ユリイカ - deep breathing

Copyright (C) 2008-13 Eureka. All Rights Reserved.

ふたつの窓の風景

2009-11-30 17:37:20 | 散歩道にて

ちょっと 遠出のお散歩です 一週間ぐらい前ですが 
旧古河庭園の薔薇園に 車でおでかけしました
晩秋の薔薇たちが迎えてくれました。

洋館の中の喫茶室でお茶をしました。
私たちが案内された広いお部屋にはゆったりと大きな机が6つ
6組しか入れません
みなさん静かに午後の一時を楽しんでおられました

窓の外には薔薇が機嫌良く咲いていて
西日が入るこの部屋にはどこの窓なのか誰の影なのかも
よく分からない不思議な影が目の前に広がっていました

太陽は毎日少しずつ傾きを変えていきます
お茶をしにくる人も偶然に立ち寄ったとすると
この風景はこの日にしか見られない特別な風景だったのでしょうね

美味しいパウンドケーキと紅茶の香りを思い出します

そうそう他にも雰囲気が全く違うお部屋がありましたよ
そちらはこっくりした赤のお部屋でした
次はそちらでお茶をしましょ

検査の結果と今後の治療方針

2009-11-28 11:23:03 | 肺がん
昨日は一日J病院でした。

血液検査とCT検査、その後二人の医師と夫を交えた4人でCT検査と今後の治療方針を話しあうというものでした。
検査の数が少なかった割に医師との相談の時間が4時半頃に設定されていたため、一日仕事でした。
途中の空き時間(1時から4時)は一旦家に帰りました。

朝血液検査をしたところ、腎臓機能がものすごく悪い訳ではないけれど、今ひとつだったので
CTは造影剤なしで行いました。造影剤が入った方が判りやすくなるのですが、腎臓に負担がかかります。

CT検査の結果はいいものでした。

原発の肺癌(陽子線で叩いたところ)は綺麗に消えていたし
リンパ節転移が疑われた場所も画像判断で言えば、消えていました。
胸水は減ったものの少し残っていて
CEA(腫瘍マーカー)は最高53になっていたものが33(これは今回の結果ではなく
一ヶ月ぐらい前の一回目の抗癌剤治療の後の検査の数字) に下がっていました。
骨に関しては画像診断する専門家が見ていないのでよく分からないということでした。
頭に関しては今回検査をしていません。

私の癌って不思議です。
腫瘍らしきものは今は画像上ではみつからないのです。
ただ癌性胸膜炎は胸膜にできるのでCTには写らないことと
骨転移した状況から全身にがんがあると判断されています。

呼吸器内科の入院中の担当医の若い女医さんと
いつもの外来で診てもらっているLAMの医師とお話しました。

ネットで調べると癌性胸膜炎は長くて一年ぐらいの余命だけれど
それは統計であって、個人差もあり、治療した場合2~3年生きられる方もいる。
でも5年となると限りなくゼロに近いということでした。

せっかく効果があった抗癌剤治療なので少し心がぐらつきましたが
とにかく今は体調を戻すことに専念したいことと
QOLが高い生活がしたいということを再確認して

私の意志を尊重してもらいました。

女医さんの方には効果があっただけに「もったいないような気がする」と言われましたが...
私も医師の立場だったらそう感じると思いました。
ただ、私の場合は抗癌剤治療を続けても完全寛解することはないということも明言されましたから
今はすっきりした気分です。
あれだけ苦しい思いをしたのだから、せめて効いてくれて良かった!
でも、私の体力を考えるとここが引き際です。この判断は本人にしかできません。

また体調が良くなって気分が変わったらいつでも抗癌剤治療を受けることができると
言って頂きました。
それを聞いた時は、やっぱりそれしか選択肢を持ってないのねと
強いられているような気持ちになりましたが

一日経って朝になってみると
家出したい子にまた戻ってきたいと思うときはいつでも戻ってきていいんですよ。
と言ってくれたんだと思えました。



とにかく胃腸の調子や体調が良くないので少しずつ戻すことが今の目標です。
今の体調がどうかということは呼吸機能以外は全く質問されないし
その対処法も持ってないというのが大学病院の呼吸器内科の限界です。
そこに不満を感じるけれど、漢方など自分の体質にあったものを
自分で探していくしかないんでしょうね。

肺癌だろうがLAMだろうが
胃腸の病気は持ってないんだから、そこを元気にすることは可能!
腎臓も弱ってはいるけれど、復調傾向なのできっと良くなります!

とにかく医師や家族とのコミュニケーションがちゃんとできたことで
前向きの自分らしい気持ちを取り戻しつつあります。


ちょっと機嫌をなおしたハワード

2009-11-26 13:23:45 | 家族

どうも最近ハワードがよってきません。
ホカホカ竹カーペットの上でくつろいでいるので人間の膝がいらないのかもしれませんが
写真を撮ろうとしてもカメラ目線くれないし~
ブラッシングしたりなでなでしてあげてちょっと機嫌をなおしたハワードです。
やっぱり私も入院で家にいなかったり、その後も調子が悪かったりで気持ちに余裕がなかったのかな。

夫とも今後の治療方針のことで食い違いがありました。
彼は元々科学者ですから、あらゆる西洋医学を駆使して現在寛解状態になっている
ある肺癌の男性患者さんのブログをバイブルのようにしていて
この方はこうやって治っているんだから... とよく言われました。
でも、私とその方は同じ体ではありません。
とにかく、私は明日のCT、血液検査などの結果が良かろうと悪かろうと抗癌剤治療を
続ける意志はないので、それを尊重して欲しいとお願いしました。

不本意な様子でしたが、なんとか了解してもらいました。

男性の考え方と女性の感じ方は違うし
体の不調の感覚はなかなか伝わらず、面倒だけれど
言葉を尽くして家族に伝えないとなかなか判ってもらえないようです。

患者本人と患者の家族の気持ちというのもまた違います。

猫のハワードですら、何か変化を感じているのですから
家族の心労はなおさら。
わかってはいるけれど、這うようにして食事や掃除をし身の回りの事を
やっている私としては家族の気持ちを理解する余裕が少ないと反省することしきりです。

もちろん夫もゴミ捨てや洗濯、洗い物など、一生懸命やってくれています。
そして私にとって今は食事作りはリハビリのようなものなので
ちょっと体がだるくても自分でやることで元気になっているところがあります。

私は今、自分の命の可能性に積極的になれない気持ちがどうしてもあるので
(医師から肯定的な見解を聞いたことがない)
そういう思い込みを捨てること、自分の体の力を信じること
家族と体調や考え方について、折に触れて話し合うこと
そういう事をすることが、今大切だなと感じています。

立花隆 思索ドキュメント がん 生と死の謎に挑む という 番組を見ました

2009-11-24 19:29:59 | 肺がん
昨晩(11/23)
立花隆 思索ドキュメント
がん 生と死の謎に挑む
という番組を見ました。

http://www.nhk.or.jp/special/onair/091123.html

がん治療最前線という番組ではなく
そもそも、がんとはなんなのか、なぜ転移するのか、ということを追求した番組で
とても興味深く、感動すらしました。

世界の最先端の研究者によれば、がんの治療が解明するにはまだ50年,100年はかかるそうです。

どうして沢山の人が研究しているのにそんなに時間がかかるのか...

それはがんが突然変異の異物というだけではなく
人間の生命の仕組みとリンクしてしまっているから...

京都大学で人口多能性幹細胞(ips細胞)の作成に成功した山中伸弥さん(たぶんこの方だと思います)が
ips細胞というのは、再生治療のホープとして期待されているが
実は半分はがんの遺伝子で構成されている
だからこの細胞はがんと紙一重なんです
と説明されていたのがとても印象的でした。

私たちはしっぽが切れても(元からないじゃん^ ^;)とかげのように生える能力を
持ち合わせていないのだけれど、敢えてそのようにプログラミングされていないのでは
ないかというようなことも言われていましたね。

そういう増殖の仕方をしないで
20代ぐらいまでに子どもを生み繁殖することで子孫を増やす仕組みに
なっているので、そういう増殖能力は封印されているというか。

初期の癌は切除という方法で、体から取り除くことはできても
化学療法でなぜ完全に取り除くことができないのかということが
よく説明されていました。少なくともテレビを見ているときは分かったような気がしました。

スーパーカミオカンデで有名な物理学者、戸塚洋二さんは今年の夏に大腸がんで亡くなりましたが
http://fewmonths.exblog.jp/
私はこのブログを読んでいませんが壮絶な抗癌剤治療との戦いを
物理学者らしく研究している様子を他のテレビ番組で見たことを思い出しました。
彼にはやり残した研究もあったし、ひどい副作用があっても命の時間を延ばす必要があったようです。

立花さんは戸塚さんが亡くなる一ヶ月前に彼を取材していました。

がんの末期は一体どうなるのか...
患者としては一番気になるところです。
小規模なホスピスが取材されていて、患者さん達は家で過ごして往診してもらっている方
入院して家族に見守られていた方、痩せてはおられましたが、そこには笑顔がありました。

立花さんの感想だったか沢山の人を看取ったそのドクターの言葉かを失念してしまったのですが
「死ぬまでちゃんと生きられる」という言葉にほっとさせられました。

なお、立花さんは膀胱ガンの手術をして今は落ち着いていますが
医師からは8割は再発すると言われているそうです。
でも、再発した場合、多発性の癌なので化学療法(抗癌剤治療)が標準的な治療になりますが
立花さんは
「私はやりません」と患者が集まる講演会できっぱりと言われていました。

抗癌剤治療を止めることに
私自身、家族や友人の期待を裏切るのではないか、治療の辛さに根を上げた弱虫じゃないか
というストレスにさいなまれていました。
しかし、この番組を見る事によって、科学的にも標準治療とされる化学療法の限界が見えて
そのストレスから解放されました。

ただ、どこの部位の癌か、病期、その人の体質、考え方がありますから
これは私の場合の結論です(肺腺癌IV期、癌性胸膜炎、重度の肺リンパ脈管筋腫症)。

残念ながら、癌治療はまだまだのレベルということを自覚して
病院から提示される治療法に不本意なのに続けるということは避けたいと思います。



気持ちの薬

2009-11-20 11:22:19 | 肺がん
昨日の夜は今まで行ってきた治療の流れや自分の考え方などに思いを巡らせていました。

気づいたのは、抗癌剤治療という辛い治療へのアレルギー反応として
治療以外の事でも自分を守ろうというする姿勢が強くなりすぎているという事でした。

抗癌剤治療にしたって、私を傷つけようとして行われた治療ではありません。
良かれと思っての治療だったけれど、予想以上に副作用が強かったということだけなんです。

そして、その副作用や体のコンディション、自分にとって一番大切な事を
きちんと医療者にも伝えなければ。
医師からも、抗癌剤中止したい旨のメールを出したところ
お返事を頂き、11/27のCT検査時に家族も同席して
きちんと今後の治療について話し合いましょうということになりました。

みんなが私を応援してくれている!
だけど、医療者とは言葉が違うから(検査の結果やQOL調査票に私が書き込んだことを指標として彼らは評価する)
すんなりと分かり合えないかもしれないけれど、できるだけで構えないでいきたいものです。
彼らも私を楽にしようと努力してくれているのです。

今、私は自分を元気にする治療として免疫療法を考えています。
これは登場した頃は大分怪しい療法として、大学病院の医療関係者には歓迎されなかったけれど
最近は抗癌剤治療で下がった免疫をアップする方法として認められてきています。

他に鍼灸で抗癌剤の不快感をとるというのも効果があるみたい。

『がんの代替療法』有効性と安全性がわかる本
http://www.amazon.co.jp/がんの代替療法―有効性と安全性がわかる本-ハーバード大学の研究グループによる最新報告-ウェンディ-ウェイガー/dp/487954518X/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=books&qid=1258684947&sr=8-1

を読みました。

平成16年に出ている本ですから、ちょっと古いですけれど
代替療法の効果について論文などの根拠をきちんと載せています。

肺がん患者にとっては
健康体重の維持
運動の増加
野菜と果物の摂取量を増やす
ことは
がん生存者において、おそらく確実に有効性があるか、又は有効な可能性がある。
になっています。

食物繊維についてはがん生存者における有効性と害について結論するだけの、十分な科学的根拠がない。
となっています。大腸がんの方には有効らしいのですが。。

な~んだ
平凡な結論ですが
自分が体に良さそうと思ってやっていることでいいんだと分かりました。

抗癌剤治療のことですが
自分なりにちょっと考えてみました。
自分の性格をよくしようと考えたりすることがありますよね。
欠点を直そうとやっきになると、長所も失ってしまうことがあります。
抗癌剤治療もこれに似ているところがあるんじゃないかと。
がんという欠点をなくそうと必死になる余りに
生命力という人間にとって一番大切なものを失うということです。
だから、さじ加減が大切なんじゃないかって。

免疫療法は欠点を直そうとするものではなくて
自分の良いところを伸ばそうとする治療。
それによってQOL(生活の質)が保てて延命も可能になるようです。

こうして色々考えなおしてみると
私をサポートをしようと、多くの友人が家族が医療者が力を貸してくれていることに
改めて気づきました。本当にありがとうございます

胃腸の調子が悪いことが多いのですけれど
半分はこうした気持ちの持ちよう。
おかげさまで少し楽になりました。

治療だけじゃなくて気持ちの薬も大切にして生活していきたいものです。


抗癌剤治療たぶん止めます

2009-11-17 13:51:07 | 肺がん
2回の抗癌剤治療が終わったところですが、もうこれで止めたいと考えています。

抗癌剤治療については余り前知識を持ってしまうと、
とても治療を受ける気にならなくなると思ってほとんど調べませんでした。
他の人の例を知っても、私の体とは違うし
変に神経質になってもいけないと思ったからです。

でも2回やってみて
抗癌剤(アリムタ+シスプラチン)は毒を飲むのと同じと体は悲鳴を上げています。
どんどん毒が溜まっていく感じ。
シスプラチンはプラチナの化合物で腎臓や消化器毒性が非常に強い薬剤です。
しかも私の場合はこれを乗り越えれても骨転移があるため治らないのです。
医師から「あくまで延命で治りません」とはっきり言われています。

しかし、腫瘍のサイズがどうこうという話ではなくて
私の場合はほっておくと胸水が増えてしまって
その事が呼吸機能を悪化させて命を奪います。
だからがんの勢いを落とすためにも2回の抗癌剤治療は有効で
胸水が減り、実際呼吸機能は一時的かもしれませんが良くなりました!
これは嬉しいことです。
だからやらなければ良かったとは思っていません。

でもね、ものすごく体が弱っています。
1回目の後も感じたけれど、さらに疲労感が重なっています。
シャワーをあびる、着替えをする、食事をするという
基本的な身の回りの事をするのが精一杯の体調です。
そしてこの疲労感や不調は他の抗癌剤経験者に聞いたところ
4ヶ月ぐらいは抗癌剤終了後も続くそうです。

具体的には私は倦怠感と嗅覚異常(鋭敏になりすぎ)、味覚異常に悩まされています。
これも抗癌剤をやめてもすぐには戻らないもののようです。

病院でも辛かったのはこれでした。
化学物質過敏症という病気がありますが、それに近い感じで
ビニールや脂の匂い、アルコール臭、各種消臭剤の匂いが拷問のようでした。
自分なりに好きな匂いを近くに置いて工夫したんですが...
看護士さんたちは優しく、人間関係では不満はありませんでしたが
この生理的なものはどうにもならなくて。

それと今まで自分の他の人よりデリケートな部分を安定剤(リーゼ)の力を借りて
鈍感にさせて生きてきたんですが、この薬が2回目の抗癌剤治療から
全く効きません。気分の問題というより効果が抗癌剤によって打ち消されてしまっている感じです。

それから、体のふらつき、眼精疲労(視力もさらに落ちました)、吐き気(これは落ち着きつつあります)
集中力の低下。

今まで、とにかく困難な状況でも、なんとか切り抜けられる治療を探して
生き長らえるように努力してきました。
とにかく病気をやっつけなくっちゃいけないって必死でやってきました。
医師としっかりコミュニケーションをとり、ポジティブ思考でやってきたけれど
この体の弱り様を自覚すると(しかも戻らない)今までとは違う努力をすべきと考え始めました。

体をできるだけ元気にする治療を受ける
病院以外で楽しく過ごせる時間の割合を増やす
美味しいものを食べる
治療にやっきにならない
根治的でなくても痛みをとること、胸水が増えない対策を医師に考えてもらう

もう命の時間の長さは私の関心事ではありません。
それに対する不安も全くありません。

自分ができるだけ快適に過ごせる時間が少しあればいいと
心から願っています。

実際は最近はお酒が飲めないんですが
美味しいお酒がちょっぴりあれば人生は楽し♪
と思いませんか。

良く「生ききる」のはなかなか大変ですが
周りにも協力してもらってラストスパートをかけたいと思います。