難聴者の生活

難聴者の日々の生活から、人工内耳など難聴者のコミュニケーション、聴覚障害者の制度改革について語る。

今の人工内耳の適用の考え方(1)

2008年09月04日 08時35分40秒 | 人工内耳
080903-125135.jpg人工内耳の手術を受けることに悩んでいることの相談を受けた。

成人の場合について、考えてみたい。
一つは、医学的な適用基準について。
耳鼻咽喉科学会の基準がある。90dB以上の聴力レベルであることと補聴器の効果がないことが基準になっている。

このうち、補聴器の「効果」をどう見るかについては、その人のQOLによる。つまり、その人がどれだけ生活や仕事の中で音声コミュニケーションを必要としているかだ。社会的な関わりの多い人は音声コミュニケーションを必要としているだろうし、育児をする女性も音声コミュニケーションが重要だ。
音声コミュニケーションが重要ということはそれ以外のコミュニケーションが出来ないということではないし、不要ということでもない。
読話や手話が出来るならば、それは相乗効果を発揮する。難聴児(人工内耳を付けた子供を含む)の教育現場では、聴覚、手話、文字支援を皆活用している。

補聴器の性能は非常に高くなっているので、重度難聴者にもフィットする補聴器の選択肢も広がっている。一方で、補聴器の限界もある。感音性難聴の場合には補聴器では限界がある。なぜなら聴覚細胞や内耳などという感覚機能の障害だからだ。脳で「聴く」以上、それをクリアする手段として人工内耳を考える必要があるだろう。

補聴器の「効果」があるかないかを判断するのは医者ではなく、本人だ。本人が適切な補聴器を装用しても、聞こえに限界を感じたら、人工内耳を視野に入れるべきだ。

しかしながら、躊躇させられることもある。
それは、人工内耳の手術に至るまで、あるいは装用し始めてからの体制の問題だ。
(続く)


ラビット 記




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