ユリイカ - deep breathing

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無意識に求めていたものーバラの香り

2007-02-27 19:12:21 | 薔薇
図書館に頼んでいた『薔薇のパルファム』(著者:蓬田勝之、写真:石内都)が届いた。昨日は東京の大学病院で口腔外科手術(先生の腕が良くてで無事終了)を受けたので、待ち時間に読むのに本当にぴったりの本だった。著者は資生堂に在籍していた香料分析のエキスパート。香りの科学的な分析やバラの香りの系譜などを歴史的な逸話を交えながら書いていて中身が濃い。本からは香りがしないのだけれど読んでいるだけで、香りが立ち上ってくるようだ。その中に「薔薇は医者だった」という項目がある。バラの香りは血液の循環やストレスに効くそうなのだ。特に女性に効きそうな病名がずらりと並んでいる。やっぱりそうだったのか。このところの香りを重視したアンティークローズのブームは単なる流行りではなくて、ストレスにさらされる現代の女性が無意識に求めるものとバラの苗を供給する側の狙いがぴったり合ったということだったんだ!と合点する。アメリカのバラ協会は「香りのない薔薇は、笑わぬ美人に同じ」と言って香りの楽しみを提唱したそうだが、うまい表現だ。

日差しが良く入る病院の待合室で静かに手術開始時間を待ちながら、この本は私の最高の精神安定剤になってくれた。

5℃が境界線

2007-02-25 17:03:20 | 考える
春だ春だと喜んでいたのに、やはり2月、この2、3日の寒さに震える。バラもせっかく芽が出てきたところでストップ。でも昼間が雨の時は日中は寒く感じるが最低気温は高い。このところ、最低気温が5度の日が二日続いたら地植えのものはムクムク動き始めた。今朝はもちろん寒かったから凍えてましたが。植物に夢中になっていると、天気とか温度にすごく敏感になる。アメダスなどをチェックしてしまう。

この芽は温度で動くのか、お日様に反応しているのか、そういうことも気になってくる。調べてみたら、やはり温度ですね。最低気温が5度を上回ると活動し始めるのだそうだ。私が住んでいるところだと、平均気温で言えば3月の末に最低気温が5度を上回るのだが、今年は暖冬。今までの折れ線グラフの動きから見ると平年を3度ぐらい高めの線を動いている。一週間ぐらいすれば、最低気温が5度を超える日が増えそう。楽しみ!

それにしても、この分析をもう少し違うことに使えばー例えば株とかーもっと有益なのかもしれないけれど、しろうとは株は株でも植物の株にしておいた方がよさそう。

アンティークなもの二題 - 19世紀半ば

2007-02-20 20:07:54 | 考える
今朝、先週注文したアンティークローズYolande d'Aragonが届く。とにかく香りがすばらしいというで1843年にPierre Vibertさんが作出したバラである。私は余りにも花びらが多く、ゴージャスすぎる花は好きではないが、とにかくかなりの人が絶賛するバラを育てて(くんくんして)みたかったのだ。でも、あちこちのサイト(特にアメリカ)にお邪魔して写真を拝見すると、香りだけでなく樹と花のバランスがよく樹性も強いようなので、期待してます。

さて今日読了した本は『水晶』(アーダルベルト・シュティフター著 チェコ生まれ)である。奇しくもYolande d'Aragonが生まれたのと同じころ書かれたもの。読み始めは山間の風景描写が多く、ちょっぴり退屈な部分もあったが、画家でもあった彼の精密な観察力(自然のみではなく人間同士のつながり)と描写に惹き込まれていく。大言壮語を嫌う彼らしい細やかさと、それであって強い理想が描かれて心洗われる。

こうして160年も前に生まれた小説とバラを骨董品としてではなく、今こころに必要なものとして味わうことができるのは本当に幸せなことである。戦争もあった動乱の時代に花作りや小説を書き続けることには様々なジレンマもあっただろう。でも、戦争は一部の科学技術に貢献はしたが、こころには何も残さなかった。

自分は何が残せるだろうか。


rooms14(2007.2/14-2/16)

2007-02-17 12:03:13 | アート
ファンション合同展示会の「rooms」に昨日行ってきた。以前、コラボレーションしたジュエリーのデザイナーさんから招待状を頂いた。前回、代々木の体育館で開かれたものを見に行ったが結構アート色も強く面白かった。今回は六本木のアカデミーヒルズの40階だったので、天井も低く大分こじんまりしていたが、一部日光が燦々と入る場所もあって、展示商品も人も生き生きして見えた。バイヤーさんに向けた若手又は個人で活動するデザイナーさんの展示会なので、私はいわば見学者でしかない。お店に行くのとは当然空気が違う。でも、商品(見本ですね)自体は普段お店にならんでいるものと違ってすごく「とがっているか」というとそうでもない。前回一年半前に見たroomsの方が迫力あった感じ。外国勢が今回はおとなしかったせいかな。前回は季節も違ったし、外国勢のブースでみた鮮やかな色の帽子などちょっと日本ではお目にかかれない商品が刺激的だった。全体のテーマは「Jungle」だったが、優しいジャングルだったかも。私はファンション関係者ではないし、あくまでしろうとの感想でした。roomsのHPはこちらです。

www.roomsroom.com

季節が春めいてくるにしたがって、色に敏感になってくる。最近白っぽい色よりも、鮮やかな色、ローズピンク、モーヴ、クリムゾン、といった色に惹かれている。ハニーカラーもそうかな。バラの花のカタログを見ていたというのが、大きな理由だと思う。紙の色見本と違って花の色は反射光と透過光の混じった色だと思う。それが様々なデリケートな色を作りだしている。でも、色の科学の本を読んだのだけれど、正直いって余りピンとこない。早く5月になって自分の目で本物の花びらの色を確かめた~い。

ユリイカとファウンド・ローズ

2007-02-10 10:05:33 | 考える
ユリイカというのはブログのタイトルは"Eureka"というギリシャ語からとっている。「我、発見せり」という意味である。昨日、英語の辞書で調べてみたら「わかった、見つけた;やった、できた<I have found (it). の意;アルキメデスが王冠の金の純度を測る方法を発見した時の叫び声」とあった。このアルキメデスの部分は知らなかった。まあ、こんな大発見ではなく、毎日の暮らしの中での小さな発見を書いております。

ところで、今年は久しぶりに私のガーデニング熱が再燃してしまい、暇さえあればネットでバラの品種などを調べてしまう。そこで、見つけたのがファウンド・ローズと呼ばれるバラの一群である。一言でいえば血統書のないバラで今まで生き残ってきたバラ。詳しくは「ファウンド・ローズ」で検索してみてください。当然、強健で魅力がなければ生き残っていない。余り手をかけたくないガーデナーとしては最適である。

ユリイカの「発見」とファウンドの「発見」は意味が違う。ユリイカは「find out(理解する)」と「そうか、そういうことか!」という驚きが混じった意味と私は理解している。でも、もはや記録の残っていない育種家の夢が一本のバラとして、今なお再現され続けていることには、さらに育種を続ける方々にとって大きな発見「ユリイカ」があると思う。

神保町で古本買い取ってもらえませんでした

2007-02-07 17:52:09 | 日常のこと
私は月の内トータルで一週間程東京、残りは地方に住んでいる。電車に乗っている時間も無駄だし、もともと本が好きなので、結構本がたまってくる。今まで近くの区立図書館でリサイクル本として出していたが、今日は用事もあったので、神保町の古書店街で買い取ってもらおうと10册ぐらいみつくろって持っていくことにした。重いのでそのぐらいにした訳である。

でもその数と持っていった本のセレクトが間違っていた。家族が読んだ洋書のペーパーバック、これは扱っているところがほとんどない。新しい本が2冊、防犯上の理由から断られる。つまり万引きして持ち込むことができる量ということで、警察から指導を受けているとのこと。古書店独特の愛想のなさでこれを言われると、いい気分はしませんよ~

そこで、私のこれからの本の買い方、売り方のまとめです。

1. できるだけ、図書館で本を借りる。
2. 3年以内の新しい本はブ○クオフなどで、ダンボール一箱分ぐらいまでためて田舎にいる時に車で持っていって売る。
3.学術系の本は量がまとまってから、神保町の専門書店に連絡をしてから宅急便で送る。宅急便代が捻出できる額になるかは疑問。しかし、神保町かいわいの大学で長年使われている教科書だったりすると意外に高値で買ってくれることがある。以前3500円の本を1000円で買ってくれた。手持ちだったら身分証明書は必要。
4. 英語のペーパーバックは区の図書館のリサイクルに出す。

3.に関しては、神保町の古書店のみなさん、よくご存知の方、ノウハウというか「掟」がありましたら、ご意見くださいな。




国立新美術館を見学してきました

2007-02-04 20:23:21 | アート
2/1に最近六本木に開館した国立新美術館に行ってきた。時間がなかったこともあり、展示というより、黒川紀章氏設計の建築を見に行った。福井市美術館が下敷きになっているそうだが、ウェーブのあるフォームが美しい。だが、黒川氏はフォルマリズムを否定していて、「共生」という言葉をキーワードの一つとして使っている。現在開催されている黒川紀章展(入場無料)で過去の作品の模型を見て、ユニークだと思ったのは1961年頃の「霞ヶ浦計画案」である。水上都市の構想で、非常に未来的だが、上から描いた手書きのエスキスを見ると私には茨城県霞ヶ浦の近辺に広がる蓮田を立体的に再現したように見える。今回の建築で何より特徴的なのが、内部にある巨大な逆円錐形のコンクリートの壁の上に広がるカフェやレストランのスペースである。これだけのボリュームだが、霞ヶ浦計画の蓮の葉のコロニーのミニチュア版のようで、浮いているような感じがする。平日だったがお客さんも多く、この場所でお茶を飲んでみたいと思わせる素敵なパブリックスペースが東京にできたということも嬉しい発見だ。でも、おかしかったのはこの逆円錐型のスペースは高低がついて2つ(3つだったかな?)あるのだが、高いスペース程、料金が高いのである。一番上のレストランはランチが2000円前後、中層階のは飲み物で700円ぐらい、一番下はセルフサービスで350円ぐらい。この辺りのヒエラルキーが六本木らしかった。肝心の展示スペースは全てを見ていないので、はっきり言えないが、「◯◯会展」の展示を沢山するのには適しているだろうなあ、という感じのつくりだった。国立新美術館のHPはこちらです。

http://www.nact.jp/