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救護兵の父がウクライナの最前線で見たのは置き去りにされたロシア兵 避難した娘が描いたのは故郷の風景

2023-02-24 18:03:46 | 日記
救護兵の父がウクライナの最前線で見たのは置き去りにされたロシア兵 避難した娘が描いたのは故郷の風景


2023年2月22日 06時00分

ロシア侵攻前年の2021年8月、フメリニツキーの自宅で父セルヒーさん(中央)の50歳の誕生日を祝う(左から)ナタリアさん、母ルドミラさん、妹アナさん=ナタリアさん提供

<侵攻1年 家族と兵士④>

 父は毎日、負傷した兵士たちのうめき声を聞いている。置き去りにされた敵のロシア兵が助けを求める悲鳴も。ロシアが攻勢をかけるウクライナ東部ドネツク州の激戦地バフムト。この戦略的要衝で、ナタリア・ゲラシムチュク(33)の父セルヒー(51)は救護兵として任務を続ける。
 「父は詳しく語らないが、バフムトは非常に危険な状況。心配でたまらない」。英南部マルムズベリーで避難生活を送るナタリアは、朝晩欠かさず父の無事を祈る。「父は志願して軍に入り、最前線に派遣された。とても誇りに思う」。努めて笑顔で話すナタリアの目に、涙がにじんだ。

 ナタリア以外の家族はウクライナ西部の故郷フメリニツキーで暮らす。女性や子どもの多くが国外に避難する中、医師の母ルドミラ(52)は父のために国内に残る。

祖父母も慣れ親しんだ家から離れるのを嫌がった。

妊娠していた妹アナ(26)は10日に元気な男の子を産んだ。

分娩ぶんべん中に市内に爆弾が落ちたが、妹は警報の中で医師に励まされ、無事出産したという。ナタリアは「初孫を早く父に見せてあげたい」と話す。

ウクライナ防衛の最前線で戦うナタリアさんの父セルヒーさん=ナタリアさん提供


 父は侵攻前は運転手だった。かつて車の事故で脊椎を損傷し、医師から一生まひが残ると言われたが、奇跡的に回復した。侵攻直前には脚を骨折した。だが迷わず「軍に入る。家族と国を守る」と宣言した。ナタリアは行かないでとは言えなかった。「ロシア軍が来るのを黙って待つわけにはいかない。父が行かなければ他の人が行くことにもなる」。家族全員で父の決断を尊重した。
 ギプスが取れた直後に入隊。救護兵としての訓練後、南部の激戦地だったヘルソンへ派遣された。それからバフムトへ。最前線で父が見たのは、負傷して動けなくなったロシア兵たちが置き去りにされ、苦痛と恐怖で叫ぶ姿だった。ナタリアは「ロシアは自国の兵を見殺しにしている。兵士を人間ではなく、ただの肉の塊と見ている」と憤る。
 ナタリアは侵攻前は故郷で手作りの宝飾品販売を営んでいた。経営は順調だったが、侵攻で全てが変わった。「戦争中に宝飾品などとても勧められない。女性たちはきらびやかに人生を楽しむ気分にはなれない。私自身も」。英国在住の叔母を頼り、侵攻直後に渡英。全く話せなかった英語を必死に学び、ウエートレスとして働いた。

戦争前の平和なウクライナの空を描いたというナタリアさん。英国での初個展の夜は父を思って毎晩泣いた=13日、英マルムズベリーで、加藤美喜撮影

 不安で押しつぶされそうな心を静めてくれるのが油絵だ。故郷の風景を描き、今月には初の個展をマルムズベリーで開いた。多くの人が購入してくれ、収益は生活費とウクライナ軍への寄付に充てた。
 個展では来場者に父や故郷の話をするのがつらく、毎晩部屋で泣いた。それでもウクライナを支援してもらいたい思いから、自らの経験や家族を語った。父はナタリアの無事と活動を喜び、声援を送ってくれる。
 望んだ人生ではない。先は全く見えない。空を見上げて、いつも最前線の父や故郷の家族を思う。「いつかきっと、また一緒に暮らせる」。そう信じて、毎日を生きる。

(マルムズベリーで、加藤美喜)=文中敬称略
                                                      ◇ 

 ウクライナでは今も多数の兵士が戦場に立つ。その帰りを待つ家族らの言葉から、侵攻1年を振り返る。





国連総会決議、「永続和平」へ露軍撤退求める 賛成141カ国

2023-02-24 17:48:36 | 日記
国連総会決議、「永続和平」へ露軍撤退求める 賛成141カ国

2023/2/24 07:00平田 雄介
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ウクライナ侵攻

22日、米ニューヨークの国連本部で開催された総会の緊急特別会合(共同)

【ニューヨーク=平田雄介】

国連総会(加盟193カ国)は23日、ロシアのウクライナ侵略を巡る緊急特別会合で、領土保全や主権の尊重など国連憲章の原則に基づく永続的な和平を目指し、露軍の即時撤退などを求める決議案を141カ国の賛成で採択した。

反対はロシアや北朝鮮など7カ国。

中国とイラン、インドなど32カ国が棄権した。

賛成国の数は、国連総会が昨年採択したウクライナ侵略を巡る決議5本の最多143カ国に迫り、24日で侵略開始から1年となったウクライナへの国際社会の連帯の強さを示した。

採択された決議は、ウクライナと日米欧を含む75カ国が共同提案した。

国連外交筋によると、決議案の修正協議では、露中が浸透を図るグローバルサウス(南半球を中心とした途上国)の声を聞き、侵略に伴う食糧・エネルギー価格の高騰や核の安全に対する「深い懸念」が盛り込まれ、グローバルサウスの多くの国が賛成票を投じた。

修正協議を主導した米国のトーマスグリーンフィールド国連大使は「歴史的な投票だ」と述べた。

ウクライナのクレバ外相は「投票結果はグローバルサウスがわが国を支持していないとの言説に逆らうものだ」と指摘し、「ウクライナの領土と支援の輪を損ねようとするロシアの試みは失敗する」と強調した。

ロシアのネベンジャ国連大使は22日の会合で
「反露的な考えが続いている」と決議案への反対を呼びかけたが、同調したのはシリアやニカラグア、マリ、エリトリアなどに止まった。

同盟国ベラルーシの侵略行為を否定する修正提案は2本とも否決された。

決議は、露軍の即時撤退のほか、電力施設などの重要インフラや民間人への意図的な攻撃の即時停止や、ロシアへ強制移送された子供ら抑留者の帰還などを求めた。

また、ウクライナで起きた国際法上の重大犯罪を調査・訴追する必要性を強調した。

中国の戴兵国連次席大使は23日の会合で、「各国は一方的な制裁や司法の管轄の拡張を懸念すべきだ」と述べ、ウクライナで起きた戦争犯罪の責任追及を目指す米欧日をけん制した。

林芳正外相は「侵略に伴う全ての行為の責任を適切に問うべきだ」と述べ、各国は「直接にせよ、間接にせよ、侵略の支援を控えるべきだ」と訴えた。

中国は対露武器支援を検討中だと米メディアは報じている。


ウクライナのロシア軍撤退など求める決議案を国連で採択 日本など70カ国超が共同提案

2023-02-24 17:41:05 | 日記

反対はわずか7カ国 


ウクライナのロシア軍撤退など求める決議案を国連で採択 日本など70カ国超が共同提案


【ニューヨーク=杉藤貴浩】

国連総会(193カ国)の緊急特別会合は23日、ウクライナに侵攻したロシア軍の完全撤退や国際法上の重大犯罪への調査と訴追などを求めた決議案を賛成141、反対7、棄権32カ国の圧倒的賛成多数で採択し採択を主導した米欧は侵攻1年を機に、国際社会の結束とロシアの孤立化を進めることに成功した。

 決議案はウクライナが提案し、強い賛同を示す共同提案国は日本、米英仏など70カ国超に上った。

中国やインド、南アフリカなどは棄権票を投じ、ロシアに配慮を見せた。

反対はロシア、ベラルーシ、北朝鮮、エリトリア、マリ、ニカラグア、シリア。13カ国は投票しなかった。

 ロシアのウクライナ侵攻を巡る総会決議は6回目。

今回の賛成国数は、侵攻直後の昨年3月に採択されたロシア非難決議と同数だった。

戦闘の長期化で支援継続が各国の重荷となる「ウクライナ疲れ」も指摘されるが、国連憲章や国際法に違反するロシアへの非難が弱まっていないことを示した。

 ウクライナのクレバ外相は採択後、記者団に「西側諸国だけでなく、幅広い国々がわが国を支持している」と述べた。

日本の林芳正外相は演説で「日本は国際社会とともにウクライナ支援を続ける」と強調した。

 決議は国連憲章に基づき「ウクライナの包括的で公正、永続的な平和」を求める内容で、民間インフラへの攻撃停止や捕虜の全面交換なども求めている。

総会決議は安全保障理事会決議のような拘束力を持たないが、加盟国の意思を示す政治的意味を持つ。

 ロシアに同調するベラルーシがロシア軍の撤退などを削除するよう求めた2つの修正案は、いずれも十数カ国の賛成と90カ国以上の反対で不採択となった。



「授業7割理解」「友だちたくさん」 ウクライナから避難、都立高に通うアジマさん 自宅の父が気がかり

2023-02-24 17:13:43 | 日記
「授業7割理解」「友だちたくさん」 ウクライナから避難、都立高に通うアジマさん 自宅の父が気がかり

2022年6月11日 20時10分

支援者の本村レナさん(左)と話すミラナ・アジマさん(中)と母親のマリナ・アジマさん=11日、東京都江東区で

 ロシア軍の侵攻が続くウクライナから避難し、東京都立国際高校(目黒区)に通うミラナ・アジマさん(16)が11日、都内で本紙などの取材に応じた。

「早く私たちを自由にして」と平和を願いつつ、研究者の夢を目指し「日本の大学で学びたい」と避難生活を前向きに歩む。(原田遼)

 ミラナさんは自宅のある首都キーウ(キエフ)からポーランド経由で4月に来日。

現在は母マリナさん(39)と江東区の都営アパートで暮らし、入学を受け入れた同校に電車通学している。

 学校には英語で行われるコースもあるが、日本の大学に進むために日本語コースを選択。

オンライン講座で日本語を学び、「授業の7割は理解できるようになった。友だちもたくさんできて学校が楽しい」と、はにかむ。

 キーウの上空を飛ぶ戦闘機の音や、避難前に約1カ月過ごした地下シェルターの臭いが頭から離れず、自宅に残る父ドミトロさん(40)も気掛かりだ。

不安な毎日の支えが、生物物理学の研究者になる夢だ。

「進学のために専門用語などたくさん覚えなければいけない。大変だけど頑張る」と目に力がこもる。

 一方で、マリナさんは「お金が心配」と不安が大きい。今は行政や民間の支援で生活できているが、長期的な保証はない。

キーウでは美容師をしており、「日本で働く場所があれば…」と就職を視野に入れる。

 ウクライナ出身で、同区で2人の世話をする本村レナさん(50)は「個人で支援できることは限られる。国やボランティアからのサポートがもっとほしい」と指摘した。

◆大学でも広がる支援の輪

 学びの機会を提供する支援の輪は、高校だけでなく、大学でも広がっている。

戦禍を逃れた学生らを支援する一般社団法人「パスウェイズ・ジャパン」と日本国際基督教大学財団は3月以降、日本への留学を希望するウクライナの若者を募集。

国際基督教大と上智大が計15人の受け入れを決めたが、定員を大きく上回る約70人の応募があり、10日から追加募集をスタートさせた。

 追加募集には関東や関西の13大学が参加し、合わせて最大60人超の受け入れを予定している。

24日までの応募期間を経て2度の審査を行い、各大学が受け入れる学生を決定。

まずは学部や大学院の聴講生などとして迎え、正規の留学生になるためのサポートもすることにしている。

 ロシアがウクライナに侵攻してから3カ月半が過ぎた。

避難が長引くにつれ、長期的な支援の重要性も増している。

7日にオンライン会見で追加募集の開始を発表したパスウェイズ・ジャパンの折居徳正代表は「いつウクライナに帰れるか誰にも分からない状況。1年たってから将来設計をしては間に合わない」と指摘。

日本で就職を希望する学生も想定し、日本語教育などの重要性を説いた。

(佐藤航)





母から寝起きに突然「日本に行きなさい」、頼みは太宰治「人間失格」…ウクライナ少女が単身避難

2023-02-24 16:48:05 | 日記
母から寝起きに突然「日本に行きなさい」、頼みは太宰治「人間失格」…ウクライナ少女が単身避難

2023/02/24 15:08

 ロシアの攻撃が続くウクライナ東部ドニプロから、家族と別れて一人で日本に避難した少女がいる。

ズラータ・イヴァシコワさん(17)。

日本語を学び、いつか日本に行きたいと考えていた少女の夢を、戦禍の中でかなえたのは、ウクライナの惨禍に思いを寄せる日本の人たちの尽力だった。(永瀬章人)

大観覧車やビルが立ち並ぶ横浜・みなとみらいの風景が好きだというズラータさん(1月31日、横浜市で)

 「たくさんの出会いに支えられ、ここに来ることが出来た。不思議な縁を感じる」

 ロシアの侵略開始から24日で1年となり、ズラータさんは振り返る。

日本に来て10か月余り。今はアニメ「文豪ストレイドッグス」で憧れていた街・横浜で一人暮らしをしている。

 専門学校で日本語を勉強し、ウクライナの専門学校のオンライン授業で絵を学ぶ毎日に、「1年前には、全然考えていなかった生活です」と話す。

 侵略が始まった日は、故郷・ドニプロにいた。

当時は16歳。ウクライナ屈指の工業都市として知られる街で、母のユリアさん(48)と2人で暮らしていた。

 突然、ユリアさんから「日本に行きなさい」と、告げられたのは開戦から3週間となる3月16日朝のことだ。

寝起きで一瞬、何を言われたのか分からなかった。日本には知人は一人もいないはずだった。

故郷・ドニプロの風景(2020年)=ズラータさん提供

 ユリアさんは娘に知らせず、安全な日本へ逃がそうと準備をしていた。

 ただし、つてはない。

そこで頼ったのが、東京都墨田区の会社役員羽鳥佑一郎さん(42)だ。

娘が以前、ネットで太宰治の「人間失格」の本を購入した際の販売元だった。

 「身元保証人になってもらえないか」。羽鳥さんのもとにロシア語のメールが届いたのは3月4日だ。

 羽鳥さんは驚いたが、わずかな縁にすがる気持ちは、子を持つ親として痛いほどわかった。

即座に引き受けることにした。

「そのために自分が割くことになる時間や労力は、我が子の命を守りたいという思いの前ではささいな問題だった」

 通話アプリでやりとりを重ね、事情を聞いた。

ユリアさんの家は決して豊かではなく、住宅や生活費、学費の支援が必要だった。

都や国内の支援団体に問い合わせ、何とかなりそうだと打ち返したのが、ズラータさんが「日本に行きなさい」と告げられた3月16日だ。

 ドニプロから日本へはポーランド経由となる。

ズラータさんとユリアさんは列車とバスに42時間揺られ、3月19日に首都ワルシャワにたどり着いた。

 そこで計画は大きく狂った。

ズラータさんが新型コロナウイルスに感染したのだ。

予定の飛行機に搭乗できず、待機するホテルを探したり、PCR検査を受けたりしなければならない。

ユリアさんは祖母の世話でドニプロに早く戻らねばならず、所持金も渡航費ぎりぎりだ。諦めかけた時、出会ったのがカスプシュイック綾香さん(31)だった。

カスプシュイック綾香さん

 綾香さんは、ポーランド人と結婚し、現地で観光ガイドとして働く傍ら、日本への渡航を希望するウクライナ人を支援していた。

 当時、ポーランドには駅舎からあふれるほどの避難民が押し寄せていた。

多くが子どもを連れた若い母親だった。

綾香さんは「私にも幼い娘がいるので衝撃だった。

何とかしなければと強く思いました」と、支援を始めた経緯を語る。

 ズラータさんは綾香さんの助けでPCR検査を受け、格安航空券を探した。

横浜市の専門学校に通う予定のズラータさんに、1年間無償で使えるアパートを探してくれたのも綾香さんだ。

 ズラータさんが「足長お姉さん」と呼ぶ綾香さんは、今も現地で活動を続け、「憧れていた場所で人生を切り開いてほしい」とズラータさんにエールを送る。

充実の日々

 ズラータさんは4月9日に日本に到着した。

今は生活にも慣れ、日本語能力試験で最上位の「N1」に合格。充実した日々を送っている。

 一方、ウクライナでは戦火が激しさを増す。

ドニプロも砲撃され、母のユリアさんに電話をかけても、停電でつながらないことも多い。

「日本に来ない?」と聞いても「まだ大丈夫」と言うので信じるしかない。

 自分だけが安全な場所にいることに罪悪感を覚えることもあるというズラータさんは、「私を助けてくれた人たちのように、将来、人を助けられる人間になりたい」と話す。

そのために、日本での一日一日を大切にしようと思っている。


 ズラータさんの体験をつづった手記は「ウクライナから来た少女 ズラータ、16歳の日記」(世界文化社)として出版されている。