ふりかえれば、フランス。

かつて住んでいたフランス。日本とは似ても似つかぬ国ですが、この国を鏡に日本を見ると、あら不思議、いろいろと見えてきます。

風吹けば、コピー商品が減る!?

2010-07-28 21:22:54 | 社会
「風吹けば桶屋が儲かる」・・・思わぬ者同士の因果関係を、こんなふうに言ったりしますよね。なぜ風が吹くと、桶屋が儲かるのか・・・ウィキペディアに簡潔に出ています。起源は、江戸時代の浮世草子の一つだそうです。

1.大風で土ぼこりが立つ
2.ぼこりが目に入って、盲人が増える
3.盲人は三味線を買う(当時、三味線は盲人が弾いた)
4.三味線に使う猫皮が必要になり、ネコが殺される
5.ネコが減ればネズミが増える
6.ネズミは桶を囓る
7.桶の需要が増え桶屋が儲かる

思わぬ経過をたどって、意外なところに影響が出る。意外なようでいて、実はこうしたことは、よくあるのかもしれないですね。何しろ、江戸時代からの長い年月、廃れることなく、言い伝えられてきたのですから。

このことわざに近い状況が、22日のル・モンドに短い記事で出ていました。近いと言っても、本家よりは、短絡的ではあるのですが・・・

1.サブ・プライムローン、リーマン・ショックなどにより景気後退
2.給与カットや失業の増加により、購買力後退
3.商品の動きが悪くなるので、貿易量が減少
4.EU諸国の輸入量ももちろん減少
5.輸入量が減れば、そこに含まれる偽造品・模造品の輸入も減少

ということなんだそうです。「不景気の風が吹けば、コピー商品が減る」、ということなんですね。

一昨年の2008年には、EU圏へのコピー商品の輸入が最多を記録。49,381件の摘発があり、1億7,890万点が押収されたそうですが、それが一転、昨年は、43,500件の摘発で、1億1,800万点の押収に減少したそうです。

この傾向は、税関当局が摘発をさぼったわけではなく、かといって、取り締まり対策が功を奏したわけでもないということを、税関当局が認めているとか。要は、貿易量が減少したため、そこに含まれるコピー商品も減少した、ということだそうです。

減ったとはいえ、1億店以上のコピー商品が入ってきている。主な偽造品は、タバコ、衣料品、ブランド品なのだそうですが、健康被害が危惧される医薬品、歯磨き、食品、玩具、家庭用品も大きな割合を占めているそうで、総数が減ったからといって、安心は禁物だ!

では、コピー商品はどこから来るのか。およそ64%が中国から送られてくるそうです。中国の知的所有権(DPI;les droits de la propriété intellectuelle)侵害の主要国としての地位は安泰だとか。しかし、コピー商品の世界にも「新興国」が登場してきているそうです。玩具の分野でエジプトが、医薬品とコンドームはアラブ首長国連邦が、それぞれコピー商品の輸出を増やしている! 中国から中近東へ。コピー商品の勢力図も東から西へと移動しているのでしょうか。ジャック・アタリ(Jacques Attali)がその著書『21世紀の歴史-未来の人類から見た世界』(Une brève histoire de l’avenir)の中で、世界の中心は常に東から西へと移動している、と語っているのと同じように。

因みに、言わずもがなですが、アメリカ西海岸まで達した世界の中心、1980年代には、ついに太平洋を渡って、日本へ、と世界の多くの人々が思っていたのですが、日本にその気がなく、バブルがはじけるとともに、かつての勢いはどこへやら。日本は、やはり、辺境の国。世界の中心を見つけては、すり寄り、その良好な関係の恩恵に浴することで満足する。ときには、虎の威を借りる。決して、自ら覇道を求めることはしない。それに引き換え、中華の国は、やはり、覇道を求めるのでしょうね。多極化の時代から、中国の世紀へ・・・そう進むのかどうか、今後の推移に注目! ですね。