ふりかえれば、フランス。

かつて住んでいたフランス。日本とは似ても似つかぬ国ですが、この国を鏡に日本を見ると、あら不思議、いろいろと見えてきます。

いとこは、近いか、遠いか。

2010-07-12 20:02:14 | 社会
参議院選挙は、ご存じのとおり、民主党の惨敗。敗因の一つに、選挙直前に唐突に菅首相が言い始めた消費税率のアップが挙げられていますね。

消費税率のアップ自体への拒否感もあるでしょうが、その話の進め方にも首をかしげざるをえないところがあります。

徹底した無駄の削減が民主党の「売り」だったと思うのですが、どこまで進んだのでしょうか。増税の前に、無駄のさらなる削減を。天下り先への無駄なお金の流れ、公務員改革、そして何よりも、隗より始めよで、議員定数や歳費の削減。それらを行った後の増税論議でしょうし、またその増税議論にしても、民主党は政権与党なのであって、もはや野党ではない。反対するだけではなく、政策を具体的に提案・実施する立場にある。それなのに、自民党の10%案を参考にしたい! 野党の案を参考にする与党。政権担当能力は、ありやなしや・・・しかも逆進性が指摘されるや、低所得世帯への還付を言い出したものの、還付対象者の線引きが、年収400万円になったり、200万円になったり。

自らの生活、いや生存に直接に影響する政治には、ことのほか厳しい目を向けるフランス人には理解しがたい日本の政治でしょうね。あいた口がふさがらない! ビックリを通り越して、唖然、茫然自失。もしフランスで同じようなことが起きれば、ものすごい参加者のデモ、終わりの見えないストライキ・・・

フランス人がびっくりしたといえば、菅直人氏が首相に就任した際、話題の中で菅首相がいとこ同士で結婚したということを言った時。日本に住むあるフランス人は眼をまん丸に見開いて、いとこ同士で結婚しただって?!

そう、フランスでは、いとこ同士の結婚は禁じられているようです。エマニュエル・トッド(Emmanuel Todd)の『世界の多様性』(La diversité du monde)によると、パリを中心としたフランス北部が含まれる平等主義核家族(la famille nucléaire égalitaire)の社会ではいとこ婚は禁止されているそうです。また、ケルト文化の影響色濃いブルターニュ地方が含まれる絶対核家族(la famille nucléaire absolue)の社会でも、同じくいとこ婚は禁止だとか。

ただし、ウィキペディアによると、フランスでもルイ10世とその最初の王妃マルグリットをはじめ、王室や有力貴族の中にはいとこ婚がそれなりに見られるようですし、1910年代の調査でも、0.97%がいとこ婚だったとか。103組に1組の割合! ちなみに、1931年の東京では4.0%、実に25組に1組がいとこ婚だった!! 

日本では4等身以上離れていれば、直系でない限り血族同士の結婚も認められているので、いとこ婚はOKですが、フランスでは何らかの事情により認められる場合があるものの、レアケースなのかもしれないですね(詳細をご存知の方には、ご教授いただければ幸いです)。菅首相夫妻の話を聞いた時のフランス人の驚いた顔からして、そう思われます。日本に10年以上住んでいるフランス人ですから、ちょっとやそっとのことでは驚かないのですが、あの時のびっくりした顔は忘れられません。

いとこは近い血族なのか、遠いのか。そして、いとこ婚を認める国、認めない国。認められてはいても、実際に多い国、少ない国。またアメリカのように、州ごとに決まりが異なる国。地方分権の表れなのでしょうか・・・いとこ婚一つとっても、世界は広い!

菅首相にはぜひ、いとこ婚ではなく、素晴らしい政策で私たちに話題を提供してほしいものです。ビックリ、そして拍手喝采、となるような政策を! でも、問題は、菅政権にどれだけの余命があるのか・・・

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