貧乏石好き

つれづれなるままに石をめぐりてよしなきことを

雨塚山紫水晶【追記あり】

2023-07-30 09:18:09 | 国産鉱物

キタ――ッ!
雨塚山紫水晶! ヤフオク鉱山です。

左のミネラルタッグが大きくてみっともないのはそのあたりが大きく欠けているからです。ご容赦。

超有名産地。しかし2007年に採集禁止となっている。市場に出るのはオールドコレクションのみということになる。一応。
なかなか出ない。たまに出ても高い。けど今回は割とお手頃で競り落とせました。

雨塚山は宮城県白石市、福島県境に近い内陸部。古い坑道跡のようなものがあるが何を掘ったのかわかっていないらしい。アメジストの美麗結晶がたくさん出て一躍有名になった模様
【追記】ヤフオクの出品者で産地近くにお住いらしいnancyyoko1204さんによると、《雨塚山も昔は金鉱山で金を掘り起こしたズリの山が残っています。当時は金におされ紫水晶はズリへ廃棄されたとか。研究者や蒐集家が地表面に現れている美しい紫水晶を見つけたのが始まりだそうです。その後鉱物愛好家がズリから美しい紫水晶を採取していました。》とのことです。

だいぶ前ツイッターで美麗標本の写真を見て度肝を抜かれ、どこかで出ないかなあと希っていたのです。ヤフオクで出たので入札して、「もっと高値の入札が来るかなあ」とちょっとはらはらしながら終了時間を待ったのでした。

「これぞ雨塚山」と言えるような高品質標本ではありません。
でも、確かに不思議ないい色合い。全体的には淡いけれど、方向によっては濃い紫が出たり無色に透き通ったり。少しぬめっとした感じがあるように見えるけれど、それも方向によって変わる。あちきの写真術では撮れません。



アメジスト自体、捉えがたい石です。方向や光源によって、色も輝きもころころ変わる。透過光だとさらに変化する。結晶の歪みが作る色だからでしょう。

まあこやつも、雨塚山であるようなないような、それも含めて雨塚山なのか。それがいい味わいです。


トパーズ(苗木・高取山)

2023-07-26 21:28:44 | 国産鉱物

トパーズというのは、あちきにはよくわからん石でして。
石集めを始めた頃、五反田さんで淡いピンクのオウロ・プレト産「インペリアル・トパーズ」お手頃価格品を買ったのが最初。その後、びっくりするほど鮮やかな放射線処理「スイスブルー・トパーズ」とか、人工蒸着の「ミスティック・トパーズ」とかの、加工処理品を買った。
けれど、無色透明の王道トパーズは持っていなかった。時折目にはするものの、魅力がよくわからなかったから。

ツイッターには時折、ハンターさんたちがけっこう大きくて透明なトパーズを掘り当てたというツイートがあって、すごいなと思ったけれど、トパーズ自体の魅力はぴんと来なかった。
透明な輝き、縦の条線、きりっとした結晶の姿……うむ、まあね。

このところヤフオク国産鉱物鉱山を漁っていたけれど、トパーズはあんまりない。
トパーズ・ハンターさんたちは市場に出さないのか。「噛みつかれるからSNSには上げない」という話もある。「それトパーズじゃあない」「許可取ってるのか」「場所教えろ」とか言う人たちがいるらしい。売りに出す時も同じなのかもしれない。
まあいいかという思いと、トパーズの魅力にぶち当たってみたいなという思いが交錯していた。

     *     *     *

トパーズ Topaz の名は紅海の島トバゾスからで、古代にはペリドットを指したらしい。いろいろ説があるけど鬱陶しいからどうでもいい。
和名は黄玉。「おうぎょく」であって「こうぎょく」ではない。サファイアの「鋼玉」、翡翠の「硬玉」とまぎらわしいですな。
国産鉱物マニアは「トパズ」と表記するみたい。明治時代の日本人はギリシャ語まで遡って「トパゾス」と呼んでいたらしい。おやおや。かつての日本では美しい結晶がたくさん採れ、欧州でもてはやされたとか。

Al(SiO4)(F,OH)2。単独派(ネソ珪酸塩)できわめてベーシックな鉱物。一応含水鉱物。
硬度8で水晶7より硬い。比重は3.4~3.6で水晶の2.7よりずっと重い。
屈折率は無色系が1.609~1.617、オレンジ系が1.629~1.637。1.55前後の水晶より高い。分散度は0.014で水晶の0.013とほぼ同じ。

ちなみにインペリアル・トパーズはなぜ「インペリアル」なのかというと、そもそもは19世紀にロシア・ウラルで産したものを言い、皇帝一族のみが所有を許されたものだからだそうで。その後ブラジルのオウロ・プレトで産するオレンジ色のものを言うようになり、さらに現在はピンク系のものに広く使用されるようになっている。とのこと。

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と前置きが長ーくなってしまいました。
で、ようやくゲットしたのがこれ。中津川市苗木産。

小さくてお安い。けどクラックとがたがたした断面のおかげで、光がきらきらして、時折色も浮かぶ。
ううむ。ちょっと水晶とは違う輝きですねえ。うまく把握できないけど、とても魅力的。

そしてもう一個、茨城県東茨城郡城里町高取山産。
これがですねえ、水晶の表面に小さなトパーズがくっついているんです。


へえ、こんなんあるんだ、と感心しました。こういうのよくあるんですかねえ。
水晶はかなり透明、それにちびちびのトパーズが群がっている。よく言われる「水晶は横の条線、トパーズは縦の条線」というのがよくわかる。トパーズは少し濁りがあるけど、独特の質感。全体としてきらきらしてとても美しい。
これはミニミニサイズの分離結晶。トパーズ付き水晶とセット売り。右上のもので7ミリくらい。


     *     *     *

さてそれで、トパーズの魅力はわかったのか。
いやあ、トパーズは愛好家がいっぱいいるから、わかったなんておこがましくて言えませんわ。実際、たぶんもっと深い味わい、魅力があるのでしょう。

そう言えば、ツイッターで読んだ投稿に、掘り立てのトパーズは、ほんのり黄色だったり青だったりと驚嘆するほどの色味があるのだけれど、置いておくと消えてしまう、という話がありました。ふうん、そんなことがあるんだあ。
ひょっとすると、トパーズは「見る石」ではなくて「掘り当てる」石? なんてね。
大きくてピカピカの結晶を山で見つけたら、そしてそれが神妙な色をしていたら、その魅力に取り憑かれてしまうでしょうね。

トパーズ・ハンターの皆さん、たまには市場に出してくださーい。


ヨハンセン輝石

2023-07-23 16:54:20 | 国産鉱物

ヘデンバージャイトエンスタタイトと、輝石の放射状結晶を集めてきましたが、今度はヨハンセナイトが出ていたので、ちょっと競ってゲット。それほど高くはならずにすんだ。
輝石は好きなので、ヨハンセン、ドン・ピーコなんかもあったらなあと思っていたのです。しかしヨハンセン輝石なんてあんまり商品として流通していないような。ヤフオク国産鉱物、恐るべし。

で、こんなお姿。

放射状結晶があちこちに。



いいですねえ。重厚。
産地は真庭市大名草鉱山。失礼ながら真庭市なんて知らない。岡山県、倉敷の北で、中国山地の真ん真ん中。銅鉱山だったらしい。こちらに詳しい記事がある。採り立てのヨハンセンの青光りというの、見てみたいですねえ。

組成は CaMnSi2O6。ありゃ、割合単純。カルシウムとマンガンの準輝石にロードナイト(薔薇輝石)CaMn3Mn2(Si5O15) があってこっちのほうが複雑。要素は同じでもずいぶん姿は異なるのですね。
スカルン鉱床や熱水鉱床に産するというから、やっぱ水成鉱物。だからこういう放射状結晶ができるのか。
しかし mindat のフォトギャラリーを見ると、あちこちで色も姿もばんらばんらで出る。とても同じ石とは思えないようなのが並んでいる。どうも正体不明、わけわからん石ですねえ。

こうなったらドン・ピーコとかピジョンとかも探してみるかな。


ニッケルオパールとピンクオパール

2023-07-22 20:58:41 | 単品

コモンオパールのついでに。
兵庫県大屋鉱山産の「ニッケルオパール」。ヤフオクで510円。

「ニッケルオパール」なんて聞いたことがなかったです。まあ、オパールはいろんなものを取り込むので、オワイイー・ブルーはクリソコラ・オパール、ニッケルが入っていればニッケルオパールということになるのでしょう。
確かにニッケルらしい明るい黄緑。前にピメライトというニッケル鉱物を上げましたけど、その系統の色ですね。

     *     *     *

もひとつ。「ピンクオパール」。
ミネクエさんからカボッションが5個で600円とえらく安く出たので、子供たちに上げるために購入。一つだけ残した。(一番いいやつでしょw)

オジジのくせにピンクはけっこう好きらしく、ピンクオパールもいくつかある。
これはタンブル。柔らかくて可愛い。


これはお遊びで買った安い六角柱。ちょっと変で楽しい。


一際すごいのは然別湖のやつ。前にも書きました

然別湖オパールは新鉱物発見の騒ぎでわちゃわちゃしている。あまり近寄りたくない。
けどこのオレンジオパールはとんでもなく美しい。

ところで、ピンクオパールはオパールではないという話をあちこちで見る。
鉱物名は「パリゴルスカイト」だと。
けど、パリ君は本来ピンクではない。何だ?
mindat によると、ピンクオパールは「ケイ化パリゴルスカイト」で、「隠微結晶組織のピンク色の脈」によるものだそうで。何のこっちゃ。
要するにパリゴルスカイトの微細結晶がオパールに入り込んでピンク色に発色しているということなのでしょう。だとすれば「ピンクオパール=パリゴルスカイト」ではなく、ピンクオパールは「パリ何ちゃら入りオパール」ということになるでしょう。
ただしそれはペルー産のもので、西オーストラリアのピンクオパールは「オパール化した放散虫」だそうです。は? 放散虫というのはシリカ SiO2 で殻を作る生物で、その死骸が堆積してチャートになる。放散虫製シリカがオパール化する? わけわからん。
まあピンクオパールはピンクオパールでいいのではないでしょうかね。

しかし、然別湖のものはどうもそういうものとは違うような感じがしますよね。同地ではいろいろな色のものが出ていて、レインボーみたいなのもあるし。
どうなんでしょう。


オワイイー・ブルーオパール

2023-07-17 17:41:19 | 単品

Mineral Quest さんより、ブルーオパールの格安ルース。

遊色のないコモン・オパール。とろんとした質感に美しい青。なかなか風情があると思います。お店の話では「クリソコラの成分が取り込まれているそう」とのこと。

産地はオレゴン州の Lake Owyhee。オワイヒーとかオーウィーとかの表記がありますけど、どうも「オワイイー」と読むようです。先住民の言語なのでしょう。レイク・オワイイー国立公園というのがあります。かなり内陸部。


青い石は好きなので、以前に同じオワイイーの原石を買いました。

少し頼りない感じ。それもまた可憐でいいです。

ちなみにこちらはペルー産のブルー・オパール。かなり色が濃くて、ちょっとターコイズみたい。透明度がないので絵の具をぺたっと塗ったような感じもする。


     *     *     *

コモン・オパールというのは、非晶質シリカの「蛋白石」で、「遊色」がないもの。
同じシリカで「微細晶質」のカルセドニー/アゲートとどう違うか。はっきりは言えませんけど、オパールのほうが少し濃密でとろんとした質感があるような感じがしますね。翡翠のような稠密さはないけど。
遊色なしのものは人気の石とは言えないけど、いろいろな色があって、それぞれに美しい。あちきはけっこう遊色なしオパールは好きで、ピンクブラウンなども持ってます。あ、ハイアライトもコモン・オパールですね。
「非晶質」というのは、本来ならば「鉱物」から除外されるもの。けれどオパールはれっきとした鉱物。その不思議が美しさの秘密なのかも。
もしかしたらオパールは、結晶という鉱物の宿命を超越した、鉱物進化の最先端なのではないか、なんてね。