大龍山 洞雲寺
岐阜県加茂郡白川町和泉１１６６ Visit :2006-10-31 13:00
●大龍山 洞雲寺(とううんじ)
宗派：曹洞宗
本尊：聖観世音菩薩
地蔵菩薩
毘沙門天
開基：却菴寂永
中興：梵的和尚
[由緒]――当山史料から編集
嘉吉三年(1443)、将軍足利義勝から寄進を受けた地に、十二年後の康正元年(1455)、却菴寂永により開基された。文明十八年(1486)以降は、本寺開元院(*1)から交互に住持が派遣されていた。慶長九年(1604)、開元院十世佛室梵的和尚が中興開山となり永風(*2)を唱え殿宇を再建し、大龍峯窟を全備した後、西尾丹後守が知行所を当寺に移して以来現在に至っている。
当寺は、もと田代の寺と呼ばれ、現堂宇の裏山頂にあったものを、参詣の便宜を考慮し、昭和三十三年(1958)、現在地に移転改築した
[伝説]――当山史料から編集
昔、神龍が山野に跨り祥雲が恒に湧き出ていた。康正元年(1455)、却庵寂永という一老人がこの山に籠もり、坐禅と経行の行を積み、その老人に一姥子が常に美味しい食事を与えていた。ある日却庵が姥子に「汝は何人であるのか。能く食事を与えてくれ少しも怠らないが材料はどうしているのか」と問うた。すると姥子は「この村の貧人ではありますが、師の大法慕道(*3)を保護するために、永く山林を擁護し、貴僧の為に一所懸命働くことを誓います」と云って一礼して去った。深い谷を見遣ると、姥子は岩間を開拓して耕作に励んでいる姿が見えたので、却庵が近付くと「私は仏法を護るためにこの山に住んでいたが、今はもうその役目が終わったのでお暇します」と云って、前の大沼の中に龍となって入ってしまったとのことである。
後に、この龍が寺宝である大龍絵図となり、雨乞いの龍となって人々に崇められた。
［註］
＊１＝岐阜県瑞浪市日吉町平岩8846 。曹洞宗、鷹巣山。開基：土岐頼元、永享十一年(1433)。開山：月泉、嘉吉三年(1443)。
＊２＝永平寺のしきたりを重んじる意か。
＊３＝この上もなくすぐれた道。仏道。
●明和五年(1768) 第七代水野平蔵矩燵作 喚鐘
[銘文]
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銘曰
□*1圓 體 密
能 寂 夕 □*2
□*3必 應 時
應 而 弗 逾
依 為 範 者
其 唯 斯 乎
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□*4我 師 置 求 之 □*5
生 □*6 疵 □*7再 □*8□*9
旹 明 和 五 龍 次戊 子
仲 春 吉 祥 日
洞 雲 六 世 高 寛 叟 代
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名 古 屋 住
鋳 工 水 野 平 蔵
藤 原 矩 達
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[銘文注]
＊１＝「形」の旁が「久」。
＊２＝判読不明。
＊３＝「癶」の下に「弥」。
＊４＝「茲」の右の「幺」が「卜」。
＊５＝判読不明。
＊６＝判読不明。
＊７＝判読不明。
＊８＝判読不明。
＊９＝判読不明。
☆旅硯青鷺日記
岐阜県加茂郡八百津町の福寿禅寺を辞し、深遠な青さを湛えた木曽川を眼下に観た後、八百津町役場を北上し、登りきった山深い峠にある楪の村落を西に折れ、一車線しかない細い九十九折を今度はひたすら下っていきました。途中行き違う車のないことを願っておりましたところ、幸いにして杞憂に終わりました。坂道を降りきったところが国道４１号線で、飛騨川沿いに北東に進み、白川町に入りました。国道を右折すると直ぐに隧道があり、それを潜り一時間余を掛けて漸く当山に到着しました。山越えで昼食を未だ摂らずにおりましたところ、緊張が解けると急に空腹を覚えましたが、先ずは採訪を優先し門前まで来ると、檀家の葬儀準備が整っていました。そのようなお忙しい中、ご住職は、快く喚鐘の撮影をお許し下さり、史料も頂戴でき、また当寺の由来もお話しいただきました。取材にご協力いただきましてほんとうにありがとうございました。
水野平蔵家系譜 http://blog.goo.ne.jp/heron_goo/e/7551e73084352a9a4d23ed9ccc7f9104
