秋田ぐらし akita life

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イザベラ・バード小繋(能代市二ツ井小繋)から大館に向かう

2017年05月22日 | 日記
 小繋を早朝に出発して、イザベラ・バード一行は雨の中を進んでいくが、道は通行不能に近い状態で、雇った馬は5度も転び、バード持病の背中の痛みと疲労がひどく北海道へ向かう目的が挫折するのではないかと絶望に陥りかける。
バードにとってはこの地が未開の地であり、駕籠も乗り物もなく、荷馬が唯一の輸送手段であり、昨日の米代川を渡る際に自分の鞍をすててしまったので、荷馬用の荷鞍を利用するしかなく、その乗り心地といえば、先端がえらく角張っていて、乗り心地が悪く、その上に敷いてあるぐっしょり濡れているうえあらってもいない布団といい、円材、索具どれもがどうにも腹立たしい気分にさせる。馬はお尻をついて坂を下ることがあったり、上りのときは這うような姿勢になったり、とびあがったりするので、のっている人間はうしろにすべり、お尻がら投げ出されてしまいかねない具合である。
そんな中でも風景の美しさを書いている。すこし引用すると

  白いもやが晴れて樅の木立を頂いた山々が垣間見えると、どしゃぶりのなかでさえこのあたりは美しい地域でした。滑り落ちるように山道を下って出た深い谷間には、苔むした石、同じく苔に覆われた切り株、羊歯の絨毯、湿った芳香を放つピラミッド形の杉があり、灌木が多く見られ、広々とした水田、すざまじい洪水がありました。

と、雨の中でも風景をみる余裕が見られる。
バード一行は雨にぬれながらも、次の宿場、綴子(つづれこ)(北秋田市綴子)に到着するが、綴子の駅があまりにも汚くバードが雨のなかを通りに座って休んだと書いているが、綴子は羽州街道の宿場として津軽藩主の本陣が置かれた宿場町であり、バードが思うほどひどい場所とは思えない。30年ぶりの大雨で、通行止めであったりで、もしかしたら災害現場に押しかけてしまっていたのかもしれない。
綴子ではここから先橋がみんな流されてしまって、歩いて川をわたれそうな場所はないからこの先は1里しか行けないと言われるが、「わたしは馬を雇いました。そして英国人特有の強情さと馬子の意欲のおかげで、馬を荷なしでべつべつに小舟に乗せて早口川、岩瀬川、持田川の増水した流れを渡り、最後になじみ深い米代川の支流三本を歩いて越えたのでした。勢いの速い流れは泡を立てて人の肩と馬の荷を白くし、100人ほどの日本人が外国人の「狂気の沙汰」を眺めていました。」と、増水した川を歩いて渡ったのである。本当に「狂気の沙汰」であったであろうから、心配からか、興味本位か、驚愕からか100人の見物人を後に先に進む。それにしても、危機一髪の目にあった、米代川を「なじみ深い」と表現するあたり、全人未踏の東北を旅しようと意を決したイザベラ・バード肝の据わり方は並大抵のものではないと推察される。この先、美しいところにある古い町、川口(大館市川口)に泊まるべきだといわれるが、辿りつくと「なにもかにもかびが生えていて湿気で緑色になっており、そこかしこにある緑色と黒の溝から立ち込めている悪臭は、通りかかっただけでも強烈だったので、大館まで馬を進め」て大館に着く。



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