本名正憲の朝イチ的ここだけ話

喋るだけでは飽き足らず…

「語り」のツボ。

2010-08-10 23:38:33 | private

きょうのアナウンスアカデミーは朗読を専門的に練習する上級者コース。


上級者であろうが初心者であろうが私が目的とするのはただ一つ、


「読む」から「語る(伝える)」への転換です。


言うは易く行うは難し。教えるはもっと難し。なにしろ生徒さん本人が「体感」してくれない限りは理解したとは言えないからです。


ただきょうのレッスンでひとつ気付いたことがあります。


一生懸命伝えようと語ろうと頑張っている生徒さんがいて、でもどうしても僕には「読み」にしか聞こえない。


上手なんだけど何かこう、マシンが読んでるように聞こえてしまう。


その理由がこれまでわからなかったんですが、今日ようやくわかりました。


「語尾」です。


語尾に思いがこもっていれば、それまでの言葉の数々は必ず相手に届く。


たとえば


「吾輩は猫である。名前はまだない。」


これを「読み」ではなく「語り」にするならば、


「まだない。」


の部分に気持ちを込めてみる。それはではどうすればいいのかというと


例えばそのまま読んでしまわずに、「実はまだないんですよ」などと会話調にするつもりで口にしてみるといいかもしれません。


実際自分が朗読をするときには「語りかけ」の気持ちを強く持って臨んでいるものです。


 


ニュースであれ文学作品であれ、必ず文章には書き手がいて、


何らかの思いを持って文字をしたためています。


「読む」はただ単に文字を音声に変換すること。


一方「語る」(伝える)は書き手の思いを言葉に乗せること。


書き手の思いは往々にして文章の末尾に込められていたりするものなのかもしれません。