貧乏石好き

つれづれなるままに石をめぐりてよしなきことを

ピーターサイト

2024-04-29 13:32:44 | 単品

「プチプラざんまーい」の続き。(まだあるのかよ)
ピーターサイトの「さざれ」。驚愕のプチプラだけどなかなかいい。

好きなんですね、この石が。
石集めを始めた頃、200円のを買ったのが最初。



以後、ちょくちょく買ってる。ピーターサイトは一般的にはけっこう高い。たまに安いのが出るとつい買ってしまう。
これは以前、8個で880円、つまり一個110円というこれも驚愕の価格でゲットしたもの。

アクセサリー制作者向けなのかもしれないけど他の人が買ってはいけないというものでもないだろうと。近所の子供たちにあげようかと思ったけどこういうピカピカしない石は好まないだろうと思ってやめた。(いい言い逃れを思いついたねw)
模様が様々で実に楽しい。

これは典型的な「テンペスト・ストーン」。青の乱流が美しい。こういうのはだいたい高いんだけどミネラルクエストさんでお安く出た。ありがたい。

これはヤフオク。



これは珍しく赤茶系。ちょっとアゲートっぽいかな。

ずっと前に買ったこんなのもある。左右9ミリほどの小さーなペンダントヘッド。どうすんだよこれと言われそうだけどその頃はこういうのしか見つけられなかったのですわ。

プレスレットまで。いい加減にしなさい。

角閃石が虎目石になって、さらにそれがぐちゃぐちゃっと歪められたもの。手の込んだ自然の芸術です。
何で好きなのかはよくわからないけど、まあ、好みなんですね。模様瑪瑙のような思わせぶりがないところが逆にいいのかも。


オルミアイト:アレキばりのカラーチェンジ

2024-04-28 09:59:20 | ややレア

ブラックライトを照らした時、ウガっという声が出た。

恐ろしくどぎつい赤。こんなんあるか。
さらに、電球色灯を当てるとオレンジ色に光る。

アレキサンドライトばりではないですか。まあアレキの場合は青い石がオレンジに激変するのに対してこやつは元が白っぽいから劇的ではないけど、それでもすごい。

オルミアイト。Olmiite。CaMn[SiO3(OH)](OH)。
2006年に認定されたわりと新しい石。名前はイタリア人名から。(手抜きw)
成分は単純なのになぜかきわめてレア。同形にMnがCaになっているポルダーヴァールタイト Poldervaartite があるけどそう言われているもののほとんどはオルミらしいとか。ややこしい。
南アフリカ、N'Chwaning II Mine 産。原産地で特産地。この「ンチワニン」というの面白いですな。アフリカ圏の言葉にはよくあるみたいで、サッカーのエムボマもエムバペも、ほんとは「エム」ではなくて「ン」が正しいらしい。日本人は発音できるけど、西洋人には無理みたい。新潟人なんかは「んだすけゃ」みたいな言い方をよくする。(するか?)

通常の見た目はやや平凡。

ちびい結晶がきらきらしてかわいい。

なんつうことはない石かと思いきや、この蛍光、この光源変色。
構成元素はいたって平凡なのに、なんか結晶構造が特異なんでしょうね。誰か苦労して組み立てたやつがいるらしい。(誰だよ)
いやびっくりの石です。


YAG・GGG

2024-04-27 19:43:24 | 人工鉱物

CZで羽目を外したついでに、YAGとGGGもゲット。
「カナリーイエローYAG」。イットリウム・アルミニウム・ガーネット。

かすかに緑がかった絶妙な色。実にいい色です。これも遠くまで光を飛ばす。

グリーンのGGG。ガドリニウム・ガリウム・ガーネット。

少し色は暗いのだけれど、深く澄んでいて美しい。ファイヤーは出ない。
しかし写真にするとつまんないね。へただからでしょうけど。

YAGもGGGも、前から見てみたいなとは思っていたのです。
何せ組成が不思議。
YAGは Y3Al2(AlO4)3。硬度8.5、屈折率1.833、分散度0.028、比重4.55。
GGGは Gd3Ga2(GaO4)3。硬度6.5、屈折率2.03、分散度0.045、比重7.05。
参考までに再掲、ダイヤモンドは屈折率2.42、分散度0.044、比重3.6。

YAGもGGGも、X3Y2Z3という結晶構造を持つからガーネットに分類される。つか、ガーネットの定義広すぎだろ。
ちなみに普通のガーネットは、例えばグロシュラー Ca3Al2(SiO4)3、硬度7、屈折率1.7、分散度0.028、比重3.5前後。

いずれも1960年代末からレーザー機器などの用途で作られたが、宝石としても商品化され、人気を博した。しかしその後宝石生産は減少、最近になって再注目され古いストックがけっこうな値段で出回っているとか。詳しくはこちら参照。

ガドリニウムとかガリウムって何?
ガドリニウムは原子番号64、希土類の金属。ランタノイドの一員。
ガリウムは原子番号31、土類金属。アルミの兄貴分みたいな感じ。
と言われてもさっぱりイメージできない。まあ日常で接することはないか。

人工宝石はインクルやムラがないとか、CZの場合はダイヤモンドでは難しい完全な無色があるとか、とにかく安いとか、いろいろなメリットがある。
「天然石」鑑賞としては邪道かもしれなけれど、なかなか素晴らしい領域ではないでしょうか。(あちこち手出し過ぎじゃないかい?)


CZ

2024-04-26 21:46:27 | 人工鉱物

「地味な石ばかりじゃのお。たまにはもそっとコガネに輝くようなのはないのか」
と山の神がのたまう。
たまには山の神のご機嫌も取らなくてはならない。
ヤフオクを漁ってみると、ゴールデン、キンキラのものが安く出ていた。

「いかがでござりますか」
「おお、これは」
「お気に召されて何よりでござりまする」
「高いのか」
難しい問いである。安いと言えばそんなものをとなるだろうし、高いと言えば無駄遣いをとなる。まあしかし正直が何より。
「千円でござる」
何とも微妙な表情を開陳されて話は終わった。

イエロー・キュービックジルコニア。CZ。人造宝石。1970年代からダイヤモンドの代用品として生産されるようになった。
二酸化ジルコニウム(ZrO2)を基本とする人工立方晶系結晶。本来の二酸化ジルコニウム(自然にはごく稀にしか存在しない)は単斜晶系だが、CZはダイヤモンドに近づけるためイットリウムなどを加えて立方晶系にしたもの。添加物には様々なレシピがあり、製品も様々。なお自然鉱物のジルコンは ZrSiO4 でケイ酸塩鉱物。全然違う。
硬度8~8.5(ダイヤは10)、屈折率2.15~2.18(ダイヤは2.42)、分散度は0.0058~0.066(ダイヤは0.044)。比重5.6~6.0(ダイヤは3.6)。
分散度が高いからカットによって七色キラキラに輝く。素晴らしいではないですか。

と味をしめて、同じ出品者さんから「超高質、高技術カット」の無色CZを買った。
これは開けてぴっくり。まじで声が出た。

写真じゃ写らないのですけど、まあすんごい。「プリンセスカット」という特殊なカットらしい。山の神殿もご満悦。
さらにびっくりしたのは、2つとも、室内のさほど明るくない光で、5メートルくらい離れていても、ピカーッという光が飛んでくる。こんなのは初体験でしたね。

さらに悪乗りして、「タンザナイトカラー」のCZも。



色が暗めなので上記二点ほどの派手さはないけれど、これもすごい色と輝き。カットのせいで赤とかのファイヤーも出る。


人工鉱物なんて邪道でしょ、とか思っていた。けれどエメラルドの典型的な色が欲しくて合成ものを買った。その後、とんでもない分散度だから、とモアッサナイトにも手を出した。で、今度はCZ。
強烈な色や輝きを見たいのなら、人工鉱物もいいではないですか。すごいし、お安いし。と変節したのでした。
実際、このCZは輝きもファイアもすごい。較べる先を持ってないから確かなことは言えないけど、へたすりゃダイヤモンドを凌ぐのではないか。まあファイアが出過ぎて少し下品だと見るむきもあるかもしれないけど。で、何より安い。こんな大きなダイヤだったらとんでもない値段になるでしょう。でもこれらは千円以下。
だから、詐欺に使うのは論外ですけど、人工だよと納得して味わうのなら、大いに素晴らしいことではないでしょうか。

 


ネフェリン

2024-04-25 19:15:12 | 単品

ネフェリン。Nepheline、霞石。(Na,K)AlSiO4。これ「かすみせき」じゃなくて「かすみいし」と読むらしい。
最初に見た時は霰石の誤植かと思った。酸で白濁するのでギリシャ語の「雲」、「nephele」から命名。それを和訳して「霞」。春の名物ですな。「春の野に霞たなびきうら悲し この夕かげに鶯鳴くも」(家持)。万葉集なんていう8世紀の歌集にこんな近代的孤愁にも似た詩情の歌があるとはどう考えても驚き。(脱線しすぎ)
準長石。苦鉄質の火成岩ないし変成岩に長石の代わりとして生成される。何ですか「代わり」って。なりそこないなのか奇をてらったのか。ちなみに準長石のお仲間にはソーダライト、アウイン、ヘルヴィンなどがある。おや、なかなかの面々。
中でもネフェリンは苦鉄質火成岩、要するに玄武岩つうことね、の特徴的な鉱物。重いマグマの固まったやつ。けれど玄武岩の空隙中で六角柱状の結晶を見せることもある。ガラスや陶磁器の原料にもなる。
基本的な造岩鉱物だけど、というかそれゆえに、商品にはあまりならないみたい。「プチプラざんまーい」をやってる中で見つけたのだけど、見たの初めて。前から正体不明の変な石だなあと思っていたので見たくなってポチ。

ポルトガル産。独特の美しさがある。ちょっとセラフィナイトの輝きに似ているか。けどもうひとつよくわからない。捉えどころがないというか。そういう意味で「何じゃこりゃ」。
まあ、霞だものね。