図書館に頼んでいた『薔薇のパルファム』(著者:蓬田勝之、写真:石内都)が届いた。昨日は東京の大学病院で口腔外科手術(先生の腕が良くてで無事終了)を受けたので、待ち時間に読むのに本当にぴったりの本だった。著者は資生堂に在籍していた香料分析のエキスパート。香りの科学的な分析やバラの香りの系譜などを歴史的な逸話を交えながら書いていて中身が濃い。本からは香りがしないのだけれど読んでいるだけで、香りが立ち上ってくるようだ。その中に「薔薇は医者だった」という項目がある。バラの香りは血液の循環やストレスに効くそうなのだ。特に女性に効きそうな病名がずらりと並んでいる。やっぱりそうだったのか。このところの香りを重視したアンティークローズのブームは単なる流行りではなくて、ストレスにさらされる現代の女性が無意識に求めるものとバラの苗を供給する側の狙いがぴったり合ったということだったんだ!と合点する。アメリカのバラ協会は「香りのない薔薇は、笑わぬ美人に同じ」と言って香りの楽しみを提唱したそうだが、うまい表現だ。
日差しが良く入る病院の待合室で静かに手術開始時間を待ちながら、この本は私の最高の精神安定剤になってくれた。
日差しが良く入る病院の待合室で静かに手術開始時間を待ちながら、この本は私の最高の精神安定剤になってくれた。