。ゴールデンウィーク後半4連休の初日ということで、あまり意識せずに普通の休日と同じような感じで過ごしてしまいがちですが、今、改憲問題が騒がれているからこそ、あらためて憲法について考える日にしていただけれたらと思います。えっ、今日はもう終わっちゃった? いや、ぜひ連休中に時間をとって下さい!

今日は皆さんに、ぜひ憲法の前文をご覧いただきたいのです。普段、憲法というと、憲法9条だとか、13条、25条・・・と、有名かつよく議論の対象となる条文が注目されるのですが、実はこの憲法前文にとってもいいことが書いてあるんです。実はまだ前文をじっくり読んだことのない方、昔読んだけどもう忘れてしまった方、ぜひこの機会にもう一度読んでみて下さい:

 

 日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する

 そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する

 日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する

 われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。

 日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。

 (注:下線は私が引いたもの。読みやすいように一部、段落を変えてあります) 

 

この前文には、日本国憲法の理念と原理原則 --- 国民主権、基本的人権の尊重、平和主義、そして国際協調 --- が凝縮されて表現されています。そして、まず最も大事なことは、この憲法は国民が制定したものであって、その国民が選んだ国政の代表者たちは、この憲法を遵守し、実践するということです。つまり、この憲法は、国民が国(権力)を縛るためのものであるということですね。

そして、次の段落には、これらの原理原則に反する一切の憲法、法令等は認められないことが宣言されています。つまり、これらの原理原則こそが、憲法に優越する最も根源的なものだということです。この点をぜひ忘れないで下さい。

さらに、私が最も好きな部分の一つが、「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」というくだりです。これ、国際労働機関(ILO)憲章の前文ともつながる表現ですが、人類がみな平等であること、そして、自国だけの安定・利益を考えていては自国民の平和と繁栄を守ることは出来ないことを示唆しているのだと理解しています。

 

この前文に書かれた憲法の理念、原理原則を理解していただければ、今の憲法改正の議論のそもそも論がおかしい、ということに気づいていただけるのではないでしょうか?

まず、憲法の改正を求めるのは、国民の皆さんであるべきだ、ということです。憲法は、国民が国(権力)を縛るものなのですから、縛られる側の国(権力)側がその改正を求めるのは本末転倒なわけですね。「いや、でも国民が欲しているのだからそれを代表たる政治家が代弁して改正を主張するのは問題ないのではないか?」というご主張もあろうかと思います。が、であれば、まずは本当に国民がそれを望んでいるのかどうかを確認するプロセスが必要なのではないでしょうか。

この点から考えても、今、安倍政権が優先課題として取り組むと主張している憲法96条の改正(=憲法改正の発議要件を、国会議員の3分の2から2分の1以上に変更する)は、まったく正当な根拠を欠く議論なわけです。憲法96条が、憲法の改正発議に国会の3分の2以上の同意という厳しい要件を課している(=硬性憲法)のは、一つには、憲法によって縛られる側が安易に改正発議を出来ないようにしているから、二つには、最高法規としての憲法にはその他の法令よりもより厳しい要件を課すのは当然であるからなのですね。

一つ具体例を挙げましょう。もし、発議要件を2分の1にしてしまったら、時の与党(政権)がその1党の判断だけで憲法改正を発議できるようになるわけです。昨年12月の総選挙の例で言えば、自民党が圧倒的多数の議席を得たわけですが、自民党に投票したのは投票者の28%、全有権者の16%に過ぎません。それだけの得票で79%の議席を得たわけです。にもかかわらず、自民党だけでも憲法改正発議を出来るようにしたい、というのが安倍政権の目論見なのです。

3分の2の賛成を必要とすることで、単独の1党だけでは発議ができず、少なくとも複数の政党が賛同しなくては発議が出来ないようにしているわけです。このことは、立憲主義を守るために、つまり、憲法は国民が国(権力)をしばるものであるという根本原則を守るためにも必要なことだと考えるべきなのではないでしょうか。


と、長くなってしまいましたので、今日のところはこの辺で。今後、さらに憲法問題について皆さんと議論すべく、継続的に意見を述べていきますので、これからもぜひお付き合い下さい。


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2 コメント

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感想 (通りすがり)
2013-05-10 10:39:09
憲法改正を先に国民が直接求める事はできませんよね?選挙で選ばれた国会議員が発議した後に国民投票で権力をしばるのです。権力側が改正を求め発議する事が何故本末転倒でしょうか?憲法96条に沿った正当な行為です。
結局、3分の2であれ、2分の1であれ発議する事自体に反対と言う事でしょうか?それこそ憲法違反です。
「本当に国民がそれを望んでいるか確認するプロセス」って具体的に何ですか?96条を改正して、先に国民投票するのですか?
どうせなら「憲法改正や改正に向かう全ての行為に反対」と言う方がすっきりしてると思います。
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感想2 (通りすがり2)
2013-05-12 19:15:27
国会議員が発議して、国民投票でその権力側をしばるのが96条ではないのですか?
貴殿は国会議員の発議に前提条件(国民の意思を確認するプロセス)を設けるとの主張ですね。
つまり、96条を改定するということですね。
現条文では自民党単独であれ条件がそろえば発議する事に何ら問題ありませんよね。本末転倒とはどういう事でしょうか?
また、結果的に96条を否定されてますが、民主党は全会一致で96条維持を決め、提言にも96条はふれてませんよね。全く理解不能です。
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