貧乏石好き

つれづれなるままに石をめぐりてよしなきことを

アズライト

2021-11-09 20:19:45 | 単品

アジュライトと表記されることもある。まあ。
アズライトの名前は、フランス語の azur から来ている、と思っていた。青空、蒼穹。コート・ダジュールは青空の海岸。
ところがいろいろな所を見ると、アラビア語起源とか書いてある。まあフランス語の azur 自体がアラビア語起源なのかもしれない。
ともあれ、アズライトは紺碧の空(この言葉で変な歌が出てくるのは困る)の色。

私語りで恐縮ですが。(だいたいそうじゃん)
「石を集めよう」と思い立って、最初に買ったのが、このアズライトの卵。

右も左もわからず、原宿の有名老舗コスモスペースさんに行って、とんでもない種類の石があるのに圧倒されて、途方に暮れた。その時、「よくわからんけど、これはきれい」と魅了されて買ったもの。9000円の1割引。
アズライトとラピスラズリの違いもはっきりしなかった頃。石の値段のこともよくわからなかったので、「まあそういうものだろう」くらいに思ったらしい。少しスレてからだったら二の足を踏んでいたかもしれない。
でもまったく後悔していない。あちきにとってはものすごく美しかったし、今もものすごく美しい。
模様というか、色の配置というか、それが絶妙で、見る度に不思議な気持ちになるのです。卵の姿も磨かれた表面も美しい。社長さんは「樹脂分が少ないいい品ですよ」とおっしゃってました。
その後ほかのアズライトを見たけれど、こういう手の美しさのものはない。まあさすが有名老舗。この石はあちきのささやかなコレクションの中で「御本尊」の位置にあるのです。

アズライト(Azurite 藍銅鉱)は銅の炭酸塩鉱物。Cu3(CO3)2(OH)2
OH がミソね。単なる炭酸塩ではない。
銅の二次鉱物(一度できた鉱物が変成されてできた鉱物)で、兄弟がいる。
・マラカイト (Malachite 孔雀石) Cu2(CO3)(OH)2 緑の石。
・クリソコラ (Chrysocolla 珪孔雀石) Cu2H2Si2O5(OH)4 これも緑。与党(ケイ酸塩)に寝返ったらしい。
・シャタッカイト(Shattuckite シャタック石) Cu5[(OH)2|(SiO3)4] これは青。与党珪酸塩だけれどけっこうレア。何かクリソコラと後半部分が逆ですね。どういうこっちゃ。

これらが混じった石をアメリカでは「クォンタム・クワトロ」と呼んで高く売り出しているけれど、ほかの国ではあまり流行らないらしい。
《クォンタムクアトロシリカはクリソコーラと共生する鉱物が混ざり合っているのですが、分析の結果、クリソコラ・アジュライト・アホアイト・シアノトリカイト・マラカイト・スードマラカイト・ブロシャンダイトなどが混在し、個体によってそれらが、大小に入っており、珪化したものも入っているそうです。ですが主に、クリソコラ、石英、マラカイト、アジュライト、赤銅鉱などが主でした。》出典

兄弟はよく混ざって出てくる(特にアズライトはマラカイトと)、というかアズライトだけというのが珍しいくらいで、アズロ・マラカイトと表記される石は多い。チャルコパイライト(Chalcopyrite 黄銅鉱 CuFeS2)やキュープライト(Cuprite 赤銅鉱 CuO2)なんかも混じる。うちの御本尊にも黄色い部分がある。ちょっと赤く見える。
アズライトは不安定で、徐々にマラカイトに変わっていくという。といっても、数千年単位のことだから、アズライト持ちが心配することはない。だろうと思う。

御本尊御開帳のついでに、うちの「ロイヤルファミリー」を。



正室は同じ炭酸塩のロードクロサイト。これも原宿産でなかなか美人。
真ん中の王子はアズライトボール。四街道産。時々こういうふうに丸く結晶するらしい。
横にはシャタッカイトとクリソコラ。
ちなみにこのクリソコラ(これも原宿産だな)、卵でも球でもない丸っこい磨き石で、重心が変なところにあるせいか、すぐころころとあちこちに転がっていくし、ちょっと近くを歩いただけでぷるぷると揺れる。実にかわいい。セルフクリエーションさんのおまけでもらった弟が付いている。
シャタッカイト(シャタック石だからシャタッカイトであって、シャッタカイトではない!)は安かった(四街道産)ので、真正シャタッカイト部分は多くないのかも。でも青がきれい。
(マラカイトは、ちょっと性に合わないので、敬遠。)

アズライトはいい石だとあちきは思います。あちきにとって野党(非ケイ酸塩鉱物)の五大スターは、コランダム(サファイヤ、ルビー。酸化)、ロードクロサイト(炭酸塩)、フローライト(ハロゲン化)、カルサイト(炭酸塩)そしてアズライトですね(独断と偏見。異論は認める)。


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