言の葉

気の赴くままに、ひたすら詩を綴っています。

あなたの知らない今日があります

2023年10月06日 | Weblog
月が綺麗な夜は 何かに引き寄せられるように
ここではない場所に行ってみたくなるね

でも、私はここにいます
いつも 多分ずっと

あなたの知らない今日があります
私も知らない明日があります

その先のことなんて誰も知りません


boat adrift

2023年09月19日 | Weblog
揺蕩う時の流れの中で
あの頃は何を描いていたかしら

ただ命の終わりを見つめて

思い出すのは辛いことばかりで
いっそ閉じ込めてしまいたい

目を伏せたら何も見えない
眠れば考えずに済むから幸せ

昨日も明日も何処かへ漂っていくよ


なにいろ

2023年09月14日 | Weblog
海が赤く染まった日には
まるで別世界にいるみたい

遠くへ行けるかな
明日は晴れるかな

まるで生きた心地がしない


上昇気流

2021年01月17日 | Weblog

星には ならなかった
無数の火の玉になって
空に昇って
吸い込まれるように 消えた

もう戻ることはないけれど
せめて あの日の風を
忘れないように
今日は窓を開けて過ごそう



壁龕

2020年08月15日 | Weblog

遠くから聞こえる赤子の声を
一部だけ抜粋したような泣き声

あなたとともに生きていくのだと
あの時までは 思っていました

信じるというほど 強くはなく
ただ漠然と そう思っていました

壁龕にいつしか塵が集うように
心の奥に滔々とかなしみは募る



quandary

2020年08月07日 | Weblog

考えて 答えが出るようなことなら
いくらだって考えるんだろうけどね

にっちもさっちもいかない 八方塞がり
途方に暮れて ただ空を見あげる

そんなことしたって解決しない
無駄だって分かってるけど
ただ 空を 見あげる

明日は良いほうへ向かうなんて
今の私には とても思えないよ



風知草

2020年07月08日 | Weblog

漠然とした不安を抱いて毎朝を迎える

あと どのくらい?
何度も繰り返した疑問が
この胸から消えることは ない

そよそよと風に吹かれて
不意に覗き見える 内側こそ
美しく つよく ありたい

漠然とした不安を抱いて毎夜を眠る


つみ木

2020年06月27日 | Weblog

ひとつひとつ積み上げたもの
いっきに壊される 悲しみ

砂の城よりは丈夫だけれど
何とも果敢なく脆いものね

壊したのは誰?と責めるより
涙を堪えて一片を拾う
その横顔が印象的でした



Last Letter

2020年06月21日 | Weblog

「今夜は幸せの中で眠ります」

久しぶりに見た夢は淡く
起きた瞬間に溶けてった

あれは何の色をしていたかしら
今となっては思い出せない

まるで紗幕に覆われたように
心に在る何もかもが 遠い

せめて感謝を伝えられたら
忘れても安らげるのだけれど



アーニャ

2020年06月19日 | Weblog

いつも笑いながら
彼女は泣いていた

悲しい時ほど優しく
辛い時ほど努めて明るく
細い指をぎゅっと握り締めて

僕以外の人が気付く日が来るようにと祈りながら
せめてもの慰みにと木陰に風を吹かせたよ

いつも叫びながら
彼女は偲んでいた