貧乏石好き

つれづれなるままに石をめぐりてよしなきことを

アイオライトまたまた

2022-04-30 22:32:53 | 単品

アイオライトをめぐってはいろいろと迷走してきました。「方向変色」では、「丸玉」に辿り着いて、「これぞ究極のカラーチェンジ」と感激しました。回転台が来てからは、普通のアイオライトの方向変色も楽しんでおります。(好きだねえw)
で、それで終わりかと思っていたのですけど。(君もしつこいねえ)

これは「アイオライト・サンストーン」。この頃いろいろな所で見ます。
この名称に関しては疑義があるのですけど、まあそれは書いたので。要するに「アベンチュリン・アイオライト」ないしは「ラメ入り」アイオライトですね。サンストーンつまり長石の成分が入っているわけではない。
「要するに、サンストーンのアイオライト版でしょ。地の色が赤でなく濃紺になっただけ」と思っていて、まあ値段もそこそこするので買わずにいました。うちにも一応アイ・サン(その略はないだろ)はあるのですけど、それは少しおとなし目。
で、先日、ミネラルクエストというネット石屋さんで、けっこう派手目のものが割合安価で出ていたので、ぽちっと。この石屋さん、少種安価主義で、更新するとだいたい瞬く間に売り切れる。これも最後の一個でした。
ラメの出方がすごい。人工じゃない?と思うくらいに、ぎんぎんに出る。
まあそれならサンストーンでもあるわけですけど、黒に近い濃紺にきらめく虹は、なかなかいいものでして。
そしてもっといいのは、透過光があるということ。とても平べったい磨き石というせいもあって、少し強い光だと、アイオライト独特の青が透けて輝く。
で、二つライトを使って、反射光と透過光を同時に作る。

濃紺は夜空の星だけど、菫青色にぼんやり光る背景だと、宇宙の姿。
いい味わいです。

     *     *     *

前に「アイオライトの魅力は、その『捉え難さ』にある」と書きました。反射光と透過光でがらりと色が変わり、さらに方向によっても変わる。いったいお前は何色じゃい、と言いたくなる。
じゃあ、アイオライトの本当の色、真骨頂の色はどんなものか。どうもそれをキリッと(半角にするんじゃねえw) 出しているらしき「高品質」カボッションが夕星庵さんにあったので、購入。

写真では再現できないのですけど、微妙ないい青。これだよこれ。青とも紺とも菫とも言い難い、独特の色。タンザナイトより少し紫目で、少し沈んだ色。ちょっとたまりません。

     *     *     *

もうひとつ、まあ余興で。
これは「板」。(は?)

クリスタルワールド立川さんでとても安く売っていたもの。長さ7センチほど。
すごく美しいというわけでもない。「どうすんだよこれ」と言われそうだけど、まあ、何と言うか、アイオライトの「板」なんですね。(どうすんだよこれ)
アイオライト好きにはこういうのもまた面白いものでして。(そんなものかねえ)
見た目はもう少しきれいなんだけど、だめですなあ。こういうのは写真に撮れない。カメラを買う余裕なんてないしなあ。

しかし、やはり変な石です。(君も変だw)


スウェディッシュ・ブルー

2022-04-29 13:42:09 | ややレア

ガラス。といってもちょっと奇妙なガラス。人工の「ガラス製品」でもないし、自然の火山性ガラスでもない。
製鉄の際に生じる残滓。鉱滓・スラグ・金屎(かなくそ)。そこから「発掘」されたもの。
夕星庵さんより。えらく安かった。

「発掘」の経緯はだいたい次のようなもの。「スウェディッシュブルー・ジュウェルリー」より。
スウェーデン中央部のベルグスラーゲン(Bergslagen)では、13世紀から19世紀中葉まで近世的な手法による製鉄が大規模に行われてきた。1873年には646の鉱床で82万3000トンの鉄鉱石が生産されたという。
1960年代にある金細工師がその近世的精錬遺構から青い石を発見し、ジュエリーを制作、「Bergslaggsten」という名で人気となった。その後、「発掘」はさらに進み、2006年にストックホルムの鉱物業者が「スウェディッシュブルー」としてGIAに紹介し、世界に広まった。

といっても、スラグ全体がこういう美しい青をしているわけではない。「かなくそ」の中から見つけ出し、削り出すのはなかなかの手間らしい。
青の色は銅によるものとのこと。主成分はシリカ SiO2 でほかにいろいろ入っているのでしょう。
日本にもないかなと思ったけど、伝統的「たたら製鉄」は砂鉄を使うので、こういう変なスラグは出ないのでしょう。島根県吉田町にあるたたら遺構を見たことがあるけど、なかなかすごいものでした。かなくそも飾ってあったけど、きれいなものではなかった。
ちなみにたたらでは鉄が「よく沸く」ように建物内のある方角の柱に人間の死体を縛り付けておいたとか。(何の話だよ) 死体にスラグをぶっかけて埋めておいたら不思議な石ができたりしないだろうか。(おいおい)

確かにガラスですな。見た目も触り心地も、何とはなしに石とは違う。ような気がする。なんか柔らかーく触ると柔らかく感じる。(ほんとかよw)
けれど、色合いや濃度が違う青の薄い層がうねり模様を描いていて、神秘的。
地殻運動による変成でも、人為的加工でもなく、こういう模様ができるというのは、実に不思議。シャーレンブレンドでもあったけど、「冷却速度」によって模様ができたりするのだろうか。しかしなぜ? 物質自体にこういう模様を描く「揺らぎ」があるのか。それとも誰か絵描きがいるのか。(いないと思うよ)

似たものに、ドイツで産出する「ジーバー(シーバー)アゲート」がある。やはり鉱山のスラグから採掘された模様入り青色ガラス。
両方ともニューエイジ系の人たちには「ヒーリングストーン」として人気があるらしい。ふむ。かなくそでもヒーリング効果はあるのか。(そういう言い方はおやめなさいw)


ブルーシェーライト

2022-04-28 20:50:44 | ややレア

先日、また夕星庵さんの更新を見ていたら、聞いたことのない石があった。
ブルーシェーライト。
青が入った縞模様の石。
お店の説明では「トルコ産の美しいブルーの模様が魅力的なストーンです。ドロマイト・カルサイトが混じっています。茶色の部分はシーライトです」とある。
シーライトないしシェーライトは灰重石。聞いたことはあるけど見たことはない。
美しそうで面白そうで、何より安かったのでぽちった。

すごく期待していたわけではなかったけれど、実際見てみたら、なかなかいい。いや、かなりいい。
大きさは一辺2センチほど。

しかし「ブルーシェーライト」という名前なのに、シェーライトは茶色? はて。

英語版のETSYというサイトにはもう少し詳しい説明があった。
《「ラピスレース・オニキス」「ラピスレース・マーブル」とも呼ばれ、トルコ産の美しく、非常にまれな宝石です。方解石、シェーライト、ブルードロマイトのまれな組み合わせから成り、基部は主に方解石で、淡い色をしています。濃いクリーム、金、黄色の部分はシェーライトで、青い部分はブルードロマイトです。》

ブルーなのはシェーライトではなくドロマイトなんですな。しかしドロマイトというのも、あまりよく知らない。うむむむ。

・シェーライト(Sheelite 灰重石 CaWO4)はタングステンの原料鉱物。通常は白・黄。
・ドロマイト(Dolomite 苦灰石 CaMg(CO3)2)はカルサイトの Ca の一部が海水中で Mg に代わったもの。ドロマイトは鉱物名であると同時にドロマイトを主とした混合岩石(苦灰岩)の名でもある。苦灰岩は広汎に見られる基本的な岩石。苦灰石の純粋な結晶は透明だが、微量の鉄によって黄・茶を帯びる。
・カルサイト(Calcite 方解石 CaCO3)はもっぱら海洋生物遺骸の堆積岩。

ドロマイトとカルサイトが一緒に出てくるのはわかるけれど、なんでここにタングステンが入るのか。しかも繰り返し層を作っているのか。なんでドロマイトが青になるのか。と、いろいろ不明なところが多い。

でも、不思議な魅力のある石です。
何なんだろう。色の取り合わせの妙か。かすれたような模様のせいか。微細に波を描く線のせいか。普通の層状模様の石とは違う味わいがある。
ひょっとして、このモールス信号だかバーコードだかを思わせる模様は、超古代からの暗号メッセージではないか。(ねえよw)

で、ふと思いついて、例の「下から照明」で照らしてみた。
おお!

石が薄いせいもあるのか、見事に透ける。そしてドロマイトの青が鮮やかで、シェーライトはオレンジや紫に輝く。何と素晴らしい。

いやいや、知りませんでしたけど、これはなかなかのお宝ですな。

「ブルーシェーライト」ではなくて、もっと素敵な名前を付けたら、人気のレアストーンになるのではないかな。そういうのはあのティ何たらが得意だろうけど。トルコはそういう商売っ気はないのか、と思ったらダイアスポアの「ズルタナイト」騒動なんかがあったっけ。あの石ももっといい名前を付ければいいのに。トルコ人、がんばれ。


アポフィライト

2022-04-24 13:33:48 | 単品

Apophyllite。魚眼石。KCa4Si8O20(F,OH)・8H2O。
洋名は「apo=離れる」「phyllon=葉」から。加熱すると薄く割れるらしい。
和名はてかてかの光から。けどねえ、あまりいい語感ではない。「行く春や鳥啼き魚の目は涙」という有名だけどよく意味のわからん句があって、それを思い出す。少しきもい。

よく売られている。特に緑のものは人気が高い。そして値段も高い。
あちきも最初は、緑のを買った。高いから小さい結晶。

淡い緑がきれいで、表面の輝きもいい。
まあそれでいいかと思っていたのだけど、前にも書いたように、その後五反田さんで透明なチビ結晶クラスターが安く売られていたので買った。
このきらきらは、結晶表面が真っ平らではなくて微妙な高低があるから起こるみたい。フィロ珪酸塩で雲母と同派閥。その面状結合のせいか。とても美しくてびっくり。



ついでにピラミッド型単結晶も2個で500円(おお)とお安かったので購入。中の断層部分が虹色に輝いてきれい。形も端正だし、お気に入り。

アポフィライトという石を見直したのでした。緑じゃなくても美しいよ。

で先日、楽しみにしている夕星庵さんの金曜6時の更新を見ていたら、ピンク色の妙にかわいらしいクラスターがある。アポフィライトと水晶の共生とのこと。ジジイが買うには少しばかり乙女チック(古っ)ではあるけれど、心惹かれてぽちっ。
荷物が着いて包装を開けたら、おお、と声が出た。

ドゥルージーの水晶に混ざって、オレンジピンクのアポフィライトの小結晶。
きらきら輝いて、色も華やかで、実にきれい。痺れた。

しかし、写真というのはこういうキラキラものはダメですな。腕も悪いんだけど。
人間の眼というのは、網膜に凹凸があるので健常者でも微小な乱視があるという。そういう眼で見ると、輝きは滲んで美しく見える。あちきは少し乱視気味なのでかなり滲む。夜空の星なんかは下手をすると一つが三つに見える。けど返ってきれい。現実を少しだけ美しく見せてやろうという神様のご慈愛か。(違うと思う)

「綺麗」というのは「美」とは違う。「綺麗」というのは視覚的快。「美」というのはその奥に、神々しさとか愁いとか謎とかを秘めているもの。絵画だって、単に綺麗な風景画は美ではない。美人だって単に顔立ちが整っているだけでは美人ではない。
けれど綺麗が極度に高まると「美」になる。ルノワールの「イレーヌの肖像」なんてのは綺麗が高まって美になっている。北川何とかさんだって顔の造作の綺麗さが高まって美人になっている。(はあ?)
石もまた単に結晶が綺麗なだけなら綺麗に留まる。けれど、それが極度に高まると美になる。このミニクラスターは「美」になっている。(何かわけのわからん理屈だな)

まあ、カリウムとカルシウムの珪酸塩という素朴な石でも、美しいものは美しいということですな。
(しかしよくしゃべるね)
暇なもんで。


ソーダライト

2022-04-23 20:17:47 | 単品

ソーダライトというのは、めんどい。
単独の鉱物名であると同時にグループ名でもある。こういうのやめてほしい。(文句多いぞw)

ソーダライト(Sodalite 方ソーダ石、方曹達石) Na8(Al6Si6O24)Cl2。アルミノ・テクトケイ酸塩で準長石。立体派ね。カイヤナイトの塩漬け。(違うっつの)

で、その同族に
  ・ラズライトR(Lazurite 青金石)(Na,Ca)8(AlSiO4)6(SO4,S,Cl)2
  ・アウイン(Hauyne 藍方石)(Na,Ca)4-8Al6Si6(O,S)24(SO4,Cl)1-2
  ・ノゼアン(Nosean 黝方石)Na8Al6Si6O24(SO4)
があって、これらがまじゃるとラピスラズリができる。

さらにちょっと異色の仲間に
  ・ハックマナイト Na8Al6Si6O24(Cl2,S)
  ・トゥグトゥップアイト Na4BeAlSi4O12Cl。
という蛍光で有名なやつがいる。

さらに仲間ではないけれど近縁のやつに
  ・アフガナイト (Na,Ca,K)8(Si,Al)12O24(SO4,Cl,CO3)3・H2O (カンクリナイトグループ)
ソーダライトを含む混合鉱物で蛍光が有名なやつに
  ・ユーパーライト(Yooperite)「蛍光性ソーダ石含有閃長岩クラスト(Syenite clasts contaning fluorescent sodalite)」(Vecさんより引用)
もいる。

こうやって見ると、仲間については取り上げているのですな。
しかしご本尊は扱っていなかった。

磨き石がよくあるけど、ラピスラズリと変わらんとか、ちょっと色が薄かったり濃かったりとか、まじゃりものが多すぎたりとかで、「これはいい」というのに出会わなかったのです。
エヌズミネラルさんなんかはソーダライト商品のトップ写真は全部蛍光の写真だしね。通常だと見栄えがしないからかな。
ラピスラズリより明るい青がきれいなんですけどね。

     *     *     *

と思っていたら、夕星庵さんで「高品質 ピンク蛍光 アフガニスタン産 ソーダライト」というのが売られていた。さざれ石サイズだけど色が澄んで美しそうだったし、とてもお安かったのでぽちった。



いいです。青が鮮やかで、そして透明性がある。光にかざすと素晴らしい。蛍光はピンクというよりオレンジで、ちょっとくすんだような色。
けど小さいなあ。

まあともかく、超有名グループの総領たる石の、とても純度の高い姿を見られたということは、なかなかのことだと思っているのであります。