貧乏石好き

つれづれなるままに石をめぐりてよしなきことを

希元素鉱物/レアメタル/レアアース

2024-07-13 21:07:37 | お便利メモ

◆希元素鉱物
「希元素鉱物」という言葉は正確な定義はないらしい。一般的に「あら珍しい」という元素をそう呼んでいるだけのよう。
『改訂新版 世界大百科事典』「希元素鉱物」では、以下のものが挙げられている。
リチウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、トリウム、ウラン、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ、タンタル、レニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、ゲルマニウム
*リチウム、ベリリウムは希元素なのですかね。クンツァイトやアクアマリンを希元素鉱物と呼ぶ人はいないでしょう。ジルコンなんかも微妙。

むしろ今はレアメタル、レアアースという言葉の方が頻用されているようで。そりゃ何じゃい。

◆レアメタル レアメタルは和製英語で、これも厳密な概念ではないらしい。ウィキに挙げられているのは以下。
リチウム、ベリリウム、ホウ素、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、ガリウム、ゲルマニウム、セレン、ルビジウム、ストロンチウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、パラジウム、インジウム、アンチモン、テルル、セシウム、バリウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、白金、タリウム、ビスマス、希土類(次項)
*トリウム、ウランがここには入っていないですな。マンガンやニッケルがレアというのはいささか奇妙。

◆レアアース(希土類) 17種。これは厳密な定義らしい。
スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム

石の場合と同じで、「レア」というのは曖昧模糊とした概念のようですね。

◆おまけ:不適合元素(例)
ルビジウム、セシウム、ストロンチウム、バリウム、ジルコニウム、ニオブ、ハフニウム、タンタル、ランタン、ウラン、トリウム


不適合元素[メモ]

2024-05-30 19:56:47 | お便利メモ

造岩鉱物から「はじき出されてしまう」元素。
どうも確かな「リスト」というのが出てこない。ウィキペディアなどで挙げられているものは以下。

◆イオン半径が大きすぎるもの(LILE)
 ルビジウム
 セシウム
 ストロンチウム
 バリウム
 ランタン
◆酸化数が大きすぎるもの(HFSE)
 ジルコニウム
 ニオブ
 ハフニウム
 タンタル
 ランタン
 ウラン
 トリウム

以下のものを挙げている記述もある。
 カリウム
 ナトリウム
 チタン

厳密な定義はないのかな。

硫黄は酸化数が大きいようだけどここには含まれていない。
とりあえずのメモ。


布賀鉱山[メモ]

2024-04-13 13:01:14 | お便利メモ

岡山県備中町布賀鉱山は「高温スカルン鉱床」という珍しい鉱床で、これは通常のスカルン鉱床よりも高温でマグマおよびその熱水と石灰岩がぶつかってできたものだとされる。
そのため、同地では逸見石、大江石、備中石、森本柘榴石といった新鉱物や、五水灰硼石(ペンタハイドロボライト)やニフォントフ石といった稀少鉱物が産出された。現在は一般立ち入り禁止。
mindat によれば布賀で産出されるIMA認定鉱物は99。こちら。なお、代表的なもののリストとしてこちらがあるけれど「原産表記」に不備がある。
布賀を原産(模式地 Type locality)とする鉱物は以下の13。
備中石・千代子石・単斜トベルモリー石・布賀石・逸見石・草地鉱・森本柘榴石・沼野石・岡山石・大江石・パラシベリア石・島崎石・武田石

なお、五水灰硼石・六水灰硼石は化学的には二水であると訂正されたが、IMAの鉱物名としては残っている。
余談。インヨー石というのは日本原産かと思ったら、カリフォルニア州インヨー郡で見つかった石なのですね。笑い。


水素[メモ]

2024-04-05 00:28:53 | お便利メモ

こんな記事がありました。
地下から大量に噴出する水素ガスを発見、過去最大級 世界を変えるエネルギー源に?」(ナショナル ジオグラフィック日本版) 

水素は全宇宙で一番多い元素。と考えられている。(留保付きが好きだねえw)
地殻では、「おっしゃって軽そうかマグ」つまり「O, SI, Al, Fe, Ca, Na, K, Mg」の次、「地水燐満」つまり「Ti, H, P, Mn」のグループ。(覚え立ての知識を駆使しているねw) と考えられている。(またかよ)
あまり多くない。しかもほとんどは水か水酸となっているもので、水素単体というのは「ほぼない」と考えられてきた。
例の mindat の元素別索引で引くと、水素を含む鉱物は3294ある。半分以上じゃないですか。けれどそこから H2O と H3O と OH のものを除くと93しかない。鉱物としては水素はほとんど酸化してしまっているということになりますね。広い意味での含水鉱物。量的にはさほど多くないのに鉱物種類は膨大だということは、水が活躍して多彩な鉱物ができるという証左でもある。のだと思う。
ちなみにこの93の中にはこんな日本原産ものもある。
 北海道石 Hokkaidoite C22H12
 房総石 Bosoite SiO2・nCxH2x+2
 千葉石 Chibaite SiO2・n(CH4, C2H6, C3H8, i-C4H10) (n = 3/17 (max))
炭化水素系というのですかね。メタン CH4 は鉱物じゃないけど地殻中にはけっこうある。
ほかに聞いたことがある石では、こんなの。
 メラノフロジャイト Melanophlogite 46SiO2・6(N2,CO2)・2(CH4,N2)(有機物を含む石英)
 パパゴアイト Papagoite CaCu[H3AlSi2O9](水晶の青いインクルとして有名)
パパゴってなんでそんなとこに水素がくっついているのかね。

ところが、地球全体となると、核やマントルの中にどれだけの水あるいは水素がどのような形で含まれているかは、まったくわかっていない。水素は超高圧状態では金属のような姿を取るという話もある。さらに「プルームテクトニクス」理論では、超巨大噴火や大陸分裂などの原因となる「スーパープルーム」は「核から排出される水素」が関係しているのではないかという仮説もある。
まあマントルや核はちょっと置いておくとして、上記の記事で問題となっているのは地殻中の遊離水素であって、岩石の隙間に溜まっているもの。まあ地殻の中は穴や隙間だらけのようだから、いろんなガスが溜まっていても不思議ではない。その中の水素だけがうまく取り出せればいいなという話。なのでしょう。


主要元素別鉱物数

2024-03-08 10:34:27 | お便利メモ

なんか変な穴にはまりこんでしまいました。
マンガンを含む鉱物なんて果たしてどのくらいあるのかと調べていたら、mindat の元素・酸基別鉱物検索というのに行き当って、「ほお、こんな便利なものがあるんだ」と見てみたら唖然。で、メモしてしまった。アホです。
でもとても面白い。ただしここにはIMA認定されていない鉱物も含まれている。
主要な元素を多い順に並べてみた。「主要」は主観ですw
銅やマグネシウムや亜鉛が意外に少ない。奇妙ですねえ。

ケイ素 3003
硫黄 2268
カルシウム 2116
鉄 2061
アルミ 1887
ナトリウム 1495
銅 1277
マグネシウム 1140
砒素 1081
鉛 962
リン 954
マンガン 841
カリウム 728
フッ素 589
チタン 582
塩素 578
ビスマス 508
アンチモニー 503
銀 436
亜鉛 418
バリウム 346
バナジウム 332
ニッケル 325
セレニウム 234
ジルコニウム 229
錫 205
イットリウム 169
リチウム 164
ベリリウム 165
ストロンチウム 165
水銀 163
クロム 153
プラチナ 153
金 134
モリブデン 119
コバルト 107
ゲルマニウム 70
カドミウム 60

ちなみに「酸素」は7740ある。IMA認定に限ると3294。ここでの対象鉱物種はものすごく多いことになりますね。認定だけにすればよかったのかな。
ケイ素は3003とあるけれど、ケイ酸塩は
 SiO4 548
 SiO3 59
 Si3O9 180
とそれほど多くない。はて。
含水鉱物は
 OH 3222
 H2O 2919
とめちゃ多い。

ちょっと使い方が間違っているかもしれません。あくまで参考。