はれっとの旅路具

(はれっとのたびろぐ)田舎暮らしと旅日記
金沢・能登発 きまぐれ便

幼馴染

2006-07-24 21:56:34 | 田舎暮らし雑記
複数の拠点を持つ企業や行政では2~3年毎に所属が変わる異動という慣習があります。
知人によると、この制度の発明者は織田信長だとか。

海外でこのような慣習があるのか、果たして知人の説が「定説」なのか、全く検証をしていませんのでさっぱりですが、生まれながらにこの制度の影響をまともに受けていました。

父親の転勤に、家族揃ってお付き合い(母がそう決めていましたから)。私は小学校を4回替わりました。就学までに3度居住地を変えていますから、俗に言う幼馴染は居ません。
最も古くからの友人は、小学校6年のとき同級生だったO君が唯一人。

小さい頃から童謡は好きだったのですが、故郷が唄われているものは、かなり辛い思いをしました。

僕には想うべき故郷が無い…


長じて宴会などで「君の里は何処?」と聞かれることが少なくありません。
大抵返答は決めていて、若い頃は「日本です」と答えていました。
相手は戸惑います。

馬鹿にされたという表情をする方が多いと感ずるようになってから、返答を変えるようになりました。
「少し長い話になってもいいですか?」と。

母は、父と知り合った宮崎で、私を身篭りました。
臨月の2ヶ月前に、父は静岡に転勤。
大企業とは非情なものです。

しかし私は、新幹線も無い当時、宮崎から静岡という長大移動を経ても無事この世に生を受けました。

三歳までしか居なかった静岡の記憶は、極僅かです。
大きな国道沿い(だったはず)の店舗の二階が住居でした。
窓の外に広がる雄大な富士。
曲がった階段から降りるとお店。おもちゃのギターをお店の方に弾いてもらっていました。

横須賀・千葉・堺・高松(香川県)・京都と居を移し、中学・高校は札幌に。

村の写真集」のような故郷をテーマにした物語に極度に弱いのは、このような生い立ちに拠るのかも知れません。


金曜日の夜、家族が待つ(はずの)能登の家に戻ったのは23時をかなり廻っていました。

迎えに出た家人は至って元気。いつもなら、とっくに「おねむ」の時刻なのに…
理由は上り込んで判りました。
幼馴染のSちゃんが来ているのです。

Sちゃんは、向かいのニジロ(屋号)の娘さんで、家内と同級生。
生まれてからずっと一緒の遊び友達。
学校に上がっても小中学1学年1組しかなく、9年間全く同じ顔ぶれで学び遊び惚けた仲の一人のようです。

彼女は今、横浜にご主人と二人で住んでいます。

山や自然が大好きで、新婚旅行はシルクロード。延々とバスで走ってトイレ休憩は、なんとバスのあちらとこちらで男女分かれて大空の下…
それを楽しそうに語り続けるひとです。

どこの山だったか海外旅行だったか、長期間の休みが取れず、勤務していた会社を辞めて行ったとか。
伴侶を横浜に置いたまま、北海道でバイトをしながら二カ月ほど、暮らしていたそうです。
ご主人も、そんなライフスタイルをする人のようで、お互い許しあっているご様子。
幸せですねぇ…

そんな話が延々と続きます。


Sちゃんの帰省は、結婚した当初、随分戸惑いました。
私たちは普段離れて暮らしているのに、戻ってきてSちゃんの帰省と重なったら、未明まで二人で語り合っていて、殆ど構われること無く放置されることになります。

家内にしてみれば、一年に1・2度、能登に帰省した時にしかSちゃんに会えないわけですから、募る話も溜まっています。

放置された私は機嫌が悪くなりますが、こういうのを能登弁では、リンキコキ(やきもちを焼き:悋気)というようです。


それから20数年。

今では、余裕も出てきたのか、金曜日の夜は一人で夕食を摂っていても、さほど気になりませんでした。
むしろ、家族の目を気にせずブログの記事原稿をこうしてノートPCに向かって書ける時間があることに有り難さが湧いてきています。(これはこれで、結構ヘンかも…)


あれっ。Sちゃん、今夜は早いお帰りのようです。(といっても日付を跨いでいるので十分遅いですが…)

私が起きている時に帰るのは、今まで滅多に無いことです。
玄関まで見送ると、早帰りの理由は、うちの娘が高校野球部の応援で翌朝早いのだそうで、家内が弁当を持たせて送らねばならないからだとか…
そうだったのね(^^;ゞ

今回の帰省は白山に登山する予定が、この大雨による通行止めなどもあり、中止。
能登の実家で羽を伸ばすことになったようです。

週末こちらに居るそうなので、土曜の夜は時間制限なしの幼馴染が水入らず。いつまでも語り合うことになるのでしょうねぇ。

私も、悪友と未明まで呑んで語り明かすことがよくありますから、人のことを責めることはできません。(^^;ゞ

どうぞ。どうぞ。
ゆっくり語り合ってください。

「家族か、友か」ではなく「家族も、友も」が良いですね。
結局、どちらも「自分の周りの大切な人たち」なのですから。


…ということを一杯呑みながら書いたのが、金曜日の深夜~土曜日未明にかけて。


前の記事「これは簡単!米粉パン」の写真はよ~く見ていただくと、二人の手が写っています。

そうなんです。一方は、土曜日に再び誘われたSちゃんの手。
アウトドア派で、最近は旦那さんをほったらかしにしてランニングに夢中だとか…。
彼女の方が遥かに、力があるのがこねている様子を見ていて判ります。

米粉パンは、こうして幼馴染二人の合作なのでした。


恒例の未明まで語り明かしの会は、土曜日の夜に急な時式が入り、次回に繰越となりました。