「2月8日の総合福祉部会における「厚生労働省案」への意見と質問」(総合福祉部会 部会長 佐藤久夫)についての基本的考え方
平成24年2月17日厚生労働省障害保健福祉部
<A.「障害の範囲」について>
(1) 骨格提言の趣旨に沿って、谷間を生まないために包括的な規定とするべきだと考えるが、新法案においては包括的規定となるのか、それとも例示列挙するのか。
(2)骨格提言の趣旨に沿って、難病を始め、あらゆる障害者が新法案に基づくサービスを受けられるようにするべきだと考えるが、新法案においてこの点は明記されるのか。
○ 制度の谷間のない支援として、障害者の定義に新たに難病を位置付け、障害福祉サービスの対象とすることとしているが、対象となる者の範囲については、政令で定めることとしており、厚生科学審議会難病対策委員会での議論を踏まえ、施行までに検討することとしている。
<B.「選択と決定」について>
(1) 現行の障害程度区分を改良するのではなく、骨格提言の趣旨に沿って障害程度区分を使わずに個々人の必要に応じた支給決定が行われるべきだと考えるが、新法案においてこの点は明記されるのか。
(2)24年度予算案で現行の障害程度区分に関する調査・検証の経費を計上しているが、これにより骨格提言が提案する、ガイドラインをベースとした協議調整による支給決定の試行事業を実施するのか。
○ 支給決定については、国民の理解が得られるよう、制度として客観性・公平性が保たれ、安定的な運営が可能であることを確保することが必要と考えている。
○ このような客観性・公平性に係る要請を踏まえれば、まずは障害程度区分に係る課題の整理から具体的に議論していくことが必要であると考えている。平成24年度予算案に障害程度区分に関する調査・検証のための経費として1億円を計上しており、その後、法の施行後5年を目途として、障害程度区分を含めた支給決定の手続の在り方について検討を行い、必要な措置を講ずることとする規定を設けることとしている。
○ 平成24年度予算案に計上した経費は、年間約20万件の認定調査の内容についての詳細な分析や認定調査と提供されているサービスの内容の関連性等の分析等を行うことにより、障害程度区分を含めた支給決定の手続の在り方について検討を行っていくための基礎資料を得るためのものである。
<C.「支援体系」について(1)>
(1) 福祉的就労の場で働く障害者の多くに労働法が適用されていない現状を改善するため、骨格提言では、多様な働き方についての試行事業を実施した上で、新たな就労支援の仕組みを検討するとしている。また平成22年6月29日の閣議決定では、福祉的就労への労働法規の適用等につき推進会議や総合福祉部会での議論を踏まえ検討し、平成23年内に結論を得るとしている。新法案において上記試行事業の実施と閣議決定の内容は明言されるのか。
(2)骨格提言の趣旨に沿って、利用者の主導により利用者の信任を得た特定の者が、包括的・継続的に利用者の生活と一体的に支援を提供するパーソナル・アシスタンス制度を、対象者を障害種別で限定せずに創設するべきだと考えるが、新法案においてこの点は明記されるのか。
(3) 骨格提言の趣旨に沿って、移動支援を行動援護・同行支援とともに個別給付化すべきだと考えるが、新法案においてこの点は明記されるのか。
(4) 骨格提言の趣旨に沿って、コミュニケーション支援及び通訳・介助支援を位置付けるべきだと考えるが、新法案においてこの点は明記されるのか。
○ サービス体系の在り方については、
・ 旧体系から自立支援法の体系への移行が完全施行されるのが今年4月であること
・ 「障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて障害保健福祉施策を見直すまでの間において障害者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に関する法律」(以下「22年改正法」という。)による相談支援の充実や障害児支援の強化が今年4月から施行されること
・ 障害者虐待防止法が今年10月から施行されることを踏まえ、現場の混乱にも配慮しつつ、サービス提供実態に係るデータや課題を整理した上で、引き続き検討することとしている。
○ このため、法の施行後5年を目途に、常時介護を要する者に対する支援、障害者の移動の支援、障害者の就労の支援その他障害福祉サービスの在り方等について検討を行い、必要な措置を講ずることとする規定を設けることとしている。
○ 障害者のコミュニケーション支援に関しては、地域生活支援事業における市町村の必須事業として、新たにコミュニケーション支援を行う手話通訳等を行う者を養成する事業を追加することとしている。
<D.「地域移行」と「地域資源整備」について>
これまでも地域移行は前進しているが、新たな入院・入所者が後を絶たないため結果的にその人数が減少していないという現状を抜本的に見直すため、骨格提言の趣旨に沿って、地域移行と地域基盤整備10カ年計画を法定化するべきだと考えるが、新法案においてこの点は明記されるのか。
○ 障害者基本法の改正を踏まえ、日常生活、社会生活の支援が、可能な限り身近な場所において受けられること、共生社会を実現すること、社会的障壁を除去することに資するものとなるように、法律の理念を新たに掲げるとともに、これに伴い目的を改めることとしている。○ 地域移行の推進の在り方については、22年改正法により今年4月から個別給付化される地域移行支援・地域定着支援の実施状況等を踏まえつつ、引き続き検討してまいりたい。
○ また、地域生活の基盤整備については、
・ 国が基本指針を定め、地域生活への移行、一般就労への移行等の障害者施策を円滑に進めるための一定の目標を設定し、
・ 地方公共団体は国の基本指針に即して障害福祉計画を策定し、福祉施設入所者・入院中の精神障害者の地域生活への移行、福祉施設から一般就労への移行等に係る具体的な数値目標に基づき、グループホーム・ケアホーム等の障害福祉サービスの必要見込量を定めて、計画的に整備している。
○ 現行の仕組みをさらに実効性のあるものとする観点から、障害者の数などの客観的な指標に限らず、地域の潜在的なニーズを把握した上で障害福祉計画を定めるよう努めることを新たに規定することとしており、こうした障害福祉計画の状況も踏まえながら、引き続き検討してまいりたい。
<E.「利用者負担」について>
「つなぎ法」もなお「1割を上限に家計の負担能力に応じて負担する」仕組みであり、課税世帯の厳しい負担、自立支援医療問題など未解決である。収入認定の対象を障害者は本人のみ、未成年者は世帯主のみにし、負担能力を定義すべきだと考えるが、新法案においてこの点は明記されるのか。
○ 平成22年4月から低所得の障害者等の利用者負担を無料として、実質的に応能負担としている。また、22年改正法において、応能負担であることを法律上も明確化したほか、障害福祉サービス等と補装具の利用者負担を合算し、負担を軽減する仕組みを導入した。○ 利用者負担を原則無償とすることや、収入の認定に際して配偶者等の収入を考慮に入れないことについては、財源の確保状況や医療や介護など他の制度との整合性・公平性も踏まえた国民的な議論が必要であることから、引き続き検討してまいりたい。
<F.「報酬支払い方式」について>
骨格提言の報酬支払い方式は、施設系と在宅系に区分けし、前者はいわゆる月額払い方式と日額払い方式の併用に、後者は時間割としているが、新法案においてこの点は明記されるのか。
○ 日払い方式と月払い方式については、それぞれメリット・デメリットが考えられるが、日払い方式では経営が不安定になってしまうとの指摘については、
・ 日払い方式の導入に際しての報酬単価の設定に当たっては、利用率を加味して一定の欠員等にも配慮したこと
・ 生活介護等の利用者が急に利用を中止した場合や、施設やグループホーム・ケアホームで生活する者が長期間にわたり入院等した場合の連絡調整や相談援助を加算で評価していること
・ 事業者の安定的な経営が図られるよう、定員を超えて利用者を受け入れられるようにしていること などの取組を行っている。
○ 報酬の在り方については、医療、介護などの他の制度の取組も参考としつつ、事業所の経営実態、各サービスの利用実態等の客観的・具体的なデータに基づいた検討を行ってまいりたい。
<G.財政負担の仕組みについて>
骨格提言の趣旨に沿って、国庫負担基準を廃止し市町村が支援に要した実際の費用に対して国・都道府県・市町村が負担する仕組みにするべきだと考えるが、新法案においてこの点は明記されるのか。
○ 国庫負担基準は、訪問系サービスについて、国の費用負担を義務化する一方で、障害福祉に係る国と地方自治体との間の一定の役割分担を前提に、限りある国費を公平に分配するため、市町村に対する精算基準として定めているものであり、介護の必要度が高い者が多い市町村にはその人数に応じて国庫負担を行える仕組みとなっている。
○ 重度訪問介護等の利用促進のための支給額が国庫負担基準を超過している市町村への財政支援については、これまで障害者自立支援対策臨時特例交付金による基金事業として行われていたものを、補助金化して継続的に実施することを平成24年度予算案に盛り込んでいる。
○ 国庫負担基準を超える分の国から市町村への財政支援の在り方については、国の厳しい財政事情を考慮しつつ、国費を公平に分配する機能をどのような形で担保するかについて、引き続き検討してまいりたい。
平成24年2月17日厚生労働省障害保健福祉部
<A.「障害の範囲」について>
(1) 骨格提言の趣旨に沿って、谷間を生まないために包括的な規定とするべきだと考えるが、新法案においては包括的規定となるのか、それとも例示列挙するのか。
(2)骨格提言の趣旨に沿って、難病を始め、あらゆる障害者が新法案に基づくサービスを受けられるようにするべきだと考えるが、新法案においてこの点は明記されるのか。
○ 制度の谷間のない支援として、障害者の定義に新たに難病を位置付け、障害福祉サービスの対象とすることとしているが、対象となる者の範囲については、政令で定めることとしており、厚生科学審議会難病対策委員会での議論を踏まえ、施行までに検討することとしている。
<B.「選択と決定」について>
(1) 現行の障害程度区分を改良するのではなく、骨格提言の趣旨に沿って障害程度区分を使わずに個々人の必要に応じた支給決定が行われるべきだと考えるが、新法案においてこの点は明記されるのか。
(2)24年度予算案で現行の障害程度区分に関する調査・検証の経費を計上しているが、これにより骨格提言が提案する、ガイドラインをベースとした協議調整による支給決定の試行事業を実施するのか。
○ 支給決定については、国民の理解が得られるよう、制度として客観性・公平性が保たれ、安定的な運営が可能であることを確保することが必要と考えている。
○ このような客観性・公平性に係る要請を踏まえれば、まずは障害程度区分に係る課題の整理から具体的に議論していくことが必要であると考えている。平成24年度予算案に障害程度区分に関する調査・検証のための経費として1億円を計上しており、その後、法の施行後5年を目途として、障害程度区分を含めた支給決定の手続の在り方について検討を行い、必要な措置を講ずることとする規定を設けることとしている。
○ 平成24年度予算案に計上した経費は、年間約20万件の認定調査の内容についての詳細な分析や認定調査と提供されているサービスの内容の関連性等の分析等を行うことにより、障害程度区分を含めた支給決定の手続の在り方について検討を行っていくための基礎資料を得るためのものである。
<C.「支援体系」について(1)>
(1) 福祉的就労の場で働く障害者の多くに労働法が適用されていない現状を改善するため、骨格提言では、多様な働き方についての試行事業を実施した上で、新たな就労支援の仕組みを検討するとしている。また平成22年6月29日の閣議決定では、福祉的就労への労働法規の適用等につき推進会議や総合福祉部会での議論を踏まえ検討し、平成23年内に結論を得るとしている。新法案において上記試行事業の実施と閣議決定の内容は明言されるのか。
(2)骨格提言の趣旨に沿って、利用者の主導により利用者の信任を得た特定の者が、包括的・継続的に利用者の生活と一体的に支援を提供するパーソナル・アシスタンス制度を、対象者を障害種別で限定せずに創設するべきだと考えるが、新法案においてこの点は明記されるのか。
(3) 骨格提言の趣旨に沿って、移動支援を行動援護・同行支援とともに個別給付化すべきだと考えるが、新法案においてこの点は明記されるのか。
(4) 骨格提言の趣旨に沿って、コミュニケーション支援及び通訳・介助支援を位置付けるべきだと考えるが、新法案においてこの点は明記されるのか。
○ サービス体系の在り方については、
・ 旧体系から自立支援法の体系への移行が完全施行されるのが今年4月であること
・ 「障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて障害保健福祉施策を見直すまでの間において障害者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に関する法律」(以下「22年改正法」という。)による相談支援の充実や障害児支援の強化が今年4月から施行されること
・ 障害者虐待防止法が今年10月から施行されることを踏まえ、現場の混乱にも配慮しつつ、サービス提供実態に係るデータや課題を整理した上で、引き続き検討することとしている。
○ このため、法の施行後5年を目途に、常時介護を要する者に対する支援、障害者の移動の支援、障害者の就労の支援その他障害福祉サービスの在り方等について検討を行い、必要な措置を講ずることとする規定を設けることとしている。
○ 障害者のコミュニケーション支援に関しては、地域生活支援事業における市町村の必須事業として、新たにコミュニケーション支援を行う手話通訳等を行う者を養成する事業を追加することとしている。
<D.「地域移行」と「地域資源整備」について>
これまでも地域移行は前進しているが、新たな入院・入所者が後を絶たないため結果的にその人数が減少していないという現状を抜本的に見直すため、骨格提言の趣旨に沿って、地域移行と地域基盤整備10カ年計画を法定化するべきだと考えるが、新法案においてこの点は明記されるのか。
○ 障害者基本法の改正を踏まえ、日常生活、社会生活の支援が、可能な限り身近な場所において受けられること、共生社会を実現すること、社会的障壁を除去することに資するものとなるように、法律の理念を新たに掲げるとともに、これに伴い目的を改めることとしている。○ 地域移行の推進の在り方については、22年改正法により今年4月から個別給付化される地域移行支援・地域定着支援の実施状況等を踏まえつつ、引き続き検討してまいりたい。
○ また、地域生活の基盤整備については、
・ 国が基本指針を定め、地域生活への移行、一般就労への移行等の障害者施策を円滑に進めるための一定の目標を設定し、
・ 地方公共団体は国の基本指針に即して障害福祉計画を策定し、福祉施設入所者・入院中の精神障害者の地域生活への移行、福祉施設から一般就労への移行等に係る具体的な数値目標に基づき、グループホーム・ケアホーム等の障害福祉サービスの必要見込量を定めて、計画的に整備している。
○ 現行の仕組みをさらに実効性のあるものとする観点から、障害者の数などの客観的な指標に限らず、地域の潜在的なニーズを把握した上で障害福祉計画を定めるよう努めることを新たに規定することとしており、こうした障害福祉計画の状況も踏まえながら、引き続き検討してまいりたい。
<E.「利用者負担」について>
「つなぎ法」もなお「1割を上限に家計の負担能力に応じて負担する」仕組みであり、課税世帯の厳しい負担、自立支援医療問題など未解決である。収入認定の対象を障害者は本人のみ、未成年者は世帯主のみにし、負担能力を定義すべきだと考えるが、新法案においてこの点は明記されるのか。
○ 平成22年4月から低所得の障害者等の利用者負担を無料として、実質的に応能負担としている。また、22年改正法において、応能負担であることを法律上も明確化したほか、障害福祉サービス等と補装具の利用者負担を合算し、負担を軽減する仕組みを導入した。○ 利用者負担を原則無償とすることや、収入の認定に際して配偶者等の収入を考慮に入れないことについては、財源の確保状況や医療や介護など他の制度との整合性・公平性も踏まえた国民的な議論が必要であることから、引き続き検討してまいりたい。
<F.「報酬支払い方式」について>
骨格提言の報酬支払い方式は、施設系と在宅系に区分けし、前者はいわゆる月額払い方式と日額払い方式の併用に、後者は時間割としているが、新法案においてこの点は明記されるのか。
○ 日払い方式と月払い方式については、それぞれメリット・デメリットが考えられるが、日払い方式では経営が不安定になってしまうとの指摘については、
・ 日払い方式の導入に際しての報酬単価の設定に当たっては、利用率を加味して一定の欠員等にも配慮したこと
・ 生活介護等の利用者が急に利用を中止した場合や、施設やグループホーム・ケアホームで生活する者が長期間にわたり入院等した場合の連絡調整や相談援助を加算で評価していること
・ 事業者の安定的な経営が図られるよう、定員を超えて利用者を受け入れられるようにしていること などの取組を行っている。
○ 報酬の在り方については、医療、介護などの他の制度の取組も参考としつつ、事業所の経営実態、各サービスの利用実態等の客観的・具体的なデータに基づいた検討を行ってまいりたい。
<G.財政負担の仕組みについて>
骨格提言の趣旨に沿って、国庫負担基準を廃止し市町村が支援に要した実際の費用に対して国・都道府県・市町村が負担する仕組みにするべきだと考えるが、新法案においてこの点は明記されるのか。
○ 国庫負担基準は、訪問系サービスについて、国の費用負担を義務化する一方で、障害福祉に係る国と地方自治体との間の一定の役割分担を前提に、限りある国費を公平に分配するため、市町村に対する精算基準として定めているものであり、介護の必要度が高い者が多い市町村にはその人数に応じて国庫負担を行える仕組みとなっている。
○ 重度訪問介護等の利用促進のための支給額が国庫負担基準を超過している市町村への財政支援については、これまで障害者自立支援対策臨時特例交付金による基金事業として行われていたものを、補助金化して継続的に実施することを平成24年度予算案に盛り込んでいる。
○ 国庫負担基準を超える分の国から市町村への財政支援の在り方については、国の厳しい財政事情を考慮しつつ、国費を公平に分配する機能をどのような形で担保するかについて、引き続き検討してまいりたい。