難聴者の生活

難聴者の日々の生活から、人工内耳など難聴者のコミュニケーション、聴覚障害者の制度改革について語る。

「障害」の定義 差別禁止部会の意見

2012年07月31日 03時00分41秒 | 障がい者制度改革
第3、障害の定義
1、議論の背景
「障害」の捉え方、特に障害者が負う社会的不利の原因を巡っては、従来から医学モデルと社会モデルという考え方があるとされている。
そのような中で、障害者権利条約の前文では「 障害は発展する概念であり、機能障害をもつ人と他の者との平等を基礎として社会に完全にかつ効果的に参加することを妨げる態度や環境の障壁との相互作用に起因するものであることを認め(部会長訳)」るとされ、障害が機能障害(インペアメント)と社会的障壁の相互作用から生まれるという考え方が示された。

ただ、かかる視点を踏まえて平成23年に改正された障害者基本法(昭和45年法律第84号)は第2条において 「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む )その他の心身の機能の障害」を障害とした上で、障害者を、これらの障害がある者であって 「障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるもの」と定義された。

したがって、この定義では「障害」そのものではなく 「障害者」の定義の中 、に社会的障壁が位置付けられることになった。

2、本法における障害の定義に求められるもの障害についてはかように「障害」の定義の中で社会的障壁を考慮するやり方 、と「障害者」の定義の中で社会的障壁を考慮するやり方があるが、本法においては本法の目的や趣旨から「障害」を定義する必要がある。
まず、本法は 人種や性別などのあらゆる事由を含む包括的な差別禁止法ではなく、障害を理由とする差別に特化した法律であるがゆえに「障害」とは何かを明らかにする必要がある。

もちろん、一言で「障害」と言っても実際の在り方は多様であり、また、医学の進歩や技術の革新等により変容し得る概念であるため、法律上の定義としてはある程度曖昧な内容を含むものとならざるを得ない側面もある。
しかしながら、本法は、様々な場面において国、地方自治体及びこれに従事する公務員のほか、民間事業者、私人も含めた社会の行為規範(人々が行為する際の判断基準)として機能することが求められるため、本法の基本的な概念である「障害」の意味については、誰しもが観念し得る一定の明確性が確保される必要がある。

そういった観点に立つと「障害」の中に社会的障壁を盛り込む障害者権利条約上の「障害」の考え方より、機能障害(インペアメント)に限定する障害者基本法上の「障害」の考え方の方が「障害」の内容を分かり易くより明確なものとして提示できると思われる。

また、憲法や諸外国の立法例を見ても、差別が禁止される事由は、性や人種等に見られるように、個人に関係した属性であり、それらの事由により差別されないとされている したがって 本法においても個人の属性といった観点から 障害」が定義されることが求められる。
このことは、個人の属性に社会的不利の原因を求めるものではなく、差別という社会的障壁の発生の契機となる事由を特定するに過ぎないものであるがゆえに、社会モデルの考え方と相反するものではない。

そうした点に鑑みると、本法においても障害者基本法と同様に心身の機能の障害(インペアメント)を「障害」と定義することが妥当である。

第1回障害者政策委員会 差別禁止部会 資料6
「障害を理由とする差別の禁止に関する法律の制定等」に関する差別禁止部会の意見
(部会三役の原案1 )
http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/seisaku_iinkai/b_1/pdf/s6.pdf

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