曲がり角の向こうに・・・

毎日の暮らしの中でフと心に留まった人やもの、そして風景を描きとめています。 

水の流れと人の世は・・・

2018-09-01 | 良い加減介護
「フレディの遺言」 2008年12月に出版されたこの絵本を買い求めたのはいつだったか定かではありませんが、

【この絵本はもしも「認知症」になったら? もし、私がそうなったら、そうしてほしいなと思う言葉が 温かさをもって読む人の心に響きます。 素晴らしい絵本です。 ----  日野原重明 】 との、日野原重明氏の推薦文に引かれて買った記憶があります。

温もりのある絵と共に、易しく分かりやすい表現で静かに語りかけている文は、今や私にとって折に触れて読み返している、まさに介護のバイブルとなっています。 介護に疲れた時、先の見えない介護に気が滅入った時など、尖がった気持ちを収めてくれる、大切な一冊です。 同じ思いを抱えている友人達や数多くの仲間たち、そしてそうした人たちを温かな目で見守り、手を差し伸べて下さる人たちが増えることを願って、今日はその全文を紹介したいと思います。


フレディの遺言(全文)

私がまさかボケることはないと思われるかもしれませんが、先のことは私にもわかりません。
万一のときのために、家族や、私の介護にあたってくださる方へ、
次のようなことを今からお願いしておきたいと思います。

私が医者だったことを、まず忘れてください。  
私は過去とは別の人間になってしまったのです。   
「しっかりして!」と大きな声で怒鳴られても、ただ怖ろしいのでおびえるだけです。

ですから、私に何か言いたいことがあれば、笑顔で優しく、簡単に話してくださいね。

きっと私は変なことを言うと思います。 
例えば「蛇がいる」といったら、「じゃぁ、追い払いましょうね」と 
私の要求をまず受け入れてください。

「ごはん、まだか」と言ったら  「お腹が空いたのね」と 
優しくクッキー1枚くれれば満足です。

それから私は何をやっても すぐ忘れる病気の人だと思ってください。
もちろん、目の前の人が 誰なのかもわかりません。

ただ、あなたが私の目をしっかりと見て、優しい声で話しかけてくれたら、
きっとあなたが大好きになります。
ほかの人が言うことを嫌がっても、あなたなら聞こうとします。 笑顔が好きだからです。

私の頭の中はモヤーッとしています。 だから、とても不安でいっぱいなのです。
夜は正直、何かが出てきそうで、とても怖いのです。

そのために、騒ぐときがあるかもしれません。
そんなときでもしからないで、優しく肩を抱いてください。

私の心が寂しいとき、私が若いころに大好きだった曲を聞かせてください。 
どんなに知性が破壊されていても、その分、感性だけは豊かなのですから。
   
私は、こうしたことを ごく自然にしてくれる 心優しい人に囲まれて、
余生を過ごしたいと願っています。
   
          ★   ★   ★   ★   ★   ★   ★   ★   ★


          

コメント (6)