貧乏石好き

つれづれなるままに石をめぐりてよしなきことを

リナライト

2023-03-05 09:30:14 | ややレア

けっこうレアで高めの石。以前エヌズさんの30%オフで買ったもの。なぜか書かなかった。
たぶんその時は思ったよりも地味な石だったので、少し気落ちしたのだと思う。エヌズさんの商品写真はちょっと美しく撮れ過ぎている場合がある。
けど、この前、改めて見直していたら(金欠で新しいものが買えないからでしょうねw)、これ、強い光だととても美しいのですね。

チリ産。左右30ミリくらい。

リナライト。青鉛鉱。PbCu(SO4)(OH)2。
青鉛鉱と書かれるとちょっと違うんじゃないのと思う。鉛じゃこの色は出ないでしょう。
《銅鉛鉱床の酸化帯に二次鉱物として母岩を被うように形成されます。》(Mineral Street さんのサイトより)
銅鉛鉱床の酸化帯と言われても素人には何のこっちゃ。銅と鉛を多く含んだ鉱脈に硫酸を含んだ熱水が接触して、それが岩石の裂け目(裂罅)などで結晶し、硫酸塩含水鉱物ができた、ということかな。
ちょっと待った。最初の銅鉛鉱床というのは何だ?(前に「知ってどうこうしようというつもりはない」とか書いてなかったか?)

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銅鉱床というのはいろいろあるらしい。
代表的なのは熱水を含んだ花崗岩マグマが周囲の岩石と複雑に反応しながら冷えて固まった「斑岩銅鉱床」。世界で生産される銅の50~60%がこれによる。
《花こう岩質ないし石英閃緑岩質のマグマが地殻浅所まで貫入して半深成岩体をつくる場合、そのマグマ活動末期に生じた熱水により、岩体自身及びその周縁部の被貫入岩は著しく熱水変質を受ける。と同時に、銅を主としモリブデンや金を伴う鉱化作用が変質岩体中で広く行われ、大規模な網状鉱染鉱床(一部鉱脈)が生成される。このタイプの熱水性鉱床を斑岩銅鉱床(またはポーフィリーカッパ―)という。》(山口大学工学部学術資料館「斑岩銅鉱床」)
もう一つは堆積岩に銅を含んだ熱水が入り込んでできる「堆積鉱染型銅鉱床」。
《アフリカ大陸の南部、ザンビア共和国中部からコンゴ共和国にかけて、北西-南東方向に延長約500kmで帯状に発達した銅鉱床帯がある。これをカッパーベルト型鉱床という。鉱床規模は斑岩銅鉱床の埋蔵量に匹敵するほど大量であるが、この地域の政状が不安定なために、開発が中断したままである。このカッパーベルト型鉱床は、先カンブリア時代の石灰岩、頁岩、砂岩中に銅鉱物(孔雀石、珪孔雀石ほか)が鉱染状に濃集した鉱床である。少量ながらコバルトやニッケルも濃集しており、今後コバルト等の供給源として重要である。》(山口大学工学部学術資料館「堆積鉱床」)
他にも「銅スカルン鉱床」なんてものもあるみたい。
素人にはよくわからないけれど、要するに、銅鉱床ができるのも熱水によるもの、そこから二次鉱物が作られるのも熱水によるもの。ということらしい。(お気に入りの「水成鉱物」かな?) 下茹でした野菜をもう一度煮直すようなものかな。(どうしても食いもんに走るね)

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銅の二次鉱物については前に「シアノトリカイト」のところでちょっと書いた。まあいっぱい美しい石がある。
リナライトは比重が5.3~5.5とけっこう重い。鉛が入っているからか。けれどモース硬度は2.5で、柔らかい。ちなみに名前はスペインのリナレス高原にちなんだもの。
あまり大きな結晶にはならない。mindat には素晴らしく美しい結晶の写真が載っているけれど、サイズはえらく小さい。
アズライト(藍銅鉱 Cu3(CO3)2(OH)2)よりは少し明るい青。
コレクター垂涎の的、リロコナイト(Liroconite Cu2Al(AsO4)(OH)4・4H2O)と似た色かもしれないけれど、あちきは実物を見たことないからわからない。リロコは砒酸塩ですね。欲しいのだけど高くて。美しい母岩付き結晶がエヌズさんで売ってるけど、あちきの守備範囲と1桁以上違う。
リナライトもわりと高いのだけど、30%オフということもあって四千円台。小さいし、はっきりとした結晶があるわけでもないからだろうけど、それでも色は素晴らしい。



しかし小さい。老眼にはきつい。こうやって100均の接写レンズで撮ると、目で見たよりはっきり見える。「写真じゃ質感は」などと言っていたけど、これはありがたい。

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しかしさあ、日本語版ウィキペディアには青鉛鉱という記事はないですね。プレナイトもなかったし。時々はちょっと首をひねる記事もあるし。まあ mindat を見ればいい、今はグ先生が翻訳してくれるし、ということになるのだろうけど、ちょっとねえ。どなたか博学で客観的で篤志のある方、いらっしゃいませんかねえ。


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