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徴用工判決に反日「韓国メディア」さえ狼狽えたワケ 釜山大教授は「国交断絶もあり得る」

2019-02-17 17:28:01 | 日記
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徴用工判決に反日「韓国メディア」さえ狼狽えたワケ 釜山大教授は「国交断絶もあり得る」

韓国・北朝鮮週刊新潮 2018年11月15日号掲載


1965年の日韓請求権協定をひっくり返し、このたびの徴用工裁判では計4億ウォン(約4千万円)の賠償を日本に求める判決が下された。

「本来、文在寅(ムンジェイン)政権も裁判所に対して『この件は、65年の日韓請求権協定で終わっている』という政府見解を出すべきだったと思います。

ところが、現政権はそれをしないどころか、『判決を尊重する』などとコメントを出しています。信じられません」

と元外務省北米第一課長で外交評論家の岡本行夫氏が嘆くように、文政権は“確信犯”的な振る舞いを見せている。

国のトップが「率先」して横紙破りを敢行する国、韓国。しかし、国際ルールを無視した蛮行は、反日が染みついた韓国国民にはウケるかもしれないが、国際的に見れば同国の孤立を招くリスクを内包していることは火を見るより明らかである。

「面倒な隣人」が村八分扱いされるのは、何も日本固有の文化ではあるまい。

『悪韓論』(新潮新書)の著者で評論家の室谷克実氏は、

「朴正煕(パクチョンヒ)政権時代、徹底的に弾圧された左翼グループのひとりが今の文大統領で、彼は投獄されています。

その結果、裁判官になりたかったのになれなかった。そうした過去があるため、文大統領は朴正煕をとにかく否定したい。

朴正煕の一番の仕事が日韓基本条約なので、彼はこれを潰したいんです。

そして韓国のインテリ層は、自分たちの正義のためであれば周りに間違っていると注意されても猪突猛進するのをよしとする思想を持っている。

ですから文大統領も、今回の件がどんな結果をもたらすか、後先考えずに突き進んでいるんだと思います」

と、文氏の無鉄砲さを指摘するが、当然ながら展望なき外交に未来などあるはずもない。

日韓の「離婚」

 実際、日頃は日本を敵視する韓国メディアも、さすがに今回の判決は不安視しているらしく、以下のような報道が散見される。例えばまず、

〈この判決は国際法に違反する可能性が高い〉

〈植民地支配の違法性問題は、韓国であれ日本であれ、一方の国の憲法ではなく、その当時の国際法に基づいて判断しなければならない〉(いずれも10月31日付文化日報)

〈日本が国際司法裁判所(ICJ)への提訴を言及し、国際世論戦を繰り広げる場合、(韓国は)決して有利ではない〉(同月30日付京郷新聞)

といった具合に、やはり、そもそも国際ルールから逸脱しているという分析が見られる上に、現実的な問題として、今回の判決を機に韓国が窮地に立たされるのではないかとの危機感も表している。

〈今のような日韓関係の状況が続けば、いろんな分野において日本の協力を求めることは容易ではない〉(同月30日付毎日経済新聞)

 そのため、機先を制するかのように、

〈今回の判決による報復措置として、(日本政府は)他の協定の破棄など感情的な対応に言及してはならない〉(同月31日付中央日報)

 と、堪忍袋の緒が切れた日本の「仕返し」を恐れるかの如き記事があれば、

〈日本は韓国からの過去の歴史に関する要求に疲れ切っている〉

〈私たちが何を言っても、離婚届に判子は押さないだろうという安易な考え方は国際政治では通じない〉(いずれも11月2日付毎日経済新聞)

 と、日韓の「離婚」を危惧する報道まで存在する。


釜山大学教授も警告

 韓国・釜山大学法学専門大学院の朱普烈(チュジンヨル)教授はこう警告する。

「韓国政府が国際司法裁判に応じない場合、韓国側が一方的に日韓請求権協定を破棄したことになります。

同協定は日韓基本条約の付属書で、このふたつはセット。

つまり協定の破棄は、韓国政府が条約そのものを破棄すると宣言するに等しいと言えます。

そうなると、日本が深刻な出方をしてくる可能性がある。一方、韓国にも急進派がいる。両国の感情が悪化すれば、国交断絶もあり得ます」

 さらに韓国メディアの報道の中には、

〈韓国政府が対北朝鮮制裁緩和の問題を巡って、米国との意見の違いを示すなか、日本との関係まで悪化すると、北東アジアで孤立するかもしれない〉(10月30日付ソウル経済新聞)

〈長期的に見ると、韓米関係と国際社会における韓国外交もかなりダメージを受ける可能性があるとの懸念の声が上がっている。

日韓関係の悪化により、韓米日の協力に支障をきたし、国際社会でも国家間の合意が司法判断に基づいて覆されると懸念され、韓国を避ける現象が起きかねないという指摘だ〉(同月30日付文化日報)

 と、国際的孤立を真剣に心配する論調も見受けられるのである。自業自得にして自縄自縛。

 こうして日本に「悪さ」を仕掛け、結果、国際的には「鬼っ子」になりかけている隣国・韓国。

紅葉の季節を迎える折、インネンをつけては日本を祟(たた)る「悪鬼真っ盛り」は御免こうむりたい限りだが……。

特集「言語道断の『徴用工』判決は『大統領の陰謀』」より


22万人がなだれ打つ“便乗徴用工”2兆2千億円賠償の恐怖 韓国「文在寅」大統領の戦略的反日

2019-02-17 17:07:55 | 日記
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22万人がなだれ打つ“便乗徴用工”2兆2千億円賠償の恐怖 韓国「文在寅」大統領の戦略的反日

韓国・北朝鮮週刊新潮 2018年11月15日号掲載


文在寅大統領



10月末、珍しく日本のメディアは「一枚岩」となった。

〈「解決済み」ひっくり返す〉(朝日新聞)

〈文政権 迫られる対応〉(毎日新聞)

〈日韓協定に反する賠償命令だ〉(読売新聞)

〈国民感情優先 国際条約破る〉(産経新聞)

普段は対立する各紙が、10月31日付の紙面では「韓国批判」で歩調を合わせたのである。

こうした「大同団結」をもたらしたのは、その前日の、まさに国際常識を完全に無視した「徴用工判決」だった。


日本統治時代、朝鮮半島から動員されて日本の工場などで働いていた「徴用工」。

そのなかの4人が、「強制労働させられた」などとして新日鉄住金(旧新日本製鉄)に損害賠償を求めて提訴していた。

その裁判の差し戻し上告審が、同月30日、韓国の大法院(最高裁)で開かれ、計4億ウォン(約4千万円)の賠償を命じる判決が確定したのだ。

だが、先の朝日新聞の見出しを持ち出すまでもなく、徴用工問題は「解決済み」の話である。

簡単におさらいしておくと、1965年、日韓両国の国交正常化に伴い、日韓請求権協定が締結された。

これにより、日本が韓国に有償、無償あわせて5億ドルの経済支援をすることで両国および両国民の請求権問題は「完全かつ最終的に解決された」(同協定より)。

平たく言えば、日本統治時代のことに関して、以後、一切金銭的な補償等の問題は生じない、言いっこなしと日韓で合意したわけだ。

にも拘(かかわ)らず、韓国はちゃぶ台をひっくり返して日本にカネを求めてきたのである。

約束が約束にならない。ゲームセットしているのに、勝手にゴールが動かされてしまう。

慰安婦問題でも繰り返されてきた、韓国の十八番の「ムービング・ゴールポスト」がまたしても発現したのだ。

安倍晋三総理が「判決は国際法に照らしてあり得ない判断だ」と憤った上で呆れ、

河野太郎外相が「国交正常化以来、両国の友好関係の基盤となってきた法的基盤を根本から覆すものだ」と憤慨するのも当然である。


「戦略的反日」

元外務省北米第一課長で外交評論家の岡本行夫氏が嘆く。

「今回の判決は滅茶苦茶です。いくら国家間で正式な協定を結んでも、片方の国の司法府がそれをひっくり返してしまっては法の安定性はなくなる。

こんな判決が出るのであれば、国家と国家の関係は成立しません。

本来、文在寅(ムンジェイン)政権も裁判所に対して『この件は、65年の日韓請求権協定で終わっている』という政府見解を出すべきだったと思います。

ところが、現政権はそれをしないどころか、『判決を尊重する』などとコメントを出しています。信じられません」

また元駐韓特命全権大使の武藤正敏氏は、半ば匙(さじ)を投げたようにこう語る。

「65年に日韓双方で出した結論が、今回の判決でその経緯も含め全てひっくり返されてしまいました。

安倍総理が言った通り、『あり得ない』ことです。

これでは、日本としては韓国とはもう付き合いきれなくなってしまいます」

このように厚顔無恥を地で行く文氏。

これだけ酷い判決が出てしまった以上、内心、「反日を煽(あお)り過ぎたかな」と後悔していたとしても不思議ではないが、

「今回の判決は、文大統領の『戦略的反日』の帰結です。日韓関係にヒビが入ってしまうのでは、などという不安は微塵も感じていないでしょう」

と、元朝日新聞ソウル特派員でジャーナリストの前川惠司氏が、文氏の「確信犯」ぶりを解説する。

「これまでの歴代の韓国政権は、苦しくなったら反日カードを切ってきました。

しかし、文政権の支持率は未だに59%と高い。苦肉の策としてではなく、彼が積極的に反日を煽っていることを物語っています。

事実、判決確定直前の10月27日、朴槿恵政権時代の訴訟進行の実務責任者である法院行政処次長が、徴用工裁判の進行を遅らせたとして逮捕され、

当時の大法院長(最高裁長官)の関与についても捜査が行われています。

これは、今回の判決を出した新しい大法院長こそ正しいという世論操作と言えます。

つまり、文大統領は今回の徴用工判決を積極的に『演出』したわけです」

なぜそこまでして、反日に邁進するのか。

「保守系団体によるユーチューブの配信を規制しようとし、公務員の数を増やすなど、社会主義的傾向の強い文大統領は、対北朝鮮においても融和政策を取っています。

そんな彼にとって、これまでは日米韓で北と対峙してきましたが、北に融和的ではない日本が邪魔な存在になっている。

それゆえに、極端な反日強硬策に出ているんです」(同)

「便乗徴用工」の出現も

 戦後七十余年もの時が経過した秋に、飽きもせずの確信犯的反日攻撃。

他にすることはないのか、そんなことをしているうちに韓国のGDPの世界ランクは11位から12位へと下がっていますよと、お節介ながら言ってあげたいところだが、そう高をくくっているわけにもいかなそうで、

「韓国政府は、故人も含め22万超もの人を徴用工であると認定し、実に299社の日本企業を『強制労働の戦犯企業』であるとしている。

ちなみにその中には、三菱商事や鹿島建設といった名だたる企業も含まれています。

今回の判決で勢いづいた元徴用工たちが、そうした企業を相手に、新たに提訴するかもしれない。

実際、韓国では既に同種の裁判が十数件起こされています」(韓国ウォッチャー)

要は「たかが4人」「たかが4千万円」では済まず、「22万超の大群」が襲い掛かってくる危険性があるのだ。

前出の前川氏が危惧する。

「先ほど述べた通り、今回の徴用工判決は文大統領が『誘導』したものと言えます。

したがって、彼の政権が続く以上、既に進行している同種の裁判では同じような賠償命令が下されるでしょう。

そして、これから『俺も、俺も』と、元徴用工たちが名乗り出てきたら、これは本当に大変です。

ある面では、慰安婦問題より厄介かもしれません。

というのも、慰安婦は従事していた仕事が仕事だけに、『私は慰安婦でした』と、堂々と声を上げるのは憚(はばか)られるところもある。

それに比べて徴用工は、仕事自体への疾(やま)しさがないため、どんどん裁判を起こしかねないどころか、金をもらえるかもしれないと、本当の徴用工ではない『便乗徴用工』も現れかねません」

今回の判決におけるひとり当たりの賠償額は約1千万円なので、計算上は「1千万円×22万人」、都合2兆2千億円もの賠償金が発生する可能性すらあるわけだ。

「たかが4千万円」が、実は如何に恐ろしいものであるかを改めて思い知らされる。

特集「言語道断の『徴用工』判決は『大統領の陰謀』」より

文在寅で進む韓国の「ベネズエラ化」、反米派と親米派の対立で遂に始まる“最終戦争”

2019-02-17 16:36:59 | 日記
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文在寅で進む韓国の「ベネズエラ化」、反米派と親米派の対立で遂に始まる“最終戦争”

韓国・北朝鮮2019年2月12日掲載

文/鈴置高史

米韓同盟が音もなく崩れ始めた。

韓国人の過半が「米国に支払う経費負担を増すぐらいなら、在韓米軍に出て行ってもらったほうがいい」と言い出したのだ。

在韓米軍の駐留経費――韓国版「思いやり予算」を巡る米韓の交渉が暗礁に乗り上げた1月25日。

世論調査会社のリアルメーターが「韓国側の分担経費の増額に応じない限り、在韓米軍を削減・撤収する」と米国が言ってきた場合、増額すべきか――と韓国人に聞いた。

すると52.0%が「在韓米軍が削減・撤収しようとも増額には反対」と答えた。「賛成」が30.7%、「分からない・無応答」が17.3%だった。

この世論調査の1か月ほど前の2018年12月28日。ハリー・ハリス駐韓米国大使が青瓦台(大統領官邸)を訪れ、鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安全保障室長に対し「米韓相互防衛条約を他の方式で履行する案も検討可能だ」と語った。

要は「要求を飲まないのなら今後、在韓米軍は頼りにするな」と脅していたのだ。

世論調査の結果は「売り言葉」に対する「買い言葉」の形で思わず漏れた、韓国人の本音だった。


5割以上の韓国人が「米軍が出て行ってもいい」と言うようになったのは、北朝鮮との緊張緩和が原因だ。

2018年6月にトランプ米大統領と金正恩(キム・ジョンウン)委員長がシンガポールで会談した。

れ以降、韓国には「戦争の可能性が大いに減った」との安堵感が広がり、左派からは

「戦争が遠のいた以上、在韓米軍は不要だ」

「北朝鮮を刺激する米軍がいないほうが平和になる」との声が高まった。

米帝が諸悪の根源だ

保守の中にも「傲慢な米国」への反発を隠さない人が増えた。

駐留経費問題に限らず、米国は韓国に言うことを聞かせたい時には、「米軍を引くぞ」と脅してきた。

「平和ムード」は韓国人の心の奥底にあった反米感情も呼び覚ましたのだ。


リアルメーターの調査では、自らを保守と考える人の3分の1に当たる34.1%が「米軍が引こうとも増額には反対」と答えた。

「賛成」は50.2%だった。

結局、2月10日に米韓は「駐留経費は前年比8.2%増の年間1兆380億ウォン台(約9億2200万ドル)、1年ごとに再交渉」で妥結、仮署名した。

しかしこの交渉は米韓同盟の亀裂を露呈させたのである。

2月27、28日にはベトナム・ハノイで2回目の米朝首脳会談が開かれる。この場で「さらなる平和」が謳いあげられることになろう。

その後に金正恩委員長が韓国を訪問し、「民族の和解」を肉声で呼びかける可能性もある。

そうなれば、「米軍を追い出し同じ民族で団結しよう」との声が韓国でますます高まるのは間違いない。

文在寅(ムン・ジェイン)政権は、「韓米同盟こそが諸悪の根源」と考える親北派が中枢部を占めている。

大統領自身も「米帝国主義は世界の諸民族の内紛に付けこんで兵を送り、覇権を維持している」と主張した左派の学者の書いた本が愛読書だ。

国民にも読むべき本として勧めてもいる(拙著『米韓同盟消滅』第1章第1節「米韓同盟を壊した米朝首脳会談」参照)。

親北政権と北朝鮮にすれば、今の韓国の流れは「願ったりかなったり」――シナリオ通りであろう。

北朝鮮に国を売った文在寅

急速に盛り上がる米韓の「離婚話」に、韓国の親米派は死に物狂いで警鐘を鳴らす。

保守サイトの趙甲濟(チョ・カプチェ)ドットコムを主宰する趙甲濟氏は「文在寅と金正恩、チャベスとカストロ(1)」(1月20日、韓国語)を書いた。

副題は「キューバがベネズエラを食いものにしたように、北朝鮮も韓国を食いものにするのか?」。以下が書き出しだ。

《文在寅大統領の頭の中には金正恩しかなく、「国まで(北朝鮮に)寄付する太っ腹な指導者」と、冷笑の対象になっている》(筆者訳)

「国まで寄付」とは文在寅政権が金剛山観光事業と開城工業団地を再開しようとしていることを指す。

前者は2008年、立ち入り禁止区域に入った韓国人観光客が無警告で射殺されたために中断した。

後者は2016年、北朝鮮の核・ミサイル実験に対抗して閉鎖した。

いずれも北朝鮮に外貨を送る事業であり、再開すれば国連の対北朝鮮制裁を破ることになる。

北朝鮮の核武装を堂々と助けようとする文在寅政権こそは、国を売り渡す売国奴だと韓国の保守は断じたのだ。

見出しの「チャベス」とは、1999年にベネズエラの大統領に就任したウゴ・チャベス氏のことだ。

キューバのフィデロ・カストロ議長(当時)を師と仰いで大量の原油を貢ぐ一方、キューバの情報機関員に助けられて統治した。

カストロ議長の言いなりになっていたチャベス氏と、金正恩委員長の言いなりの文在寅大統領は同じだ、とこの記事は訴えたのだ。

米国への反発で生まれた左派政権

趙甲濟氏はチャベス政権下のベネズエラが、いかに悲惨な道をたどったかも強調した。

「フォーリン・アフェアーズ」の「Venezuela’s Suicide―Lesson From a Failed State(ベネズエラの自殺――失敗国家からの教訓)」を記事に引用した。その部分を要約する。

●ベネズエラは中南米で最も伝統がある強力な民主主義体制を誇っていた。域内のどの国家よりも社会安全網が整備され、すべての国民に無料の医療と高等教育への支援が約束されかけていた。メディアは言論の自由を謳歌し、政治体制も透明で平和的な政権交代も行われていた。


●そのベネズエラが、戦争をしたわけでもないのに、中南米で最も貧しく、最も新顔の独裁政権が君臨する国になった。医療体制は崩壊した。ごく少数のエリートだけが飯を食べ、今世紀に入ると中南米で最も多くの難民を生む国になった。政府の直接的な統制を受けない少数のメディアさえも弾圧を恐れ、政府の立場を代弁する。物価は25日ごとに2倍となり、2018年の上昇率は1000万%と予測されている。
 
確かに、チャベス前大統領から現在のニコラス・マドゥロ大統領に続くベネズエラの左派政権と、金大中(キム・デジュン)―盧武鉉(ノ・ムヒョン)―文在寅の韓国の左派政権には共通点が多い。

チャベス政権は、米国が主導する新自由主義的な経済政策に対する不満の中から生まれた。

韓国初の左派政権である金大中政権も、IMF(国際通貨基金)と米国が新自由主義的な政策を韓国に押しつける中、それへの反発をテコに誕生した。

財閥への経営介入が始まった

だから、いずれの国の左派政権も、国民の「反米民族主義」を煽って人気を得ようとする。

2006年9月の国連総会演説で、チャベス大統領がジョージ・W・ブッシュ米大統領を「悪魔」と呼んだことは有名だ。

2002年秋の大統領選挙の最中、盧武鉉氏も「反米のどこが悪いのか」と韓国人に呼び掛けた。

2017年11月にトランプ米大統領が訪韓した際、

米大統領の通る道にデモ隊が待ち構えるのを分かっていて、文在寅政権は規制しなかった。

反米運動家は一斉にトランプ米大統領の車にモノを投げつけ、大統領専用車は反対車線を逆走して避ける羽目に陥った。

チャベス政権は社会主義的な路線を採用し、米国資本の石油会社を含め大企業を国有化した。

文在寅政権も財閥の大株主である国民年金基金を通じ、経営への介入を始めた。

2月1日、同基金は大韓航空を傘下に持つ韓進KALに対し、「背任・横領罪で禁固刑を受けた人の役員就任禁止」を求めた。

文在寅大統領は1月10日の新年の記者会見で、具体的なデータを一切示さずに「いつのまにか我が国は、負の二極化と経済的な不平等が世界で最も激しい国になりました」と演説。

続いて「『1対99』社会や強者1人勝ちの経済と呼ばれる経済的不平等を解決しなければ、持続可能な成長は望めません」と語って「経営への介入」を正当化していた。

これに対し保守系紙の朝鮮日報は、

社説「国民の老後の資金で政権のための手段を作った文大統領」

(2月2日、韓国語版)で、「政府の息のかかった年金基金による民間企業の経営への介入が起こるとの恐れが現実のものとなった」と批判した。


「米国による痛み」を癒す

もっとも、左派をはじめとするかなりの国民からは歓迎されるだろう。

韓国財閥の多くは、保守政権と癒着し、特恵を得て肥大化してきた。

経営権はろくに相続税も払わない子供や孫へと受け継がれてもいる、と韓国では見なされている。

その子供や孫は、従業員への専横で、しばしば社会の非難を浴びる。

韓進KALが「国営化第1号」となったのは、オーナー一族による不祥事が相次いだからだ。

「財閥1人勝ち」となったのは、1997年のIMF危機(アジア通貨危機)がきっかけだ。

通貨危機に陥った韓国は、外貨を融通してもらう見返りにIMFと米国の要求を受け入れ、新自由主義的な経済体制を導入した。

従業員を簡単に解雇できるよう法律が整備され、街には失業者が溢れた。

景気が回復した後も企業は正規社員を増やさず、非正規労働者を採用するようになった。

文在寅政権が「失業者を救う」と称し、政府関連機関での雇用を増やしているのは「米国とIMFによる痛み」を癒す作業なのだ。

そもそもIMFに救済されるまで通貨危機が激化したのは、米国に見放されたからである(デイリー新潮寄稿「韓国、輸出急減で通貨危機の足音 日米に見放されたらジ・エンド?」参照)。


不服従を呼びかける退役将軍たち


韓国ベネズエラ表

韓国歴代大統領の末路

1月30日、韓国の退役将軍が集まって現役の軍人に、「文在寅政権に服従するな」と呼び掛けた。

2018年に結んだ「南北軍事分野合意書」は韓国軍の防衛能力を一気に落とす国家の自殺行為であるとして、軍人は拒否せよと訴えた。

駐留経費の交渉で米国と葛藤を引き起こしたことも厳しく批判した。

呼び掛けたのは、3人の元国防長官を含む予備役の将軍450人。

「大韓民国守護予備役将軍団」の名称で「大韓民国国軍に告ぐ」を発表したのだ。麗澤大学の西岡力客員教授が、「国基研ろんだん」で日本語に翻訳している。

2月7日には保守派の最大野党「自由韓国党」の有力議員、金鎮台(キム・ジンテ)氏が文在寅大統領の当選無効を主張した。

2017年の大統領選挙当時のネットによる世論ねつ造事件で、文在寅氏の側近の慶尚南道知事が有罪判決を受けたため、「大統領も連座すべきだ」と主張したのだ。

ベネズエラには今、2人の大統領がいる。左派のニコラス・マドゥロ大統領と、自分が大統領だと主張し、米国や欧州主要国が支持する野党指導者のフアン・グアイド暫定大統領(国民議会議長)だ。

反米派の左派と親米派の保守の対立が激しくなり、国が真二つに裂けたのだ。

ベネズエラと同様、韓国の左右対立も劇化する一方だ。

今、韓国の牢獄には、李明博(イ・ミョンバク)、朴槿恵(パク・クネ)という2人の保守派の大統領経験者が入っている。

最近、そこに朴槿恵時代の最高裁長官も加わろうとしている。

この2人には留まらない。退任後に平穏な生活を送った韓国の大統領はいない。

韓国は「第2の日本」ではない。

親米派と反米派が内戦を繰り広げ、常に政情が不安定なラテンアメリカの国々に、もともと近いのである。

鈴置高史(すずおき・たかぶみ)

韓国観察者。1954年(昭和29年)愛知県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。日本経済新聞社でソウル、香港特派員、経済解説部長などを歴任。95〜96年にハーバード大学国際問題研究所で研究員、2006年にイースト・ウエスト・センター(ハワイ)でジェファーソン・プログラム・フェローを務める。18年3月に退社。著書に『米韓同盟消滅』(新潮新書)、近未来小説『朝鮮半島201Z年』(日本経済新聞出版社)など。2002年度ボーン・上田記念国際記者賞受賞。