ひきた小児科クリニック(群馬県桐生市 疋田小児科医院)

小児科専門医が群馬県桐生市やみどり市で流行している病気や,予防接種,アレルギーなどこどもの健康に関する情報を提供します.

妊婦たらい回し死亡問題とNICU

2008-10-24 08:54:42 | 日記・メモ (Weblog)

 「妊婦たらい回し」という言葉が適切であるかどうか分かりませんが、ニュースや新聞記事で問題になっています。妊婦の受け入れ拒否に関しては奈良の事件で問題になっていましたが、今回は首都東京で起きたことも問題なのでしょう。

 私も小児科医として東京都内のNICU(新生児集中治療室)に勤務していたことがあるので、内情は分かっているため、この大変な問題が解決することを願っています。

 10年以上前の話ですが、NICUの当直中に私のいた病院から恐ろしく離れた場所で、在胎28週(40週前後で生まれるのが正常です)の赤ちゃんが自宅で生まれたので搬送したいという依頼がありました。
 当時、私は東京都内に4つしかない総合周産期センターの1つである大学病院のNICUの当直をしており。依頼は断れない立場だったのですが、28週の新生児だとなるべく早く病院に収容した方が良いと考え、また救急隊のいる場所から大学病院までの間に、いくつかNICUがあったため、そちらに行った方が良いのではないかと話したところ全て断られたとのことでした。
 この赤ちゃんは私のところまで救急車で小一時間かけてやってきたときにはグッタリしており、全力で蘇生を試みましたが2時間足らずで心拍が停止してしまいました。後で判明したことですが在胎28週ではなくて24週で、体重も600g(3000g程度が正常です)しかなく、当時の上司にも病院で管理されて生まれたならともかく自宅分娩では助けようがないとなぐさめられました。

 危険性の高い出産を収容できる施設は限られていますし、産婦人科、小児科、脳外科がいても、産婦人科が手術をしていなくて、脳外科も手術していなくて、小児科も受け入れ可能という状態が持続することは現状ではありえないので、今後解決することを願っています。

 10年前ですが個人が特定されると困るため少し情報を変更して書きました。


ひきた小児科クリニック
http://www014.upp.so-net.ne.jp/hikita/pc/
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