はれっとの旅路具

(はれっとのたびろぐ)田舎暮らしと旅日記
金沢・能登発 きまぐれ便

さよなら交通博物館

2006-05-11 22:09:39 | 旅日記
神田にある交通博物館が、5月14日を最後に閉館します。完全閉館ではなく、約1年半後にさいたま市で鉄道博物館として再出発するのですが、旧万世橋駅跡地での独特の展示はこれが見納めになります。

先月、北海道ちほく高原鉄道ふるさと銀河線乗り収めの旅(旅日記はこちらをどうぞ)を計画する際、前後で東京によって交通博物館も見納めしようとしたのですが、日程と予算が合わず断念。そうこうする内に閉館日がどんどん迫ってきます。
そこで、最終週中ほどの10日、またまた仕事を休んで東京に(^^;。懲りない元鉄道少年。
数週間前、時折東京に出張するという知人から北陸発の首都圏往復フリーきっぷを紹介されました。首都圏が乗り放題の上に、普通は22,320円(金沢発着)ですが寝台B個室にも乗れます。さらに4,000円ほどの追加で往復ともグリーンにも乗れるとのこと。普段グリーン車は利用しませんのが、疲れにくいこととお値段につられ、この切符で行くことに。

前日、夕方からの会議を済ませ、そのまま金沢駅近くの時計駐車場へ。この駐車場は切符を買う際に申し出れば、24時間が800円になる最大3日間まで有効の割引券をいただけます。パークアンドレールライドというわけです。

黒百合さんの店構え寝台特急北陸出発の22:18まで小一時間。金沢駅商店街の金沢百番街で食事をとります。駅前で食事をすることはあまりありませんので、ちょっと迷いましたがおでんが美味しい「黒百合」さんの暖簾をくぐりました。観光や出張で金沢にこられた方は、金沢でおでんを食べることはあまりないかも知れませんが、列車の出発時刻までの時間調整とかねた食事ならこちらをお勧めします。そして、是非食べていただきたいおでん種が二つ。お麩とバイ貝です。こちらのおでん種はどれも大きく食べ応えがありますが、とくにお麩は、車麩を半分にしただけのため巨大。美味しい出汁を一杯吸って、これがまたたまりません。また、バイ貝はこちらでしか食べられない巻貝です。このおでんが、また美味い。


左:夜行急行能登、右:寝台特急北陸さて、駅に戻ると駅ビル工事のため遅くまで開いていたコンビにも無く、キオスクは時間が遅く既に閉店。自販機にアルコール類は見当たりません。改札をくぐってみても同じ。ホームには既に寝台北陸が入線しています。乗り込んでみましたが、かつてあったはずのビールが車内自販機からも消えています…。「もうちょっと飲みたい」という呑んべ根性は敢え無く物理的に観念。こうなったら酔いが醒めないうちに寝るに限ります。
特急北陸のB個室下段切符をお願いした代理店担当の好意で、上下ある個室の下段が今夜の寝床。上段よりは個室内がやや広いです。ところが、後で判ったのですが、上段個室の方がドアを開け閉めするたびにかなり響きます。いつもは多少狭くても窓からの眺めが良い上段を取ってもらっていましたので、これは意外。やはりこれからも上段にしようっと。

上野行き寝台北陸は早朝6:19に上野に着きます。早すぎるんですよね~。交通博物館は9:30開館ですから約3時間。今回に限らず出張の際でも同じですが、早朝の東京でどうやって時間を潰すか結構悩ましい問題です。そんなニーズは私だけでは無かったようでネットに聞いてみるとちゃんと答えがありました。この情報を頼りに御茶ノ水駅と交通博物館の間にある神田アクアハウス江戸遊で8時まで入浴することにしました。
秋葉原駅を降りると霧雨。傘を差そうか迷うような雨です。
総武線の高架下を御茶ノ水方向に歩き、ホテル聚楽の案内矢印に従って歩くこと5分。区営住宅とある建物に江戸遊がありました。こちらはスーパー銭湯とサウナの中間のような感じです。綺麗なので女性も安心して使えそうです。早朝5時から閉店の8時までは朝風呂コースとして400円なのも魅力。
湯船の一つには二股温泉とあります。北海道長万部ちかくの二股温泉の湯の花を使った人工温泉(特許)と謳ってありました。この湯船は40度程なのでゆったりできます。足の裏を自分で手もみしていると、普段如何に体を酷使してきたか感じられます。時にはこうやって体を労ってあげるひと時を持ちたいものです。もし魂があるとしたら、肉体という乗り物のお蔭でこうやって、この世に居られるのですから。

交通博物館事前の情報収集による想定では、朝風呂後の時間調整残り1時間半は、朝7時からやっている近くのスターバックスで朝食をとりながら過ごすつもりでした。が、気になって交通博物館に行ってみると既に20人ほど並んでいます。こりゃいかん。毎日先着限定で硬券の特別記念入場券を配っているので、列に並びます。後ろに並んだ方に荷物を頼み、コンビニで急遽朝食を調達。コンビニおにぎりの立ち食い。(^^;
東京は、この日あいにくの雨。傘を差して並ぶ人は見る見る増えて歩道に溢れます。警備員さんに並び方を変えてはどうかと持ちかけてみますが、もっと酷い雨の日でもこの並び方なのだそうです。道行く人にも迷惑だと思うのですが、彼らにとっても列が乱れて順序不明になる方が困るよう。仕方なく引き下がります。列の最後尾がどこまであったかは知りませんが、事前に券売機で入場券を買うよう指示かあり、これに並んだ人を見るとざっと百人は超えているようです。明らかな鉄道少年風の若者を始め、我々世代やお年寄り、アベック、女性おひとり、まだ歩き始めたばかりの幼児連れのおかぁさん…。雨の中をみなさん、お疲れ様です。

9:30開館をほんの少し前倒しして、いよいよ入館です。件の硬券の記念入場券もしっかり頂きました。
懐かしいC57 135本や雑誌の写真では見ていましたがこれが本物かぁ。いたいたC57 135。何年振りでしょう。こいつと会ったのは。日本最後の旅客列車を室蘭本線で牽いた蒸気機関車で、その姿を撮りに無人駅者で一夜を明かしたのでした。なにか、古い知り合いに再会したような感慨がこみ上げてきます。
人が少ないうちに、撮りたい角度からの写真を撮って行きます。1時間も経たないうちに人がどんどん増えてきます。修学旅行生や、小さい孫をつれた若いおじぃちゃんとおばぁちゃん、大きなお腹を抱えながらも立派な一眼レフカメラを首から提げた子供連れのおかぁさん、杖をついて歩くのがやっとという感じのおじぃさん。デートと判る若いアベック。結構一人でお越しの女性が多いもの意外でした。多くの人々に愛されているのだなぁと思うと鉄道少年としては、処によってすれ違えないほどの人ごみも嬉しく思えてきます。
鉄道模型の運行に人だかり10:30、この日第一回目の鉄道模型運行会は超満員の人だかり。最前列には黄色い帽子の幼稚園児の一団が。保育士さんに連れられてきたのですね。その後も人は増え続けていきます。

列車運転シミュレータに並ぶ人たち電車や新幹線の運転シミュレータはいくつかあるのですが、どれも順番がついています。私の鉄道趣味は父からはよく幼稚とからかわれますが、中々どうして電車の運転手になりたかった人々は女性から高齢者まで意外に多いのですぞ。
館内には休憩用の椅子もかなりあり、時代ごとの客車の椅子などにも座れるので、ゆっくりしながら見物するのにはあり難い配慮です。

身よ!このベビーカーの量。お土産の売店も黒山の人だかり、さよなら交通博物館のDVDを求めます。最後にもう一度全館を廻って、名残を惜しみます。出たのは14時少し前。玄関先も人だかりでした。

早くから起きているのに、ちゃんとした食事を取っていないのと、昼時を外したので少々ふらりとするくらいの空腹。事前に調べておいた老舗の「神田藪蕎麦」に伺います。詳しいレビューはこちらに譲りますが、味わいのある素晴らしいお店でした。

名店の風情に思わず頂いてしまった生麦酒2杯のせいで、ほろ酔いです。
残りの時間は秋葉原で掘り出し物の物色。品揃えのある大型店で製品を比較し、品番を決めたら歩き回って値段など条件の良い店を探します。

かつては電気回路の部品店街だった秋葉原も家電、コンピュータと時代と共に様相を変えてきましたが、最近ではちょっとアブナイ(?)お宅系アニメだとか。噂では、フリルだらけのモノトーンで高貴な邸宅の召使っぽいエプロン姿の店員が、「いらっしゃいませ」ではなく、「お帰りなさいませ。ご主人様」といって迎えてくれる喫茶店があるとか、ないとか…。私の目にはそんな店見当たらないんだよなぁなどと思いながら(入りたいと思っていません。念のため)歩いていると、でましたぁ!!なんと初めて現物(失礼)に遭遇しました。
猫の耳、すその広がった黒のスカート、フリルだらけの白いエプロン。そしてちっょと間の抜けた感じの化粧と、メガネ。完璧にその筋のアニメと同じ、有り得ないレベルの究極ぶりっ子スタイル。「すいません。記念に写真撮らせてください」と言える勇気も無く、すれ違って行きました。噂はほんとうだったのか…

気を取り直して物色を続けますが(これも相当お宅っぽいかも)、気づいたら新幹線の出る時間に間近。慌てて秋葉原駅に戻ります。

帰りは、新幹線、在来線共にグリーン席です。やはり疲れにくいですね。贅沢と思い込んで使うなどと考えたこともありませんでしたが、航空機往復と値段的に変わらず、ゆっくり本も読めます(寝たら無意味ですが)ので、中々これも良いものです。

外は、だんだん暗くなっていきます。
こうして早くも交通博物館の名残を惜しむ旅も終わりに近づいていきます。

金沢駅を出て23時間後に戻ってきた時、今度は金沢に雨が降っていました。