難聴者の生活

難聴者の日々の生活から、人工内耳など難聴者のコミュニケーション、聴覚障害者の制度改革について語る。

障害者の権利条約、国連で採択に。

2006年12月13日 19時03分20秒 | みたびニューヨークで
JDF経由で、国連広報センターからのプレスリリースが届いた。

ラビット 記
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United Nation Information Centre, Tokyo
UNIC
国際連合広報センター
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(広報資料)
プレスリリース06/087-J

2006年12月13日

障害者の権利に関する画期的な条約、12月13日に採択へ

全世界の障害者およそ6億5,000万人の権利を保障する条約案は12月13日、国連総会に提出、採択される運びとなりました。

この条約の採択により、21世紀初の重要な人権条約が成立します。総会での採択後、条約は192の加盟国による批准と実施に委ねられることになります。条約は20カ国が批准した時点で発効します。

4年にわたる総会委員会での交渉の末、各国は8月25日、この画期的な条約案に合意しました。コフィー・アナン国連事務総長は「全世界で障害を抱える6億5,000万の人々にとって、歴史的な成果」だとして、条約案への合意を歓迎しました。

人権活動家は、この条約によってついに、各国が障害を持つ人々を社会の片隅に追いやることができなくなると期待しています。条約を批准する政府には、明確に定められた権利を有する法の対象として、障害を持つ人々を取り扱う法的な義務が生じます。

50カ条からなる条約案は、国際人権法の空白を埋めるものとして、障害を持つ人々の権利を詳しく規定しています。具体的には、市民的・政治的権利、アクセスの確保、参加と受け入れ、教育を受ける権利、保健の権利、労働の権利、雇用の権利、社会保障などが盛り込まれています。さらに重要な点として、条約案は、障害を持つ人々が平等な地位を手に入れるためには、社会の態度を変えることが必要だとの認識を示しています。条約の案文は http://www.un.org/esa/socdev/enable/でご覧になれます。

この新条約の支持者たちは、障害を持つ人々が建前としては健常者と同じ権利を与えられていながら、雇用、教育、保健医療、法律上の権利行使など、本質的に生活のあらゆる側面で差別を受けているのが実情だとしています。にもかかわらず、障害者は社会で数限りない貢献を果たしています。コミュニティに完全に溶け込めれば、さらに大きな貢献が可能となることでしょう。

条約案の作成には、全世界の障害者の権利擁護者が重要な役割を果たしました。その中には政府代表団のほか、各国の人権機関や障害者団体の代表も含まれています。

条約は各国が負担できない措置を義務づけるものではありませんが、障害を持つ人々の交通手段、教育、雇用、余暇活動へのアクセスを改善できる措置の導入に向け、段階的な取り組みを続けることは要求しています。

条約を批准する国々は、障害者の権利を改善するための法律を制定したり、その他の措置を導入したりすることだけでなく、障害を持つ人々を差別する立法措置や慣行、慣習を廃止することにも同意します。現在のところ、障害者の問題に取り組む立法措置を導入している国々は、45カ国にすぎません。条約は3月30日から署名、批准できるようになります。

総会はこの条約に加えて、通報に関する18カ条の選択議定書も採択する予定です。この議定書により、個人や団体は国内的な救済手段が尽くされた場合、障害者の権利委員会(Committee on the Rights of Persons with
Disabilities)に申し立てを行えるようになります。

独立の専門家からなるこの委員会は、条約発効後に設置され、条約義務の履行に関する進捗状況の定期的な報告を締約国から受けることになります。

さらに詳しくは、国連広報局(Department of Public Information)のEdoardo
Bellando(電話:(212) 963-8275、Eメール:bellando@un.org )またはDaniel
Shepard(電話:(212) 963 9495、Eメール:shepard@un.org )までお問い合わせください。

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〒150-0001
東京都渋谷区神宮前5-53-70
UNハウス8階
Tel: 03-5467-4451
Fax:: 03-5467-4455
UNIC Tokyo Homepage: http://www.unic.or.jp/(日本語)
United Nations Homepage: http://www.un.org/







会社のコミュニケーション(4)

2006年12月12日 21時34分56秒 | PHSから
061002_0840~001.jpg隣の課長からショックなことを聞いた。管轄している課でリーダーが担当派遣社員を酷い言葉で叱っているというのだ。「○○○を●●●るの!」「××が◎◎するの!」
彼女は他の人より一番近くの席で1.5m先にある。そこでそんな言葉を毎日投げつけられていたとは。だから後から入った人が一日か二日で辞めてしまったのだ。
管理職の私が一番近くにいても気がつかず、たまりかねて隣の課長が教えてくれたというわけだ。

リーダーにすぐ注意したが、担当社員にはお詫びをした。巷でいじめや自殺が社会問題になっていたが何のことはない、目の前でいじめが行われていたのだ。
これは聞こえないから分からなかったでは済まされない。違和感を感じたらすぐにも話をしなくてはならない。聞こえないからとコミュニケーションを躊躇していたら大変な問題になると感じた。

この時、通訳をどうするか?

ラビット 記



民放連が権利保障に理解

2006年12月11日 18時06分22秒 | PHSから
061211_1406~002.jpg総務省の会議に民放連字幕放送研究部会早河部会長が民放の字幕放送、解説放送、手話放送の報告があった。
その冒頭に障害者の権利保障を求めていることは理解していること、国際権利条約で情報アクセスを求める内容であることは承知していると発言された。

これは重要なことだ。

ラビット 記



会社のコミュニケーション(3)

2006年12月10日 11時28分31秒 | 就労
061208_1537~001.jpg埼玉県に業務打ち合わせのために出張した。今もって、要約筆記を依頼しなかったのは大失敗だった。狭い会議室で、離れて座って話をするので、声は反響するし、相手が話している時に、同行した方がしきりとそうですね、なるほどとかあいづちをうつので、声がだぶってしまうし、何を話しているのか全くチンプンカンプンだった。
こちらが聞きたいことを説明して、後は作業している現場で見ながら聞くことにしますと言って、そうそうにギブアップした。

通常の勤務先の会議には、前もって要約筆記の派遣を依頼しているが、今回は県外で、派遣依頼先が分からず依頼しなかった。
しかし、通常の派遣元に依頼すれば派遣元がどこで派遣しているのか埼玉県に電話したりして調べて派遣をつないくれる。
多分、会社と派遣元で銀行口座を作っているので派遣料金の支払いも受けてくれるかもしれない。一回限りの派遣のために口座を設置してとなると時間がかかってしまうからだ。

新しい制度化の要約筆記「者」の広域派遣の仕組みがまだ出来ていないが、早急にネットワーク化を図る必要がある。

ラビット 記






視聴覚障害者放送バリアフリーシンポジウム

2006年12月09日 22時39分55秒 | バリアフリー
061209_1330~001.jpg061209_1152~001.jpg12月9日、障害者週間の最中に「視覚・聴覚に障害のある人のための放送バリアフリーシンポジウム2006inTOKYO」が東京は神田の学士会館で開かれた。

アメリカから全米視覚障害者団体のメラニー・ブルンゾンさんが参加され、字幕放送、解説放送の現状を伺った
Mis.Melanie Brunson, Executive Director of the American Council of the Blind

アメリカ政府教育省の予算削減で字幕放送が削減されたり、放送事業者から数百による字幕放送免除の申請が出ているとか、連邦通信委員会による放送局に対する解説放送の規制が放送局の訴えによる裁判で覆されたというショッキングなことを聞いた。

総務省も、「研究会は何かを決めるものではない、協議してことを報告書にまとめるだけ」とか、NHKも、何故解説放送、手話放送が増えないのか本当の理由は言わなかった。

我が国も山あり谷ありかもしれない。

ラビット 記
左の写真の左がメラニー・ブルンゾンさん、右は通訳の田端さん



会社の中のコミュニケーション(2)

2006年12月08日 03時05分35秒 | 就労
言おうかどうしようか迷っている時に相手が一度言っただけでは聞こえない場合は、普通は話そうとしないだろう。
しかし、職場では皆が私の席やあるいは横に立って、大きい声であれこれ何度も繰り返し言ってくれる。私は頼まれた仕事なら自分のやりかけの仕事があってもすぐやってあげ、報告だったら業務報告書にまとめてすぐ回付する、苦情だったら確認の電話やメールをするようにしている。
中々話が通じないが分かればすぐアクションを起こしてくれると分かってくれるとちょっと苦労しても話をしてくれるようになって来た。

ラビット 記


会社の中のコミュニケーション(1)

2006年12月08日 03時03分25秒 | 就労
061122_1547~001.jpg会社の中のコミュニケーションはいろいろ大変だ。

この1週間くらい、電話にでても何を言っているのか聞き取れずに、側にいる人に変わってもらったりしていた。相手の声が割れてしまって、ガーガー聞こえるだけで何を言っているのか分からなかったのだ。
業務上のことで、こちらと相手がやり合っている際に、相手が何回も言ったのに分からなくて電話を代わってもらったことがこちらの「敗北」になってしまったようなのは悔しい。
上司が代わってくれたのだが、問題の対応が先方の立場になって、そうだそうだなという返事を聞いて、がっかりしてしまった。聞こえていれば筋を通すことが出来たのに。

何で、急に聞こえなくなったのか、補聴器が詰まっているのかと思って叩いてみたりした。すると、何か詰まっているのが取れたのか、少し聞こえるようになるのでそう思っていた。
今日も、電話が相手の電話が音質の悪い携帯電話のように聞こえなかった。近くの女性に代わってもらったが聞こえないと言う。自席の電話だと聞こえるというので、電話の拡声器のバッテリーの寿命だと気がついた。近くのコンビニで買って来た乾電池を入れ替えると聞こえるようになった。
みんなに、聞こえなかった事情を説明するメールを送った。聞こえていたものが聞こえなくなると単に業務が出来ないだけではなく、人間関係で不信感を持たれるようになってしまうのが怖い。

ラビット 記






日本障害フォーラムセミナー締め切り迫る

2006年12月07日 00時03分16秒 | 福祉サービス
JDFセミナーの締め切りが迫って来た。
各団体とも、最後のPRに力を入れている。
日本政府の議論をリードした外務省の鈴木誉理子首席事務官と日本代表団顧問の東弁護士等がその意義を話す。国連障害者の権利条約の総会での採択が12月13日にも予定されており、その直前のセミナーに大きな意味がある。

ラビット 記
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日本障害フォーラム(JDF)セミナー
障害者権利条約−新しい権利の時代に向かって

13の障害者団体・関係団体で構成される「日本障害フォーラム(JDF)」は、設立3周年を迎えました。
JDFでは、その設立準備期以来、国連・障害者権利条約の成立に向けた活動を行ってきましたが、去る8月に国連・特別委員会で条約草案が暫定合意され、早ければ年内にも、国連総会にて権利条約が成立する見込みです。
本セミナーでは、これまでの活動の総括と、条約草案の評価、また今後のわが国における批准と履行に向けての課題や展望について、幅広い参加者を得て、共に議論していきます。

日時:2006年12月8日(金)10:00〜15:30
場所:中野サンプラザ 13階「コスモルーム」(東京都中野区中野4−1−1)
参加費:1,000円(資料代)(介助者は無料)
プログラム(敬称略)
10:00 開会挨拶 小川 榮一(JDF代表)
●基調報告 「JDFの活動について」
  松友 了(JDF幹事会議長代理)
10:20
●基調講演 「障害者権利条約の成立にあたって」
(1)鈴木 誉里子(外務省総合外交政策局人権人道課首席事務官)
(2)東 俊裕 (国連特別委員会政府代表団メンバー/JDF)
11:00 
●セミナー1「障害者権利条約 その評価と到達点」
 コーディネータ 藤井 克徳(JDF幹事会議長)
 パネリスト 高梨 憲司(社会福祉法人愛光専務理事/
      元・千葉県「障害者差別をなくすための研究会」副座長)
       喜多 明人(早稲田大学文学学術院教授)
       三宅 祐子(福祉新聞 記者)
       金 政玉 (JDF障害者権利条約推進委員会委員長)
   指定発言あり
12:30 昼休み
13:30 ご挨拶 小野寺 五典(国連障害者の権利条約推進議員連盟事務局長/衆議院議員)
●セミナー2「障害者雇用の現状と課題」
 コーディネータ 松井 亮輔(JDFアジア太平洋障害者の十年推進委員会委員長)
 パネリスト 末永 太 (日本労働組合総連合会(連合)雇用法制対策局部長)
       中井 志郎(株式会社かんでんエルハート代表取締役)
       浜島 秀夫(厚生労働省職業安定局障害者雇用対策課調査官)
       指田 忠司(日本盲人会連合国際委員会事務局長)
指定発言 精神障害当事者 叶 義文 
(全国社会就労センター協議会調査・研究・研修委員会副委員長)
15:30 閉会
 申込方法・問合せ先
 
申込用紙に必要事項をご記入の上、12月7日までにFAX、Eメール、または電話にて以下の連絡先までお申込ください。(先着順・参加証などは特にお送りいたしません)
参加費は、当日に受付にてお支払いください。

JDF事務局(日本障害者リハビリテーション協会内) 原田、松田
電話:03-5292-7628   Fax:03-5292-7630 
E-mail: jdf_info@list.jsrpd.jp
http://www.normanet.ne.jp/~jdf/1208/



要約筆記に関するご質問

2006年12月06日 01時06分13秒 | 要約筆記事業
061128_0851~001.jpgラビットさん

ず~っと気になっていたのですが、要約筆記通訳して貰うのに「要約筆記は記録ではない」の意味は、どういうものなのでしょう?
書いて貰っても書けば記録として残るものですが、当地では当たり前の事だと言われていますよ。
何故?記録ではないのか?聞きたいのです。

お答えしますね。
要約筆記は記録ではないのは3つの理由からです。
(1)要約筆記はその場の情報保障として書くので、書き残ったものだけを再利用されては責任がもてないのです。

(2)要約筆記は意味を伝えるために書くのであって、話された言葉をそのまま書くのではないので記録になりえません。
ノートテイクでは利用者が話したことは書きません。

(3)話したことが文字になって本人も要約筆記者も知らないところで出回るのでは誰も要約筆記を認めなくなってしまいます。
特に書いたものが利用者が「記録」として見ることはもちろん、外部に流出させることは避けなければなりません。
記録が必要なら要約筆記以外に作成すべきです。
一般社会でも議事録や記録は必要なら然るべき人が然るべき方法で作成しています。

以上は、市町村の事業であろうとボランティアであろうと、要約筆記「者」なら理解しておかねばならないことです。

ラビット 



難聴者の聞こえない社会の音~車内放送って

2006年12月05日 22時42分41秒 | 生活
061205_2236~001.jpg電車の車内放送は何を言っているのか、補聴器では聞きにくいので頭から聞かない(これが本当の「聞く耳を持たない」)。
事故や遅延の時は文字とか何か見て分かる情報を探して不安を解消しようとするが、普段でも次の停車駅は車窓の外や駅名を見ることにして、放送を聞くという意識がそもそもない。
しかし、知人からのメールではいろいろな放送がされているらしい。
これが文字でひっきりなしに表示されたら正直「ウザイ」。
視覚障害者には音声による情報が必要だがこれではうるさいのでは。

車内と言えば車内広告も大学や化粧品、食品など車両全部が同じ広告の時がある。前は広島のお好み焼き用の「お○ふくソース」だった。よだれが出て困った。

ラビット 記
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毎日有楽町まで電車で通ってます。
ところで電車って車内放送が結構あるんだね。
私は有楽町まで各駅停車に乗るんですが、遅延のときは各駅ごとに「遅延理由(○駅で事故があった、等)」とか、ちょっと駅じゃない所で止まるたびに、「前の電車がホームにいるので、それが出発次第、発車します」とか。
空調を入れるときも、「車内の湿度50%、温度22度になりましたので、空調を入れます」って。
京浜東北線はほんの数分で次の駅に着くから、新しい乗客のために、また「只今~~なので空調を入れております」って。
こりゃ聞こえない人には、何が新しい情報で、何が繰り返しの放送なのか、気になるわ。
私には、寝てる人のイビキまで聞こえるけど。





要約筆記関係の研修等相次ぐ

2006年12月05日 09時40分04秒 | 要約筆記事業
061103_1602~001.jpgこのところ、要約筆記関連の研修などが相次いでいる。
11月初めには、現時点での要約筆記の重要なポイントを学ぶ全要研の要約筆記指導者養成講座が名古屋で開催され、260が参加した。(写真)
11月25日26日は横浜市で全国要約筆記問題討論集会が開催された。

12月2日、3日は通訳課程のカリキュラムに基づく要約筆記指導者養成講座の一回目が開催された。

それぞれ、開催の趣旨も募集の方法が異なり、対象者も異なっている。

コミュニケーション支援事業で要約筆記者派遣事業が実施されることになり、これまでボランティアに担われていた要約筆記が明確に市町村の派遣になることから、要約筆記の専門性の確立が求められていることが感じられて来たのだろう。
ラビット 記



ホテルの火災警報

2006年12月03日 23時32分56秒 | 生活
061202_0642~001.jpg061201_2152~002.jpg新宿の高層ホテルに泊まる機会があったが、聞こえない人に対する対応は出来ていないがこれはホテルばかりを責められない。
運動団体がホテル業界に対応を申し入れるなどの働きかけが必要だ。

今日3日の日経新聞に、総務省消防庁がホテルや旅館の宿泊客に館内の火災の発生を知らせる携帯電話のメールで知らせる警報システムを開発したとある。

警報ベルや非常放送が聞きにくい聴覚障害者や耳の遠い高齢者に使ってもらうことを期待しているとのことだ。

館内にいて電波が届き、起きている時間などには有効かもしれない。寝ている時は携帯電話を抱いて寝ていないといけない。
消防庁が全国のホテルや旅館にこのシステムの採用を働きかける際には、聴覚障害者耳の遠い高齢者には、さらに光で知らせる警報器や強い振動で伝える枕とかの併用も働きかけてほしい。
部屋のテレビが強制的にスイッチが入り文字で知らせるシステムも外国人も含めて有効かも知れない。
ここまできたら、字幕放送が見られる地上波デジタル対応テレビに置き換えて欲しい。

ラビット 記

写真は小田急サザンタワーホテルの早朝の窓からと向かいの高島屋のイルミネーション