言の葉

気の赴くままに、ひたすら詩を綴っています。

足音

2006年05月13日 | Weblog
幼い頃から 僕は 酷く足音に敏感だ
母親が家に近付いてくると玄関まで走り
父親が夜中に起き出すと寝返りを打ち
誰かが訪れてくると 緊張して耳を澄ました

僕は臆病すぎるほどに怖がりだったから
足音が聞こえるたびに耳を塞ぎたかった
けれど足音の主が分かるまでは 決して
張った気を緩めることなど出来なかった

それは今でも変わることなんてできなくて
僕は足音が聞こえるたびに恐怖の狭間で揺れる
いっそ耳を塞いでしまいたいのに 叶わず
一歩 一歩 近付いてくる影に 怯えるのだ