貧乏石好き

つれづれなるままに石をめぐりてよしなきことを

アルカリベリル(あるいはボロビエバイト)

2023-09-29 10:35:06 | ややレア

ヤフオクでそういう名前で出ていたもの。少し前に同じ石のものすごく美しい結晶標本が出ていて恐ろしい値段で落札されていたけど、これはひっそりと。





さて、ややこしい話。(またかよ)

アルカリベリルとは、一般のベリル(緑柱石 Be3Al2(Si6O18))にリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムといったアルカリ金属が含まれているもの。(mindat によれば、Li2O to 2%, Na2O to 4%, K2O to 2%, Rb2O to 1.3% and Cs2O to 4.6%)。ソーダベリルという異名もある。Rb って何じゃいと思ったらルビジウムという元素だとか。地殻にはけっこう多いらしいけどどうもよくわからない御仁。

ボロビエバイト(ヴォロビエヴァイト、Vorobyevite)は、本来はアルカリベリルの一種で、ロシア・中央ウラルのリポヴスカヤ鉱山で発見されたセシウムを多く含むものを言う。主に無色。名前はロシアの鉱物学者ヴォロビエフ(Victor Ivanovich Vorob'yev, 1875 - 1906)から。
しかし、マダガスカルで産する無色ないしピンク色のアルカリベリルもこう呼ばれるようになり、さらに近年発見されたらしいマダガスカル産の青いアルカリベリルも市場ではこう呼ぶことが多い。マダガスカル産は板状や花弁状の結晶が見られ、アクアマリンとは姿を異にする。

まあ、ロシア・ウラル産の高セシウムもの以外はアルカリベリルと呼ぶのが正しいようですね。

これは結晶の形は凡庸だけど、色は美しい。
こういう色はアクアマリンにはないでしょう。ベリルらしいきらきら感もある。
この青は何に由来しているのか。ナトリウム?

よくわからないのが、「含む」という言葉。結晶の原子の一部が置換されているのか、それとも結晶にどういう仕方でかくっついているのか、あるいはただ寄り添っているだけなのか。(細けえなw)
こういう色も、原子置換による電荷移動によるのか、結晶の歪みによるのか、遊離イオンの色なのか。(自分でわかって書いてる?)
まあね、青いんだよ。(それが結論?)

異色のベリルとして、これから人気が出るのではないでしょうか。


餡子玉:スパニッシュ・メニライト

2023-09-24 08:53:15 | 単品

ごろん。

餡子玉? 齧りたくなる、歯でかち割りたくなる。
メニライト Menilite。スペイン、Albacete産。東サ新宿さん(お、略したね)のフェアで。

存在は薄々知っていたけど、目の前にこんな見事な「ごろん」を出されたら、やっぱ手が出る。
「メニライト・オパール」とも呼ばれる。和名は「珪乳石」。多孔質の非晶質石英で水をかなり含む。
確かにたくさんの孔がある。持つと柔らかい、粉っぽい感じがして、手に少しねっとりとした粉っぽさが移る。ほんとにお菓子みたい。

質感も触感も、あまりこんなものはない。とても面白い。

見事な球形なので水で研磨されたのかと思うけれど、そうではない。
2010年くらいにスペインでこういう白色で丸っこい不思議な形をしたものがたくさん見つかったらしい。球形だけではなくて、二つ三つくっついていたりあちこち出っ張っていたりする。
で、妖精が作ったのではということで「フェアリー・ストーン」とも呼ばれる。
ケベックあたりでもちょっと平らなものが出るらしくて、クリスタルワールドさんで「フェアリー・ストーン」として売っていた。やや灰色だったと思う。
はて、これは何じゃい。

メニライトは mindat によると、
《オパール化したコンクリーション。泥灰岩や透石膏や頁岩の中に産する。オパールの変種と思われてきたが、おそらく不純物を含んだ若いフリントのノジュールで、石英に結晶化する前のもの。鉱物ではなく岩石と言うべきもの。》
名前は18世紀にパリ近郊のメニルモンタンで発見されたことによる。

コンクリーションというのは、《堆積物の砕屑粒子間の隙間に鉱物が析出・充填することによって凝結したものを指す。 いわば"天然のセメント"である。通常、球形あるいは卵形だが、不規則な形状になっていることもある。》ウィキ
泥灰岩 marls は《細粒砕屑粒子の泥質物質と、石灰岩の主成分である炭酸カルシウムが混合してできた中間的組成の堆積岩。 おもに粘土鉱物と方解石からなる。マールともいう。》同
頁岩 shale は《堆積岩の一種。粘土の不完全に固結した岩石で、泥板岩とも呼ばれる。》
フリント flint は火打石。非常に硬質な玉髄質の石英からできている岩石の一種。

要するに広く「コンクリーション」と呼ばれる岩石なのですね。
このコンクリーションの中にはセプタリアンとかモキ・マーブルなんかも含まれる。あら、セプタリアンって微生物が関与しているのかと思ったら違うのね。アメリカで産する「キャノンボール・コンクリーション」というやつは3メートルもあるものがあるらしい。
日本でも産して「こぶり石」「ほとけ石」「菩薩石」とも呼ばれる。木内石亭『雲根志』には「菩薩石」として紹介されている。

ああめんどい。
結局のところ、こういったものがどうやってできるかはまだわかっていないらしい。
堆積物中の珪藻のシリカが凝集したのだけれど、高温高圧でなかったためにチャートにはならずに終わったということでしょう。つまりは「生焼けチャート」?
けど、どうしてこんな形になる? 鳴石もそうだけど、ガイアの子分の中には丸いのが好きなやつらがいるのか?(誰だよそれ)
この「スパニッシュ・メニライト」は純度も高そうだし、形も面白いし、なかなかいいですね。

しかしどう見てもお菓子だなこりゃ。


丸いアメジスト?

2023-09-22 20:28:12 | 単品

東京サイエンス新宿紀伊国屋書店本店内ショールーム……っていつも言うけど長すぎだろこの名前……でどっかのミネラルショー(覚えろよ)の買付品フェアというのをやっていたので行ってきました。
あちきのお仕事は金曜がお休み。こういう石の催事は金曜から始まることが多くて、出立てのものをすいてる状態で見られるからその点では嬉しい。(もう催事は行かないんじゃなかったか?)
今回のフェアはちょっと地味だった感じだけと、ちょこちょことプチプラ祭り。

でツイッター(まだその名前使う気か?) でも上げましたけど、これ、ちょっと面白くてゲット。
アメジストの浦安ネズミでごわす。

最初グレープカルセドニーかと思ったら、アメジストと書いてある。インドネシア、スラウェシ産。
は? 丸いアメジストなんてあるんですか? 
いや、丸い結晶ではなくて、微細な結晶がなぜか丸くまとまったみたい。強い光を当てると光の輪っかができる。

ちょっと面白いですね。


巨大白翡翠

2023-09-17 08:40:10 | 国産鉱物

ヤフオクで白翡翠を探していたら、糸魚川産でえらく安く落札できそうなものがあったのでポチっと。
そのまま落札して商品到着。
ドッカーン!

で、でけえ。
寸法を確認しなかったのでした。(あほですね)
この三分の一くらいのものをイメージしていた。
少したじろいだ。うーむ。ほんとに翡翠か?
カミさんは「河原の白い石ですか?」とにべもない。
しかし、眺めていると、翡翠特有の「味の素」結晶がちゃんと見えてきた。そして何とも言えない質感の魔力が立ち昇ってきた。
透過もそれっぽく、きれい。



ううむ、こりゃ翡翠じゃ。たぶん間違いない。翡翠だと思う。まちょい(やめい)
素晴らしい。しかしこんなでかくてこの値段?
「落っことしてカケがある」と書かれていた。それも安い理由か。
けれど、その欠けた部分を見ると、結晶がキラキラと輝いている。美しい。

最初の当惑が過ぎて、どんどん魅了されてしまった。いとおしい感じさえ湧いてきた。
さらに、手で撫でていると、湿り気を吸ったせいなのか、かすかーな緑色が中から滲んでくる。気がつかないほどの淡い色。
翡翠って白くても透過光だとごくかすかに緑とかラベンダーとかを漂わせるみたいですね。
まいりました。

     *     *     *

前も書いたけど最初は翡翠にあまり惹かれなかったのです。けど、ロウカンを皮切りにどんどんと虜になっていったのでした。で、ついに18ミリあたおかブレスレットなんかを買ってしまう羽目に。その後も安くて美しそうな翡翠を見るとついポチっとしてしまうようになって、こんな事態に。

こりゃ物欲だな。どうも翡翠は物欲を刺激するらしい。同じようなものでももっと欲しい。叶うことなら大きなロウカンも欲しい。……いけませんねえ。

白地に緑が流れる典型的な糸魚川翡翠というのは、申し訳ないけどちょっと感性が合わない。ミャンマー産の透明度が高くて微妙な色をしているのが一番好み。
けど、白翡翠もとても惹かれるのです。
前も書いたけど、白翡翠はあんまり人気がないらしい。安いのはそのせいでしょう。でも、翡翠の質感の魅力は、白において極まると思うのです。
なーんかこう、石でも宝石でもない、不思議なもの。

置く場所に困るけど、毎晩抱いて寝るかな。


2周年

2023-09-14 20:29:52 | 漫筆

このブログ、始めてから2年になりました。(ほう)
だからどうだということもないのですけど。(まあな)
石を集めるようになってたぶん3年余。まだハイハイしていたのがよちよち歩きになったかな。(うーんどうかな)
アップした記事は……360弱。え? 2日に一回? 多過ぎだろ。(まったくよくしゃべるわ)
お付き合いくださっている皆様、ありがとうございます。
石名目次に載った石名は236。なかなか多いですね。(結構手広く集めたことは確かだな)

全然知らなかったこの世界に入って、驚くことたくさん。
美しいものに浸れましたし、いろいろとお勉強させてもらいました。
実にいい世界です。
直接の話ではないけど、「水が石を作る」とか「大陸がどうやって生まれたのかはわかっていない」とか「岩石も進化する」なんて話はびっくりでしたねえ。日本最初の石コレクターは後醍醐天皇だったとか。
シャッツク石とかの変な和名に唖然としたり。(まだ言ってる)

まあそろそろいいだろ、という声もありまして。
持ってない石は星のごとくあるけど、あれはどうしても欲しいというのは……ないかな。老化で意欲が減衰したか。
美しいものを求めれば切りがないし。お金が掛かるし。

記念に何か一つ、飛びっきりの石を挙げようかと思ったけど、あちきのコレクションには皆様を瞠目させるようなものはござらん。
貧石山人らしく、地味ーで欠けありで安価のもの。アイコンになっている石。
どうもあちきはこのアイオライトという石がやっぱり好きみたい。

あ、お暇な方はお祝いのコメントでもくださると喜びます。(珍しく素直)