ゆめ未来     

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男は夢を見るものだ

2020年04月20日 | もう一冊読んでみた
11月に去りし者/ルー・バーニー    2020.4.20  

久しぶりにハードボイルドのかっいい言葉を聞いた。
これだけでいい!

  男は夢を見るものだ

このミステリ、随所で文学的博識が垣間見られて楽しい。
そして、不思議なことにヤクザがなんとも紳士的で魅力的なのです。
ボスどもはそろいもそろって下品ではあるが。


 店の奥の隅にあるテーブル。ギドリーはそこが好きだった。人生の不朽の真実だ----追われる者は、近づいてくる相手を先に見つけたい。

 この商売のトラブルには感染力がある。風邪か淋病のように広がるのだ。まちがった人間と握手したり、運悪く何かを見たりすると、うつる。

 セント・ルイス大聖堂の階段にいる司祭は、相変わらずの熱の入れようだった。まだ若いから、神学校を出て間もないのだろう。ずんぐりした体型で、頬が赤い。体のまえで手を組み、望みどおりの目を出そうとサイコロに息を吹きかけているかのようだった。

 「あんたなんか怖くない」
 同じ台詞はまえにも聞いたことがあった。しかし、それは話しの初めにかぎったことで、終わりに聞くことはなかった。バローネはドリーの耳たぶのピアス穴に触れた。ドリーは怯むまいとした。昔、バローネに仕事のコツを教えてくれた古顔が言っていた。「苦痛に対する恐怖は、どんな苦痛よりも強力だ」それからウィンクをして、つけ加えた。「何をしているかわからないときにはな」


 彼女は可能性の種に水をやり、花が咲くかどうか見なければならない立場だ。

 「ここからずっと、どこへ行っても。考えてごらん。新しいものは古いものよりずっといいかもしれない。そのときになるまでわからないんだ」

 自分で未来を作れるなら、未来を占う必要はない。

 「雨が降れば土砂降り、だね」(悪いことは立てつづけに起きるいう諺)

 引き返す必要はない。何かあるたびに立ち上がることを選ぶだけだ。


 この広い世界の一人ひとりに、その人だけの物語がある。

 この人には物語がある。とシャーロットは思った。ぜったいに。

 「あらゆる決断によって、私たちは新しい未来をひとつ作ります。ほかの未来をすべて潰して」

 「愛は続かないが、なかったことにはならない」

 ためらう者は好機を逃す。


        『 11月に去りし者/ルー・バーニー/加賀山卓朗訳/ハーパーBOOKS 』



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