貧乏石好き

つれづれなるままに石をめぐりてよしなきことを

おおつごもり

2023-12-31 18:28:04 | 漫筆

今年も終わりとなりまして。
お引越しとか思いもかけずばたばたした一年でした。
それでも石集めはけっこうせっせとやってましたな。

お付き合いくださった皆様、ありがとうございました。
来年もぼちぼちやっていきますのでよろしくお願いします。

雪が降るところで露天風呂につかりながらお正月を過ごしたいなあ。


アラゴナイトでおす。


ヴェゼリアイト

2023-12-30 09:00:00 | ややレア

Veszelyite。ベゼリアイト、ベゼリ石。ベゼライトと書かれることもあるけど、それはないでしょう。
(Cu,Zn)2Zn(PO4)(OH)3・2H2O。銅・亜鉛のリン酸塩鉱物。

発見地はルーマニア。近年美結晶を産するのはモンタナ、中国雲南。名前は人名由来。(手抜きw)
1900年に荒川鉱山で出た近似のものが「荒川石」と名付けられたが、その後ヴェゼリアイトの一変種となった。また、1960年代に神岡鉱山で出た「神岡石」も同じく一変種とされている。詳しくはこちら

有名な青い石。美石揃いのリン酸塩鉱物で、しかも銅。こりゃどうしても一つは欲しい。
しかし人気があって高い。
ずっと指をくわえていたけど、比較的安めのものがさるお店で出たので衝動買い。ところが、小さい。結晶が数えるほどしかない。色はいいのだけど。
と欲求不満になっていたら、ヤフオクでまあまあの価格のものが出た。でポチッと。

中国雲南省、箇旧市産。
小さいやつの説明書きには「Laochang ore field, Gejiu Sn-polymetallic ore field, Gejiu Co., Honghe Autonomous Prefecture, Yunnan Province, China」とある。あれこれ調べて訳すと「中国雲南省紅河哈尼族彝族自治州箇旧市、老廠鉱石場、箇旧錫多金属鉱石場」かな。違うかもしれん。(ごくろう) ハニ・イなどの少数民族居住地域ですね。

明るい青が実に美しい。リナライトに似ているけれど、ヴェゼリはリン酸塩のせいか、水で濡らしたような独特の照りがある。
これはあちきが持っている青い石の中で最高の色光かも。
今年を締めくくるのにふさわしい石かな。

ちなみに銅のリン酸塩鉱物には
 ターコイズ CuAl6(PO4)4(OH)8・4H2O
 リベテナイト(Libethenite 燐銅鉱) Cu2(PO4)(OH)
がある。リベテというのは純粋な銅のリン酸塩だけど稀産で大きな結晶は出ないみたい。mindat のフォトギャラリーを見ても大きそうなものはない。色と輝きは美しいみたいだけど、残念。


ヴェイリネナイト(ベイリネナイト、バイリネン石)

2023-12-29 09:41:58 | ややレア

これもヘルデライトと同じくベリリウムのリン酸塩鉱物。
Vayrynenite。BeMn2+(PO4)(OH)。(OH,F) となることもあるそうで。お馴染みのやつね。ハイドロとフルオロを分けるかい?(しつこい)
20世紀になってから発見されたわりと新しい石。名前はフィンランドの鉱物学者 Heikki Allen Vayrynen (1888-1956) から。a の上にはドイツ語で言うウムラウトが付いてる。和名でバイリネン石とされることもあるので、原音はアなのかもしれない。フィンランド語なんて知らん。なんか欧州語とは少し系統が違うとかいう話を聞いたことがある。フン族がどうたらとか、日本人とちょっと似たメンタリティを持っているとか。(余計な話)
ええと、ヘルデライトは CaBe(PO4)(F,OH) でしたな。カルシウムかマンガンかの違い。
で、マンガンらしく、赤い。
ベリル Al2Be3(Si6O18) ないしトリフィライト LiFePO4 から派生した二次鉱物だそうだけど、金属が全然違うぜ。気分でいろいろ取っ替え引っ替えできるのかな。(誰の気分だよ) ペグマタイトで出る。

稀産らしくえらく高いのだけど、過日ヤフオクで安価なものが出ていたのでゲット。4つで3500円。

パキスタン、Gilgit-Baltistan Skardu, Haramosh Mts.Shengas 産。
あまり大きな結晶は出ないらしいのでそれはいいんだけど、えらく薄い。ピンセットでつまみにくいし、手には引っ付くし、扱いづらい。
薄いせいか、色は淡く、はかなげ。透過光だとさらに赤みが消えて不思議な色になる。マンガンなのに赤みがなくなってしまうというのは奇妙。結晶の構造色なのかな。



しかしこのはかなさも味わい。いかにもレアストーンという感じですかな。
けどヘルデライトにしろヴェイリネナイトにしろ、折角のベリリウム・リン酸塩なんだからもうちっと立派な結晶になったらよかったろうに。(無茶言うな)


ハイドロキシル・ヘルデライト

2023-12-27 21:02:12 | ややレア

ややレアの続き。

Hydroxylherderite。CaBe(PO4)(OH)。
なんか大仰だけど、ヘルデライトは「ヘルデライト-ハイドロキシルヘルデライト・シリーズ」CaBe(PO4)(F,OH) で、ハイドロは OH が優勢なものということらしい。mindat さんは「警告」として、
《「ヘルデライト」とラベル付けされたほとんどの標本は、実際にはハイドロキシルヘルデライトです。真のヘルデライトは、おそらくここにリストされている産地のほとんどでは産出しません。Fドミナントが確認された標本は現在、ブラジル、モゴック、宜春、ナミビアでのみ知られています。》
と書いている。
まあ見た目はほとんど変わらないからいいんじゃないでしょうかね。だいたいこういう(F,OH)のものはけっこうあるけど、いちいち名前分けてないでしょ? トパーズをフルオロとハイドロキシルとに分けてたりしますか? さらには、普通に「ヘルデライト」を売っている石屋さんはみんな詐称になってしまいませんか。(まあまあ、落ち着きなさい)
単斜晶系。色は minndat さんでは《Colorless, gray, brown, pale yellow, greenish white, light blue, purple; colourless in transmitted light》と言っている。(手抜きw) フォトギャラリーで見るとハイドロには美しい紫もある。
ペグマタイトに産する。まあ熱水性の含水鉱物ですな。

リン酸塩でベリリウム入りとなれば、とんでもなく美しいだろう、と思いきや、大きい結晶は出ないし、色もなんか頼りないし、やや期待外れの感なきにしもあらず。
これは「いろはに宝石」さんで何と千円台で出ていた結晶。かすかーにイエローグリーン。

こっちはちゃんと「ハイドロキシル・ヘルデライト」と表記されてヤフオクの koiwastone さんに出ていたもの。かすかーにブルーグリーン。あちこちで小さな結晶がきらきらと輝く。けど何となく頼りない。



ところがこやつ、蛍光がとんでもなく美しい。



写真ではほぼ写りません。明るい紫のとんでもない色に輝くのです。あんまりこんな色は見たことないなあ。
なかなか曲者の石です。


トリフィライト

2023-12-24 09:55:31 | ややレア

レア鉱物を集めるなんて、知識やノウハウや資金のないあちきにはちいと無理。ルーペサイズなんて老眼じゃ見えないしね。
けれど、ちょいレアでお手頃のものがあると、どんな色や質感なんだろうと買ってみたくなる。そんなものをいくつか。

まずはトリフィライト。夕星庵さんでカットルースがお安く出ていた。
Triphylite。LiFe2+PO4。斜方晶系。
リン酸塩鉱物はアパタイト、フォスフォフィライト、ヴィヴィアナイト、ベゼリアイト、ワーベライトなど美形揃い。こちら。しかもリチウム。素姓的には俄然興味が湧く。

1834年にフックスにより命名。当初は鉄・リチウム・マンガンの「3つ」を含むと考えられたためこの名が付けられたが、マンガンのものはリチオフィライトあるいはリシオフィライト Lithiophilite LiMn2+PO4 として別鉱物となった。もっともこの2つは同形で固溶体をなすから、3つ含むが間違いというわけではない。ややこしい。ちなみに同じリン酸塩鉱物でトリプライトというのもあってさらにややこしい。(話をややこしくするな)
リチオフィライトはオレンジの石でパワーストーンとして一部で人気らしい。トリフィライトの方は、mindat さんも「ブラウン・グリーン、明るいグリーン・グレイ、ブルー・グレイにも見える。透過光では透明からペール・イエロー」と訳の分からんことを言っている。

しかしまったくその通りで、こやつ、何色かわからない。カットのせいもあって、シャンペンゴールドとか緑とかが見える。時折青もちらつく。多色性=方向変色があるということか。
アキシナイトとかアンダル―サイトとかもちょっとこんな感じですね。



こういう「何色かわからない」というのは好みでして、実にいいです。

ちなみにトリフィライト/リチオフィライトの Fe が Al になると、アンブリゴナイト/モンテブラサイト=LiAl(PO4)(F,OH)となる。へえ。
(へえ、で終わるのか?)