神経伝達物質について知ろう (2)

ドーパミンの効果を高めるには
　前項では、神経伝達物質について駆け足で書いてきましたが、ここからはほんの少しだけそれらの効果を高める方法について調べてみましょう。
highdy は脳科学者、心理学者、栄養学者でもなければ、医師でも管理栄養士でもありませんので、不足の部分はネットで調べてみてください。

１．自分へのご褒美（ほうび）
　努力を褒められると、ドーパミンが出てヤル気が出るのが脳の仕組みで自分へのご褒美を設定することです。

「報酬への期待を感じて」動くとき、ドーパミンが大量に分泌されます。子供も部下も褒めて育てるのはその理にかなっています。褒めたり褒美が貰えるのは快感で、前項に書いたように脳は欲張りですからさらに快感を得ようと努力を続けます。

　逆に叱られるとアドレナリンが出て、人により二手に分かれます。悔しい頑張ろうタイプとヤル気が失せて逃げてしまうタイプがあります。多くの場合は前者に症状になります。
　
２．夢を持つか否かで
　人生何事も夢を持つか否かで決まります。夢や希望の無い人は成功しません。ここで夢とは大きな目標のことです。目標がなく進む方向が決まらなければ、そのための知識も得ず努力もしません。すなわちヤル気の出しようがありません。

そのためには、常に何か目標を持っておくことが大切です。

３．目標設定と報酬
　目標設定は大きな目標（夢）の下に、実現するための小さな目標を定めます。その小さな目標には車のハンドルのように「遊び」が必要です。
いきなり、４日（16時間）で数学（20ページ）の勉強を終わらせようとするのではなく４時間で５～６ページ、仕事でも３日（24時間）で60個製作でなく４時間で８～12個と幅（遊び）を持たせるのです。それによって小さな達成感を何度も味わうことができ、プレッシャーを感じることなく頑張る意欲が出てきます。

４．適度な有酸素運動
　息が苦しくない程度の有酸素運動は、学習や仕事への意欲を高めるためにとても効果的です。負荷が軽すぎると呼吸が浅く十分な酸素が取り込まれないため、血流もそれほどスムースになりません。
従い、速足の散歩・軽いランニング・水泳・縄とび・エアロバイクなどが適しています。それにより、脳は必要なあらゆる部位に対して活性化を促します。

５．瞑想する
　有酸素運動ができない方には、道具も何もいらないので瞑想が向いています。瞑想は姿勢を正しく行えば、リラックスした服装なら何でも構いません。
心を穏やかにして念じたり、無心になったりすることで、瞑想にはドーパミンを放出する効果があります。禅もヨーガも同様の効果があります。その際には、アリゾナ大学医学部のアンドルー・ワイル教授が提唱した「4−7−8呼吸法」が適しており、いろんな部門で活用されていますが、不眠症の方にも大きな効果があるようです。
Apple 社を創業した亡きスティーブ・ジョブズ氏もインドで仏教に傾倒、帰国後曹洞宗の禅僧である鈴木俊隆導師に禅を学び、そこから瞑想に目覚めて亡くなるまで実践していました。大リーガー野球のイチロー氏も実践しいたと言われています。
数多くの趣味を持ち教えるレベルに近づくとすぐにやめ、新しいものに挑戦する我が紫陽花もヨーガだけは何10年もをやっています。

６．新しいことへの挑戦
　ヒトの脳は新しいことに関して、ワクワク・ドキドキ感で興奮します。多くの方が新しいものに何等かの興味を持つのはそのためです。
新しいことに挑戦すること自体ヤル気のあることですが、それを理解・実践するためには持てる知識をフル回転させます。
老人に限らず若い人もいつまでもも肉体的・精神的に若さを保つためには、常に新しいことへの挑戦が必要です。

創作活動をされる芸術家に認知症が殆どないのは、常に脳が活性化しているためです。ヒトは誰で頭も体も使わないでいれば、老化の一途を辿るだけです。

７．音楽を聴く
　自分が心地よいと感じる音楽を聴くこと｡音楽を聴きながら作業すること。
聴く期待感は、脳の「尾状核」と呼ばれる部分が活性化し、聴いて興奮状態となると、次は「側坐核」という部分が活性化することが判っています。米国マギル大学の研究では、聴く前の期待感だけでも起こることが確認されています。但し、気分の乗らないときに嫌いな音楽を聴いても、ドーパミンの活性化は見られないことも確認しています。
スポーツ選手によく見られるように、有酸素運動との併用は特に効果的で、肉体的・精神的負荷の軽減に役立っています。社内で BGM を流し、生産性を向上している企業は数多くあります。

　余談ですが、音楽を聴くとドーパミン以外にエンドルフィンという物質が出ますが、このエンドルフィンにはモルヒネの６倍もの鎮痛効果があると言われており、病院で BGM を流しているのはこのためです。

この効果は、片頭痛に悩む方にも効果があり、特に痛みには旋律のきれいな曲ほど効果があるそうです。

８．食べ物による効果
　ドーパミンの生成原料となるのは脳を活性化させる食べ物で、必須アミノ酸（牛肉・豚肉・鶏肉・魚介類、魚卵・卵・海苔など）を含む食品とブレイン・フーズの代表的なものに大豆食品（大豆の煮豆、豆腐、納豆、枝豆、おから、きな粉など）があります。
これらには脳の疲労回復に必要なB12（脳のビタミンとも呼ばれる）重要な栄養素ビタミンB群がも含まれます。コリンも必要ですが、上記の食品のリン脂質に踏まれており、バランスよくを摂取していれば問題はありません。
トリプトファンはヒトの健康維持に欠かせない必須アミノ酸の一種で、上記のほかにチーズ（特にパルメザンチーズ）などの乳製品や米など穀類に含まれています。また、タンパク質に含まれるアミノ酸の一種、フェニルアラニンをしっかり摂取すると、音楽と同様に肉体的、精神的な疲れを軽減してくれます。フェニルアラニンはエンドルフィン同様に体の痛みを抑える効果があり、これを摂ることでチロシンの合成量も増加します。
霜降り肉・マグロのトロ・白身魚は美味しいですが、栄養学的には青魚の方が好ましいです。それも赤身やかつお節・煮干しなどはさらに良い食材となります。

　青魚に多い DHA は動脈硬化など血管系の病気（心筋梗塞、狭心症、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など）予防にも効果があり、アルツハイマー型認知症と並んで日本人に多い脳血管性認知症（脳梗塞や脳出血が原因となって発症する）予防にもなります。

オマケのお話

　糖質(炭水化物)＝「太る」の考えは間違いです。
甘い菓子やジュースに含まれる単糖類や二糖類は、消化吸収が速いのが特徴です。従って、スポーツ中のエネルギー補給には適していますが、血糖値が急上昇しやすいのです。血糖値が急上昇すると、それを処理するためのインスリンというホルモンの分泌量が高くなり、糖質(炭水化物)から体脂肪が合成されやすく太りやすいのです。
　ところが、ご飯に含まれるでデンプンは、多糖類なので消化がゆっくりとなされます。すなわち、腹持ちもよく血糖値の上昇が穏やかなので、私たちの身体に負担をかけることなく体脂肪にもなりにくい特徴があります。且つ、塩分やコレステロールを含まれず、ご飯によるダイエットは健康によく、食べ過ぎない限りご飯中心の和食は最適な食事と言えます｡
highdy の体重は70kg前後で限りなくメタボに近いのですが、何10年もご飯は小さな茶碗に１杯のみです。

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