保津川下りの船頭さん

うわさの船頭「はっちん」が保津川下りの最新情報や、京都・亀岡の観光案内など、とっておきの情報をお届けします。

東輝中学校・職場体験学習の講演会で話してきました。

2009-05-21 22:43:48 | 保津川下り案内
今日の午後から、地元亀岡市の東輝中学校で「職場体験学習」にともなう
事前の「講演会」が開催され、私はっちんが保津川遊船を代表し講師として
参加してきました。

近年、中学校では、実際に職場の業務を体験することで「働くこと」の
大変さや喜びを体感し、その意味を考える授業が行われています。
その中で地域の大人とコミュニケーションを図り、社会人として必要な
礼儀やマナーを学ぶのが狙いです。

職場体験学習に先がけ具体的な仕事のイメージを深めてもうら趣旨で
開催される「事前講演会」には対象となる2年生とその保護者の方々や
PTA関係者が学校体育館に集まり聴講されます。

毎年、私たち保津川遊船も地元企業の体験事業所として協力しているのですが、
事前の講演会で招かれたのは初めてのことです。

学校側から講師の私に与えられた「伝統産業を継承する仕事の厳しさとやりがい」
というテーマについて自分の思うところを講演させて頂きました。

講演会ではまず、保津川下りの仕事のフィールドなる保津川と
川下りの歴史について少し触れた後、「船頭」という仕事についての
説明とその操船技術はどの様に習得されていくのかという伝統的な
指導教育システムについて解説させてもらいました。

とはいっても相手は中学生です。
堅苦しい講演にならないように、自らの体験をもとに、やさしい言葉で
具体的なエピソードを交えながら、退屈しない話を心掛け話をしました。

特に船頭が約400年間、続けてきた新人教育システムである「師弟制度」
については詳しく話させていただきました。
観光業でありながら、職人堅気な気質を残す船頭の教育制度は、技術の習得を
目指す者の心がけが何よりも大事です。

約1年から2年の間、全くこれといった仕事出来ない新人を、担当した
2人の師匠が補いながら指導していく。ここには‘教える側’と‘教わる側’
との厚い信頼関係が築かれていなければなりません。

そのためには教わる側の姿勢・・・挨拶、返事、そして今出来る仕事を自ら探し
行うことが大切です。
その心意気を受けて教える側の師匠たちは愛情を持って、新人の世話をし、
一人前の船頭に育てていくのです。

時にはつらく、苦しいことも多々ある修業期間ですが、保津川の船頭みんなが
歩んできた‘道’で、この道を歩き一人前の船頭にならせて貰ったことなど
を話しました。

また、この講演会には今年入社した新人の山内勇樹君にも来て貰い、
今、感じている仕事への思いも語って貰いました。
緊張のせいか、やや言葉は少なめでしたが、苦しい修業の中で
見つける「やりがい」には、体験から出てくる言葉の強さを
感じさせるのに十分な内容でした。

壇上から話していると、終始、どの生徒さんも真剣な眼差しで話を
聴いてくれていて、ひとこと、ひとことに強い反応が返ってくれるのが
感じとれるとても話やすく気持ちのいい講演会でだったと思います。

講演終了後、学校関係者から「生徒たちは社会へ厳しさを求めています。その厳しさの中で、
自らを鍛え実社会に通用する人間になろうと思っています」と
生徒さんのこの職場体験にかける意気込みを聞かせていただきました。
我々もしっかりこの生徒さん方の思いを受けとめ、将来に役立つ職場体験を
提供できるようにカリキュラムを組んでいきたいと思っています。

中学校の生徒の皆さんは、保津川下りに職場体験にお越しなったら、
学校では体験できない、船頭という観光業でありながら、職人気質が
残る独特の世界で仕事を経験し、その大変さとそれにも勝る楽しさと喜び、
やりがいを感じながら、その人気の理由なども探って帰られると
面白い職場体験になると思います。そして観光業の魅力も感じて貰えれば幸いです。

*実はこの講演会に同校・中学2年生になる私の息子も聴いていたのですが、
 帰宅後「皆、お父さんの話に感動していたよ!保津川下りの体験を希望する人が いっぱいで抽選会をするらしい」
 といううれしい報告をしてくれました。
 今回、このような講演会にお招き頂き、保津川下りのことについて話す機会を
 与えて貰い、私の方こそ、とても貴重な職場体験をさせて頂いたと感謝しており ます。