難聴者の生活

難聴者の日々の生活から、人工内耳など難聴者のコミュニケーション、聴覚障害者の制度改革について語る。

日本語の特徴

2006年03月19日 22時14分02秒 | 福祉サービス
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東京都聴覚障害者自立支援センターの今年度最後の要約筆記者研修が行われた。長崎短期大学助教授の小嶋栄子先生の「日本語の特徴」の講義だった。小嶋先生は、全難聴の要約筆記事業の研究委員会委員長を務められているが、手話通訳士試験の模範解答を手話コミュニケーション研究誌に連載されておられる言語学の専門家である。最近、「手話通訳者のための国語」にまとめられた。
手話通訳士は、短大程度の言語学概論程度の基礎知識が必要とされるが、今回はその初歩を楽しくお話された。
卑弥呼のことを例に挙げて、中国から来た人が、日本で「ヒミコ」を「himiko」と言っているのを聞いて、それを中国の人に伝えるために、「卑弥呼」という漢字を当てたのだと、文字に意味はない、音(おん)に意味があるということを説明された。文字が生まれる前から意味のある音があった。それを後から文字を当てたので文字が意味を持っているようにみられるということだ。
若い人の間で、日本語が乱れていると言われるが、「チョーむかつく」など「チョー」が「むかつく」の前にあって文法にかなっているので全然平気など、笑いを誘いながら日本語の世界に引き込むのは相当の達人だ。

研修の最後に、東京都における要約筆記の派遣数が報告された。昨年は公費、有料派遣合わせて年間1300件だったが、今年は2月末で1600件を越えているとのことだ。3月末にはさらに増えるものと思われる。内容は大学からの依頼が増えているとのことだ。東京はノートテイクは技術の判定ランクでAでないと派遣しないので、Aランクの要約筆記者はかなり忙しい。
こうした現場から求められる技術レベルは高く、手書き,パソコンの要約筆記者を対象にA,BC別に分けて、様々な研修が年間30回近くも行われている。学ぶ方も教える方も真剣にならざるを得ない。

ラビット 記




異動は難聴者の心配の種

2006年03月19日 11時41分26秒 | 生活
人事異動の季節だ。どの企業でも組織でも定期的に異動がある。
難聴者にとっては、新しい仕事が出来るかどうかより、また人間関係をどう築き上げるか頭痛の種だ。同じ部課の範囲、あるいはいつも挨拶くらいはしている支店内の異動なら良いが、全く違う支店や部課に異動すると自分が聞えないこと、どういうコミュニケーションをしているかを説明しなければならない。

8年前は、自分にして欲しいコミュニケーション方法を紙にまとめて上司に渡したら、社長も含めて社内回覧されてしまった。
1)顔を見て話して下さい。
 一所懸命にパソコンを打ち込んでいると、画面とキーボードの間に顔が割り込んできてびっくりした。
2)呼ぶ時は、肩を叩いて下さい。
 最初に思いきり叩かれてびっくりした。痛かったが我慢して、何?
と聞き返した。
3)数字は、指で表して下さい。
 1、2,3・・は良いが、9は両手で5と4を重ねるのできつそうだったが、そのうち空中に書く(空書)ようになった。
4)静かなところで話して下さい。
 課内ミーティングも小会議室などを使って開くようになった。私は皆の顔が見えるように普通は上司の座る部屋の正面に座るようになった。
今の上司は、ちょっと話しかける時も別室に呼ぶ。叱責されるのかと思うとホワイトボードを使って「図解」入りで話してくれる。すごいくせ字で判読しにくいが言えない。
5)要件は紙に書いて下さい。
 手にマヒのある同僚も金釘流の字だがメモを書いてくれる。今は社内メールがあるが隣にいる女子社員に今部長はなんて言ったのなんて聞くと「あのねえ○○らしいよ」とうわさも教えてくれる。

前に、私に口を大きくあけて話してくれる女子社員がいたが異動してしまい、困ったなと思ったら、その後の方も丁寧に話してくれる。どうやら「引き継ぎ書」に私とのコミュニケーション方法が書いてあるらしい。それが今も代々伝わっている。

ラビット 記