言の葉

気の赴くままに、ひたすら詩を綴っています。

文を折る

2018年03月16日 | Weblog

たとえば 届かぬ 木の葉

笑い声の響く庭先で香る花
手折らないでと泣く子ども
「お部屋に飾らなくていいの?」
「だって折ったら可哀想だよ」
性善説を信じられる ひととき

たとえば 返らぬ 文使い

海辺に戯れる鴎 山に鳴く鴉
どちらも同じ鳥に違いないのに
愛でられ 蔑まれ 不思議な存在
「命に変わりはないのにね」
呟く子どもは相も変わらない

いつか大きくなったときにも
どうか木々を見あげて笑ってね
どうか鴎も鴉も撫でてあげてね

そうしたら きっと一時だけでなく
私は性善説を信じ 嘆くでしょう