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沈黙の森 この星におれを繋ぎとめる錨である、きみがいなくなったりしたら

2021年10月18日 | もう一冊読んでみた
沈黙の森/C・J・ボックス  2021.10.18

訳者あとがきには、

 C.J.ボックスのデビュー作 『 沈黙の森 』 が出版されたとき、アメリカのミステリ界にはちょっとしたセンセーションが巻き起こった。

と、ある。

すごく面白かった。
その作家の全ては、デビュー作にあるとよく言われるがつくづく本当だと実感した。 読んで良かった。

大自然とそこで生きている家族と住民、絶滅危惧種の話だった。



主人公のジョー・ピケットは、何とも頼りない男なのだ。

 夏じゅう、オートは酔っぱらって何が起きたかを酒場で誰かれかまわずしゃべった。地元のアウトフィッターに銃を奪われた新人猟区管理官の話は大喜びで広められ、週刊誌<サドルストリング・ラウンドアップ>に掲載されている匿名コラム<牧場の噂話>にまで登場した。それは、地元で大受けするたぐいの話だった。最新版では、ジョーは括約筋がゆるんでしまい、銃を返してくれとオートに泣きついたことになっている。シャイアンにいるジョーの監督官は、噂を聞いて彼を呼びつけた。ジョーは実際に起きたことについては認めた。説明したにもかかわらず、監督官は彼の勤務記録に永遠に残る懲戒処分を下した。この先まだ調査があるかも知れない。

 猟鳥やクレーの標的が相手なら、ジョーはすぐれた射手だった。ところが奇妙なことに、静止している標的にはめったに命中しなかった。動いていたり、下やぶから飛び出してくるのでなければ、だめなのだ。

 父と娘の絆はひじょうに強いものだと、ジョーは気づいていた。二人は、彼が偉大なことをなしとげるのを期待している。自分たちの父親、すなわち偉大な人間なのだから、それが当然だと思っているのだ。..........いくつのときに、シェリダンの、そしてルーシーの目に、彼の栄光は色あせはじめるのだろう。現実を認めたとき、二人はどれぼど落胆するだろう。

それでも、ジョー・ピケットは、ぎりぎり踏ん張り誠実に生きている。
妻のメアリーベスに励まされ支えられながら。

 この星におれを繋ぎとめる錨である、きみがいなくなったりしたら。


    『 沈黙の森/C・J・ボックス/野口百合子訳/講談社文庫 』


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