本名正憲の朝イチ的ここだけ話

喋るだけでは飽き足らず…

『軌道離脱』

2007-08-27 22:34:29 | private


先日ひさびさに「アマンダ・ギャレットもの」なんか読んでしまったのでまたまた海外サスペンス欲に火が点いてしまいました。紀伊国屋書店を物色しておりますと、おおっ、ハヤカワからJ.J.ナンスの新作(といっても今年はじめ)が出てるじゃないですか!前も書きましたが僕は特に航空サスペンスが大好きでして、ナンスは現在その大家と言ってよいでしょう。『着陸拒否』『メデューサの嵐』など時を忘れてのめりこんだものです。そのナンスの作品は今回とうとう大気圏外に出てしまいます。表紙を見ると下のほうに「ORBIT(軌道)」とありますのでどうやらそれが原題のようですね。以前書いた好きな本の中に、トマス・ブロックの『亜宇宙漂流』(82年)を挙げましたが、それも確か原題が「ORBIT」だったと記憶しております。前者は宇宙船、後者は超高高度を飛行する旅客機という違いはありますが、どっちも地球周回軌道から脱出できなくなっちゃうというところは共通。ナンス師匠が四半世紀前の作品にちょっとシゲキされたことはありえるかもしれません。ただこうしたプロットは別に新しいものじゃないらしく、1969年の映画『宇宙からの脱出』にもみられます。ちなみにこの映画、何回かテレビで見ましたがなかなか面白い。グレゴリー・ペック、ジーン・ハックマン、デヴィッド・ジャンセンなどそうそうたる顔ぶれのSF大作なり。もちろんCGバンバン使ってる今時の作品とは比較にならんと思いますが、実にスリリングな展開を見せてくれます。もっと言えばあの「サンダーバード」の『太陽号の危機』も「宇宙迷子モノ」。これらがあくまでもSF、つまり「フィクション」の世界であればよかったのですが、これがのちに「アポロ13号」の事故で現実になっちゃうわけです。
すでに民間人も金を積めば宇宙に行ける時代です。民間の会社が自前の宇宙機をどんどん飛ばし、せめて新車買うくらいのお金(数百万円?)で地球周回が楽しめる時代が来ないとも限りません。だからこのナンスの新作は決して荒唐無稽なSFエンタメではない、しっかりした作品として味わうことができました。ネタばれしちゃいけませんのでこのあたりで・・・。




最新の画像もっと見る