貧乏石好き

つれづれなるままに石をめぐりてよしなきことを

カルカンサイト(人工)

2024-06-30 19:42:48 | 単品

先日お散歩のついでに原宿のコスモスペースさんに寄ったら、やったらきれいな青のクラスターがある。
「カルカンサイト」。しかもえらく安い。カルカン君(ええ?)はわりと安い石だけど、もっと安い。
聞いたら「人工」とのこと。
ええやん。美しければ。もうCZやら何やらで人造宝石には無抵抗になってる。
それにカルカン君はしばしば銅鉱山の坑道に滴る水からできたりする。それも人工みたいなものでしょ。(乱暴だな)
Chalcanthite。胆礬。CuSO4・5H2O。銅化合物の代表みたいな存在。「硫酸銅五水飽和物」。中学校の理科実験室にありました。美しい青に魅せられた記憶がうっすらある。ボルドー液の主成分。これがないとおいしいワインは飲めません。
銅鉱物はそろそろもういいかという感じ。フィナーレを飾るに、この澄んだ青はふさわしいのではないか。

人工のせいか、とても澄んでいる。澄み過ぎてガラスのように見えるところもある。
けれどこの色と光たるや、「青い銅」の絶頂ではないですか。(大げさな) ちょっと写真は青すぎるかな。ごくかすかーに緑が入るんだけど。このピク7は青が強くなるらしい。
自然のもののように母岩にひっついているのもなかなかあざとくていい。(は?)

水に溶けやすいけど、極度に乾くと真っ白に崩壊してしまう。同様の石はほかにもあるけど、難儀な部類。しかし仮に溶けたところで、お安いものだからいいでしょう。(そういう問題か?)

もうこれで銅鉱物はおしまい。と自分に言い聞かせる。(ほんとかね?)
切りがないもの。リロコなんて無理だし。
で、その記念に「少し詳しい銅鉱物リスト」を作ってみた。別項
こんだけあるんだから、「主なのを網羅してやろう」などという野心は無駄よ、と。(暇持て余しただけなんじゃないの?)
はあ疲れた。
銅よ、さらば。(はいはいw)
……クリノクレースとかちょっとほすぃな。(はは)


主な銅鉱物リスト[おべんきょノート]

2024-06-30 19:38:15 | 元素別鉱物リスト

銅を含む鉱物は789とめちゃ多い。とりあえず。
「主な」は主観的です。「こんな大事なのが抜けてるぜ」というのがあったらご指摘を。

【元素】自然銅 Cu

【酸化】多くない。たぶん以下ですべて。
    キュープライト(赤銅鉱) Cu2O
    テノライト(黒銅鉱) CuO
    草地鉱 Kusachiite CuBi2O4  
    Crednerite CuMnO2
    Cuprospinel Cu2+Fe23+O4
    Delafossite CuFeO2
    Paramelaconite Cu21+Cu22+O3
    Thalliomelane Tl(Mn4+7.5Cu2+0.5)O16
    Thermaerogenite CuAl2O4

【硫化】200以上ある。ぐちゃぐちゃ。
    コヴェライト(銅藍、コベリン) CuS
    カルコパイライト(黄銅鉱) CuFeS2
    ボーナイト(斑銅鉱) Cu5FeS4
    カルコサイト(輝銅鉱) Cu2S
    キューバナイト(キューバ鉱) CuFe2S3
    エナージャイト(硫砒銅鉱) Cu3AsS4
    ルゾナイト(ルゾン銅鉱、ルソン銅鉱) Cu3AsS4 *ルソン島で発見。
    ファマティナイト(ファマチナ鉱) Cu3SbS4
    テトラヘドライト(安四面銅鉱) Cu6(Cu4,X)Sb4S12S(いろいろ)
    テナンタイト(砒四面銅鉱)  (Cu,Fe,Zn)12(Sb,As)4S13
    スタナイト(黄錫鉱) Cu2FeSnS4
    *日本原産鉱物に、フクチアイト、ミハラアイト、サクライアイト、スガキアイト、ワタナベアイトがある。
    *マグマから生成する「初生」鉱物は、自然銅、黄銅鉱、斑銅鉱、輝銅鉱、キューバ鉱、安四面銅鉱、砒四面銅鉱、硫砒銅鉱、ルゾン銅鉱、ファマチナ鉱などとされている。マグマの中で「ケイ酸塩メルト」から分離した「硫化物メルト」からできるのでしょう。

【ハロゲン化】Fは少ないけれどClは多い。
    アタカマイト(アタカマ石) Cu2(OH)3Cl
    ボレアイト KPb26Ag9Cu24(OH)48Cl62
    ダイアボレアイト Pb2CuCl2(OH)4
    キュメンジャイト Pb21Cu20Cl42(OH)40・6H2O
    イヨアイト(伊予石) MnCuCl(OH)3
    ミサキアイト(三崎石) Cu3Mn(OH)6Cl2
    *サンプルアイトはリン酸塩だそうで。

【珪酸塩】39種しかないみたい。え?
    クリソコラ(珪孔雀石) Cu2H2Si2O5(OH)4
    シャタッカイト(シャタック石) Cu5[(OH)2|(SiO3)4]
    ダイオプテーズ(翠銅鉱) CuSiO3・H2O
    プランシェアイト Cu8(Si8O22)(OH)4・H2O *プランヘ石←これやめて
    キノアイト(キノ石)Kinoite Ca2Cu2(H2O)2[Si3O10]
    パパゴアイト(パパゴ石) CaCu[H3AlSi2O9] 
    アホアイト(アホー石) (K,Na)Cu7AlSi9O24(OH)6・3H2O
    ジラライト Cu5Si6O17・7H2O *ギラライト←これやめて

【炭酸塩】28種しかない。へえ。
    アズライト(藍銅鉱) Cu3(CO3)2(OH)2
    マラカイト(孔雀石) Cu2(CO3)(OH)2
    ローザサイト(亜鉛孔雀石) (Cu,Zn)2(CO3)(OH)2
    オーリカルサイト(水亜鉛銅鉱) (Zn,Cu)5(CO3)2(OH)6
    ナカウリアイト(中宇利石) Cu8(SO4)4(CO3)(OH)6・48H2O
    コルウェザイト CuCo(CO3)(OH)2

【硫酸塩】111もある。お手上げ。
    カルカンサイト (胆礬) CuSO4・5H2O
    ブロシャンタイト(ブロシャン銅鉱) Cu4(SO4)(OH)6
    ランジャイト(ラング石) Cu4(SO4)(OH)6・2H2O
    シアノトリカイト(青針銅鉱) Cu4Al2SO4(OH)12・2H2O
    リナライト(青鉛鉱) PbCu(SO4)(OH)2
    デヴィリン(デビル石) CaCu4(SO4)2(OH)6・3H2O
    クロンカイト(クレンケ石) Na2Cu(SO4)2・2H2O
    ポスンジャカイト(ポスンジャク石) Cu4(SO4)(OH)6・H2O
    シューレンバージャイト(シューレンベルグ石) (Cu,Zn)7(SO4)2(OH)10・3H2O
    コビャシェヴァイト(コビャシェフ石) Cu5(SO4)2(OH)6・4H2O
    ムナカタアイト(宗像石) Pb2Cu2(Se4+O3)(SO4)(OH)4
    オサリザワアイト(尾去沢石) Pb(Al2Cu2+)(SO4)2(OH)6
    アサギアイト(浅葱石) NiCu4(SO4)2(OH)6・6H2O

【リン酸塩】44くらい。
    リベテナイト(燐銅鉱) Cu2(PO4)(OH)
    ターコイズ(トルコ石) CuAl6(PO4)4(OH)8・4H2O
    コーネタイト(コルネット石) Cu3(PO4)(OH)3
    ヴェゼリアイト(ベゼリアイト、ベゼリ石) (Cu,Zn)3(PO4)(OH)3・2H2O
    シュードマラカイト(擬孔雀石) Cu5(PO4)2(OH)4
     ルドジバアイト/ライヘンバッカイト シュードマラカイトの異形
    サンプルアイト NaCaCu5(PO4)4Cl・5H2O
    トーバーナイト Cu(UO2)2(PO4)2・12H2O

【砒酸塩】AsO4で120もある。AsO3は1種しか出て来ない。
    クリノクレース(斜開銅鉱) Cu3AsO4(OH)3
    オリーブナイト(オリーブ銅鉱) Cu2(AsO4)(OH)
    リロコナイト Cu2Al(AsO4)(OH)4・4H2O
    コニカルサイト(コニカルコ石) CaCu(AsO4)(OH)
    レマンスキアイト(レマンスキー石) NaCaCu3(AsO4)4Cl・3H2O

【硝酸塩】少ない。
    リカサイト(リカシ石) Cu3(NO3)(OH)5・2H2O
    ゲアハードタイト(ゲルハルト石) Cu2(NO3)(OH)3

【ホウ酸塩】6しかない。
    ヘンミライト(逸見石) Ca2Cu[B(OH)4]2(OH)4
    ヌマノアイト(沼野石) Ca4Cu(B4O6(OH)6)(CO3)2

【他】省略。


シュードマラカイト(擬孔雀石)

2024-06-30 09:58:43 | 単品

無知というのは恐ろしいもので。(何だよおおげさに)
以前、国産鉱物標本セットというのをヤフオクで購入しました。18点くらい入っていて割とお安め。(いつもだね) あれこれ入っていて、中にはちょっと鑑賞には不向きかなみたいなものもある。そういうのは奥にしまっていた。
で、今回、銅鉱物のことをあれこれ調べていたら、「擬孔雀石」というのが出てきて、「あれ、これ持ってなかったか?」と棚奥を探したら、出てきました。

産地は高知県長岡郡本山町桑野川林道砂防ダム。出品者さんいわく、
《 砂防ダム工事中に出現したもの。絶産。四国初産出の鉱物として発表されています。擬孔雀石にひっつくように黄色い非結晶の粒が燐銅鉱です。》



これ、けっこう貴重品ではないかい?
大きな結晶ではないからぱっとしないけど、強めの光を当ててよく見ると、おお美しいではないですか。擬孔雀石というのは、銅の燐酸塩でややレアっぽい。これを棚奥に転がしているのはもったいない。



燐銅鉱、リベテナイトというのはは持ってなくて欲しいなと思っていたものではないですか。どれかな。この真ん中下のところかな。



ううむ。老眼無知(新語か?)にはなかなかきつい。

Pseudomalachite。Cu5(PO4)2(OH)4。
「シュード」は「偽の」「疑似」を意味するギリシャ語。マラカイトにそっくりだから。確かにモコモコのクラスターなんかも出る。けどマラカイトにはまず出ない透明結晶なんかもあるみたい。燐酸塩のせいかマラカイトより輝きは美しい気がする。別の名前を付けてあげたい。
同質異形にライヘンバッカイト、ルドジバアイトがある。おやルド君と仲間ですか。mindat によると、「両者よりも一般的で、三者が混成している場合、シュードマラカイトはほぼ常により古く、より暗く見える」とのこと。ここにも混じっているのかな。

派手ではないからといって国産鉱物を侮ってはいけませんね。反省。