保津川下りの船頭さん

うわさの船頭「はっちん」が保津川下りの最新情報や、京都・亀岡の観光案内など、とっておきの情報をお届けします。

剣鉾舞う‘嵯峨祭’に遭遇しました。

2009-05-24 21:47:21 | シリーズ・京都を歩く
今日、保津川を下り嵐山の渡月橋を渡っていると、遠くから「チリン♪チリン♪」
という鈴が鳴るような音が聞えてきました。

前方を見ると渡月橋横の交差点は人だかりの山、山、山。

そう!今日は5月の第四日曜日で「嵯峨祭・還幸際」の日です。

「嵯峨祭」は愛宕山頂にある愛宕神社と野宮神社の合同の神事として催される祭で、
地名に「嵯峨」がつく嵯峨学区(京都では小学校単位で学区と呼ぶ)29町内に伝わる住民参加の祭として、天文二十二年(1552)と始まったといわれています。

祭としては「神幸祭」(第三日曜日)と「還幸祭」があり、玉串を奉納する儀式のみの神幸祭に対し
御輿や剣鉾行列が行われる還幸祭が本番となる祭です。

行列は大人御輿二基と子ども御輿二基、五本の剣鉾、稚児行列が嵯峨町内一帯を
巡行します。

3時過ぎに嵐山に着いた私たちは、ちょうどその御輿などの行列がメインとなる
渡月橋へ向かい、進んでいるところに遭遇することができたのでした。


嵯峨祭の最大の特徴はこの「剣鉾差し」行列の妙技です。
「差し手」と呼ばれる剣鉾を持つ者が、腰につけた差袋に鉾を直立させ、
左右の足を交互に跳ね上げながら、体を揺らして柄に付けた鈴を鳴らしながら
歩いて行きます。
この祭に使用する剣鉾は他の地域のそれとは異なり小型化されておらず、
昔ながらのもので、歩き方も昔のスタイルを守っているそうです。
行列はこの剣鉾差しが御輿を先導する形で進みます。、

ルートは奇数年度と偶数年度で変えて進むらしく、毎年約150人が参加する
子ども御輿二基と50人の稚児行列も加え、約千人が行列に参加します。   

私たちが遭遇した嵐山・渡月橋横の交差点付近は祭のメインストリートで、
剣鉾の差し手が力を振り絞り、体を左右にねじりながら足を上げる
パフォーマンスを見せると、沿道に集まった大勢の見物人から
大きな歓声が沸き起こりました。

この勇壮で絢爛豪華な嵯峨祭の巡行は、インフルエンザの騒動で意気消沈ぎみの
嵯峨・嵐山を地元住民みんなで盛り上げ、活気づけ様とするエネルギーを感じました。
ここにも、幾多の戦乱や危機を生き抜いてきた‘京都の力’が息づいています。


☆江戸時代には詩人・松尾芭蕉がこの嵯峨祭を見学し記載した旅記が残っていま  す。
 また、江戸後ま期の「嵯峨祭行列絵巻」が、現在はアイルランドのチェスタ一・ ビティ―美術館に所蔵されています。