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日本と世界

世界の中の日本

「 現在革命続行中、文在寅政権の異常さ 」

2019-02-14 17:34:08 | 日記
櫻井よしこ オフィシャルサイト

2019.01.24 (木)

「 現在革命続行中、文在寅政権の異常さ 」

『週刊新潮』 2018年1月24日号

日本ルネッサンス 第836回

個人的な感想だが、韓国の文在寅大統領は「信用できない男」の典型ではないか。

とりわけ1月10日、韓国大統領府で開かれた年頭の記者会見での発言や表情は、知的に耐えきれないものだった。

韓国海軍の駆逐艦が海上自衛隊の哨戒機に、日本の排他的経済水域(EEZ)内で、火器管制用レーダーを照射した問題でも、

「朝鮮人戦時労働者問題」(自称徴用工問題)でも、文氏以下韓国側は自らの非を認めず、逆ギレを続けている。

レーダー照射問題に関して、韓国は、自衛隊機が低空で威嚇的に飛行したと言った。

ではなぜ、その場で抗議しなかったのか。日本側が低空飛行などしていなかったから、抗議できなかったのであろう。

加えて、彼らは当初、レーダー照射をしなかったとは言っていない。低空飛行を持ち出して問題をすり替えたのは、なぜか。

日本のEEZ内で韓国の大きな艦船が2隻も目視され、しかもまん中に漁船らしき小さな船をはさんでいるとなれば、日本の海や空を守る哨戒任務についている自衛隊機が、上空から様子を見るべく接近しないほうがおかしい。

当然の責務として近づいた自衛隊機にレーダーを照射して追い払おうとしたのは、韓国側に隠したいことがあったからだろう。

どうしても見られたくない現場がそこにあったために、レーダーを照射したのではないか。

隠したいことはよほど重要なことである可能性も高い。その点も含めて韓国側は重大な嘘をついていると考えてよいだろう。

もう一方の朝鮮人戦時労働者問題を、文氏は、「韓国政府がつくり出したのではなく、不幸な歴史のために生じた問題」だと語り、日本政府に「もう少し謙虚になるよう」求めた。

韓国大法院(最高裁)が下した判断を、韓国は三権分立の国であるが故に、韓国政府は尊重せざるを得ない、

そのことを日本政府も認識せよと、文氏は言ったが、同問題の背景に、文氏の遠大な企みがあったと見るのは決して深読みのしすぎではないだろう。

親北朝鮮の完全な左翼集団

日本企業に慰謝料の支払いを命ずる判決を下した大法院長は金命洙(キムミョンス)氏だ。

一昨年9月に文氏が大抜擢した。

金氏は「ウリ法研究会」の一員で「親北朝鮮、反日反韓国」の極左思想の持ち主だ。

金氏を大法院長に任命したときに、すでに今回の判決の流れが決まったといえる。


韓国で朝鮮人戦時労働者問題の訴訟を支えるのは「法務法人ヘマル」の弁護士達だ。

「太平洋戦争犠牲者補償推進協議会」や「民族問題研究所」が支援組織として名を連ねている。

「ヘマル」の中心人物、張完翼(チャンワンイク)弁護士は、2000年に元朝日新聞の松井やより氏(故人)らと共に、昭和天皇を裁き有罪にした女性国際戦犯法廷を開催し、検事役を務めた。

また、民族問題研究所は親北朝鮮の完全な左翼集団である。

留意しておくべきことは、文氏が大統領選挙に出馬したとき、法務法人ヘマルが全面的に支えたという事実だ。

後述するように、朴槿恵前大統領を弾劾して行った選挙はまさに「革命」と呼ぶべき異常なものだった。

その異常な選挙を乗り切るのに法的支援をしたのが法務法人ヘマルだった。両者はまさに一心同体と言えるのではないか。


こうしてみると大法院を支配する価値観と、戦時労働者訴訟の原告団を支援する勢力の価値観は重なる。私たちはこうした人々相手の尋常ならざる闘いに直面しているのだ。

右のような陣容で裁判をおこし、その中で下された判決を、韓国側は三権分立を盾にして日本も尊重せよと言う。

だが日本にも最高裁が存在する。

日本の最高裁は朝鮮人戦時労働者の件はすべて解決済みと判断した。

日本も三権分立の国だ。日本政府も日本の最高裁判決に従わなければならない。その事実を、韓国政府こそ、認識すべきであろう。

現在の韓国政府にはいちいち違和感を覚えるが、日本で発行されている韓国の週刊新聞、

『統一日報』の1月1日版に韓国の常識派の論文が複数、掲載されていた。

そのひとつが、ソウル大学経済学部教授を経て、昨年から「李承晩学堂」の校長を務める李栄薫(イヨンフン)氏の講演である。

李氏は「反日種族主義を打破しよう」という題で語っている。

李氏は「精神文化の遅滞が、20世紀の韓国史を貫通してきた」と断じ、20世紀の韓国の近代化を、韓国人は「無賃乗車」で成し遂げたと指摘する。

「近代文明の法、制度、機構は日本の支配と共にこの地(韓国)に移植された」のであり、国が滅びたのも国を建てたのも「自力」ではなかったと、韓国人が一番聞きたくないことを、李氏は語っている。

精神文化の遅滞

それでも韓国がこの70年間大きな成果をおさめたのは、李承晩、朴正煕両大統領をはじめとする「創造的少数」の功績だと李氏は続ける。
その上で韓国がいま、失敗の中にあるのは「種族主義」のためだと言う。

種族主義とは何かと、『統一日報』担当者に問い合わせると、民族主義以前の閉鎖的で遅れた段階を指すとの説明だった。

李氏は、そのような精神文化の遅滞ゆえに、韓国は

「国際感覚において不均衡」、

「日本に対しては無期に敵対的である反面、中国に対しては理解できないほど寛大だ」と分析する。

もうひとつ『統一日報』には、前大統領、朴槿恵氏の弾劾及びその後の有罪判決に関して、非常に重要な論文が掲載されている。

朴槿恵氏は過日、32年の懲役刑を下された。

66歳の氏は、98歳まで獄に留め置かれるということだ。

このような結果になった朴氏弾劾事件を同紙は、「韓国憲政史上、最も恥辱的な出来事」と痛烈に非難している。

弾劾の引き金となった唯一の物的証拠が「タブレットPC」だったが、これは後に偽物だと証明された。


このPCへの疑惑を提起したジャーナリストは逮捕され、実刑を言い渡された。

どこを調べても朴氏は一ウォンのお金も不正に得ていなかったが、韓国司法は朴氏に罰金200億ウォン(約20億円)を宣告した。

収賄の証拠が皆無だったために、裁判官の心証に基づいて「暗黙的請託」という新たな論理をひねり出し、重罪に処するために韓国の刑法にない「国政壟断罪」も急遽作り出した。

弾劾から裁判に至る過程を見れば背後に広範な工作があり、それは北朝鮮との共謀関係の中でこそ可能だったと思わせられる。

論文には「韓国では嘘をつくことは、特に左翼勢力の嘘はほとんど処罰されない」と書かれている。

こんな国が文政権下の隣国だと肝に銘じつつ、常識と良識を備えた韓国人の存在も忘れないようにしよう

米朝合意で「日本が孤立する」は本当なのか

2019-02-14 17:14:38 | 日記
米朝合意で「日本が孤立する」は本当なのか


高英起 | デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト


問われるのは「独自の力」

昨年6月に続き2回目となる米朝首脳会談が、27~28日にベトナムで開催される。

ここで米朝が何らかの合意に達し、米国が北朝鮮の非核化を待たずに制裁緩和を認めた場合、「制裁の旗を振ってきた日本は、孤立してしまうのではないか」との懸念が一部で出ている。

少し前には、対北融和になる韓国に対する「パッシング(素通り)」が指摘されていた。


「最弱」の北朝鮮軍

それが気付いてみたら、素通りされていたのは日本だった、という状況が現実に起こり得るのだろうか?

結論から言えば、日本が外交的に「孤立」するような事態は絶対にないと筆者は考える。

政治・経済・軍事的な日本の存在感は、そんなに小さなものではない。それは、北朝鮮も韓国もよくわかっている。

(参考記事:韓国専門家「わが国海軍は日本にかないません」…そして北朝鮮は)

ただ、米朝対話に向ける日本の政治家やメディアの目が、米国一辺倒で曇り過ぎているのではないかとは思う。


米国は、北朝鮮の「完全な非核化」までは制裁を維持すると一貫して言ってきたし、現在も言い続けている。

だがそれは、単なる米国が考えているだけのことだ。

米国のパワーは偉大だが、世の中のすべてが彼らの思い通りに動いているわけではない。

米国にも弱点があればミスもするし、妥協もする。

米国と「歩調」を合わせていれば、良い結果がついてくるわけではない。

米国は国益のためなら、時には北朝鮮とも韓国とも中国とも「歩調」を合わせるからだ。

日本の「独力」で

まさにその点を突かんとして、北朝鮮は核開発に賭けたわけだ。

米国が万能ならば、北朝鮮に核開発を許してしまうこともなかっただろう。

実際、金正恩党委員長の「核の暴走」を、指をくわえて見守り、核兵器の「完成」を許してしまった。

そのあげくに話し合いの場に出てきたわけだから、対話の場で米国が北朝鮮を圧倒するなどと言うことは、そもそも無い展開なのだ。

そもそも論を言うならば、米国が掲げていた「CVID」――完全かつ検証可能で不可逆的な非核化――などというものは、ほとんど実現不可能な構想だ。

特に「不可逆的」はあり得ない。

どのような検証を行っても、北朝鮮には核開発のデータとノウハウは残ると見るべきだ。

しかも同国には天然ウランがある。

独裁体制が続き、最高指導者が「もう一度やるぞ」と決断すれば、いつでも核武装プログラムは再始動できる。

金正恩氏は、非核化は約束したが、無条件降伏をしたわけでも武装解除にも応じたわけでもない。

米国が、自国に届く大陸間弾道ミサイル(ICBM)の廃棄を優先し、日本を射程に収める短・中距離弾道ミサイルは残ってしまうのではないか――日本国内には、これを懸念する声もある。

しかし北朝鮮は、それぐらい残すのは当然だと考えているだろう。

周辺の国々は、世界最強レベルの軍備を整えている。

非核化後の自国の軍隊の貧弱さを考えたら、いざという時の「飛び道具」は残して置かなければ不安だ。

(参考記事:金正恩氏の「ポンコツ軍隊」は世界で3番目に弱い)

日本は決して、東アジアで「軍縮」をリードしているわけではない。

それは主権国家の権利だし、その行動にはそれなりの理由があるだろう。だが、それは北朝鮮も同じだ。

(参考記事:「世界は日本を警戒すべき」…北朝鮮が「いずも」空母化に猛反発する理由)

結論を繰り返すが、米朝首脳会談でどのような合意が生まれようとも、日本が「孤立」するようなことは絶対にない。

ただ、北朝鮮に弾道ミサイルを撤去させたり、拉致被害者を取り戻したりしたければ、それは米国に頼るのではなく、自分の力で実現させるしかないというだけのことだ。



高英起

デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト

北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。

関西大学経済学部卒業。98年から99年まで中国吉林省延辺大学に留学し、北朝鮮難民「脱北者」の現状や、北朝鮮内部情報を発信するが、北朝鮮当局の逆鱗に触れ、二度の指名手配を受ける。

雑誌、週刊誌への執筆、テレビやラジオのコメンテーターも務める。

主な著作に『コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記―』(新潮社)『金正恩核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』(宝島社)『北朝鮮ポップスの世界』(共著)(花伝社)など。

近著に『脱北者が明かす北朝鮮』(宝島社)。

人口「時限爆弾」抱えた中国、急速な経済成長率低下の危機に

2019-02-14 15:13:25 | 日記
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Sent: Thursday, February 14, 2019 3:11 PM

Subject: 人口「時限爆弾」抱えた中国、急速な経済成長率低下の危機に

勝又壽良

一人っ子政策が危機の原因

10年遅れ日本の後を追う

人口減が海外戦略を狂わす

出生率低下による3大問題


現在の中国は、建国以来の潜在的な危機を抱えています。

出生率の急低下という問題です。

過剰人口に悩まされた中国は、1979年~2015年までの36年間、「一人っ子」政策を実施して人口増加にブレーキをかけました。

それが、結果として行き過ぎてしまい出生率の急低下を招いています。


人口問題は、一般にはなかなか理解されがたいものです。

日本もその轍を踏んでおり、出生率の引上げに躍起となっています。

幼児教育から高校・大学の授業料無料化まで、膨大な財政負担によって、日本の発展を支えようという大構想です。

中国の場合、日本よりもはるかにその対策が遅れています。

聞き慣れた言葉になりましたが、合計特殊出生率(一人の女性が生涯に生む子どもの数)は、日本が1.4人台です。

中国は2015年に1.05人という数字が算出できる関連データを発表以来、その発表を中止しました。

それは、合計特殊出生率が1人を割る事態になって、あえて中国の「弱点」を公表するまでもない、という懸念によるものと見られます。

人口は、安定的な社会保障や年金制度の維持という観点から、横ばい維持が理想です。

それには2.08人という合計特殊出生率が必要です。

日本では、2025年までに1.8人の目標を立て、人口1億人維持を目指しています。


中国は現在、合計特殊出生率が1人を割っていると見られます。これは、中国の将来に最大の潜在的な危険要因を抱えたと言えます。

合計特殊出生率は、一国経済の潜在成長率に大きな影響を与えます。

人間は、生産の主体であり、消費の主体です。労働力不足はロボットなどが代替できます。

ロボットは、消費をしませんので、経済の均衡ある成長に寄与しないのです。

経済発展と社会保障充実には、人口の安定的な増加率が欠かせない理由です。

一人っ子政策が危機の原因

人口が純減状態になれば、年金制度が維持できません。

中国のように社会主義を標榜している国家では、年金によって老後生活を保障せざるを得ません。

中国は折りに触れ、社会主義の体制的優位性を強調してきた手前、これを裏切ることは共産党の権威を自ら貶める結果となります。

その公約は、人口高齢化で働き手が減れば維持できないのです。

「一人っ子」政策が、皮肉にも中国共産党の将来を揺さぶる要因になってきました。

中国は、2050年頃を目途にして米国の覇権に挑戦すると宣言しました。

米中貿易戦争の裏には、この覇権をめぐる米国の拒否姿勢が色濃く投影されています。

中国が、その2050頃に人口動態面で、どのような落込みになっているか。それが、カギを握るでしょう。

この問題は後で取り上げますが、現在の国民の平均年齢は、米中ともに37.4歳です。

合計特殊出生率は、米国が1.82人(2016年)。

中国も公式では1.62人(2016年)としていますが、信憑性に乏しく信頼できません。

現実は、1人を割っていると推測されているのです。


米中の平均年齢が現在、同一レベルにあります。かつ、中国の合計特殊出生率が、米国を下回っている点を勘案すると、次のことが予測できます。

1.中国は、米国よりも早く人口高齢化を迎える

2.中国の潜在的成長率は、米国を下回る事態を迎える

3.米国は移民社会であるので、移民を受けいれて出生率を引上げる余地がある

このように中国は、米国と比較して不利な状態に置かれています。

米国の覇権を狙える人口基盤が存在しないことになるのです。この点は、きわめて重要ですので記憶に止めていただきたいと思います。

中国の普通出生率は2018年、1000人あたり11人を下回りました。

1949年の中華人民共和国建国以来、最低の水準となって衝撃を与えました。

2018年の出生数は17年比200万人少ない1523万人でした。

2年連続の減少で1980年以降では最も少ない出生数になりました。

中国政府系シンクタンクの中国社会科学院は、中国の人口は2029年に14億4000万人でピークに達し、50年までに13億6000万人に減るとの予測を発表しました。

これは、生産年齢人口が2億人程度減少する可能性を意味しているのです。

中国政府は、2050年頃に米国覇権へ挑戦するという国家目標を打ち挙げました。

その時点で、生産年齢人口が2億人も減っており、中国の経済成長率が急減速しているはずです。


片や米国は、移民を増やせば労働力を確保できます。

どうみても、中国は米国に比べて不利な状況に置かれています。

中国はなぜ、米国に代わって世界覇権を握りたいのか。その理由が不明です。

習近平氏は、民族主義者です。

かつて清国が、世界一の富を手にしていた国であったから、現代中国もそれに倣って復興させたい。

そういう意味でしかありません。

それによって、中国国民が幸せになれるというものでないのです。


国は、GDPの規模でなく、一人当たりGDPの高さが、国民生活の幸せを図る尺度になっています。


習氏は、国家目標をGDPの規模に置くという誤解をしているのです。

10年遅れ日本の後を追う

昨年の普通出生率が11人を割ったことは、容易ならざる事態の到来といわざるを得ません。

将来の経済成長率が、ガクンと低下するからです。

中国国家統計局が発表した先の出生率データによると、16~59歳の生産年齢人口比率は昨年、64%超に急減しました。

この数字を日本の例で見ますと、2007~08年のレベルに匹敵します。

日本の10年前の生産年齢人口比率まで低下してきたことは、中国経済の将来評価にあたり見過ごしにできないポイントです。

また、中国の普通出生率が11人を割ったのは、日本の1990年頃に匹敵します。

これまで、過密人口の中国というイメージでしたが、意外にも「少子高齢化」で日本に接近しているのです。

この事実をぜひ知っていただきたいと思います。中国経済の過大評価を止めて、等身大の冷めた評価をすべき段階と思います。

中国政府は、国民の不安と不満が合計特殊出生率の低下という形で、表明されていると見るべきでしょう。

もし、習近平氏が唱えるような「中華再興」の夢を共有するならば、未来を信じて子ども育てようという気持ちになると思います。

現実は、逆の結果が出ているのです。

言論の自由もない。自然環境は悪化している。

共産党員でなければ人間扱いされない「監視社会」に対して、無言で「ノー」を表明していると見られます。

人口減が海外戦略を狂わす

習近平氏の国家戦略は、中華帝国の戦略そのものです。

内政よりも海外進出を優先する戦略です。

歴史上の帝国は、すべてこの道を踏襲しました。

中華帝国は、ユーラシア大陸で版図を拡大したのです。

黄河の中原から始った漢族が現在、56の少数民族を抱える国家へ拡大したのは、漢族による周辺の少数民族を侵略・支配した結果と言えます。

習氏は、これでは飽き足らず海洋進出を始めました。

南シナ海の9割は中国領海という、根も葉もない話を作り上げ、不法な占拠をしています。

空母も3隻保有するという膨大な軍拡によって、軍事国家へ姿を変えました。

今後の国防費増加が、潜在的な経済成長率低下のなかで、中国財政を圧迫することは不可避となりました。

ここで厄介な問題が持ち上がったのです。

出生率の急低下に伴う年金財政の逼迫化です。

中国財政は今後、軍事費と年金を含む社会保障費の綱引きが始ります。

社会主義国家を看板にしている以上、国民にそれにふさわしい年金を支給する義務が発生します。

国民に選挙権も与えず、一方的な命令で政治を行なっている以上、国民は「当然の報酬」と考えても不思議はありません。

中国の平均退職年齢(作業員は50歳、女性管理職が55歳、男性管理職が60歳)は世界的に見てもかなり低いのです。

職業的に経験豊富な多くの人々が、まだ十分に勤務可能であるにも関わらず退職しています。

年金を受給しながら老後を楽しむことを選好し、それを実現するのが政府や社会の義務だと考えているからでしょう。

そう言えば、老後は子どもの面倒になることが、理想的な生涯という考え方もあったのです。

これは人材面でもったいないことであり、若い労働者が支えなければならない引退者がさらに増えることを意味しています。

日本では、年金支給開始年齢を現行の65歳から70歳に引上げる案が検討されています。

これは、日本人の勤労観が中国と全く異なるからでしょう。

日本人は、元気な間は働きたいという人が圧倒的です。

それでも日本の場合、年金制度は絶えず改革の対象になっていますが、中国ではそれすら話題に上がらないようです。

国家目標が、内政問題よりも世界覇権獲得という国民生活からかけ離れたところにあるからだと思います。

中国の将来の年金は深刻です。

鍋の底が抜けたような、突然の出生率低下が起こったからです。

昨年の普通出生率は、11人を下回って1949年の建国以来という最低の水準となりました。

この出生率低下が、年金財政に与える影響は甚大です。

人口推計における出生率低下は、今回のように急激な変動を計算に入れていません。

なだらかに下がって行くことを想定しています。

それが、前述のように「急落」しました。年金財政への影響は計り知れません。

中国の場合、これが原因で社会騒乱に発展する恐れが、十分あるのです。

退役軍人が、年金支給額に不満を持っており、頻繁にデモ行進を行なっています。

これが、民衆の参加する「年金デモ」に拡大された場合、「軍民合同デモ」となれば面倒な事態になります。こういう偶発的な問題が予想さ

れるほど、中国の年金財政はお寒い状況にあります。

米コンサルティング大手のKPMGによると、中国の年金原資は2015年のGDPの14%程度にとどまっています。

一方、米国は同121%です。米中の差は約9倍も開いています。

肝心の年金原資は、中国ではほとんど増えないという考えられない傾向にあります。

中国の最大の年金ファンドは、2012~16年、年平均2.5%しか運用益を上げていません。以上は、『ロイター』(1月24日付)の記事から引用しました。

中国では、資本規制が厳しく行なわれています。

外貨準備高が減らないように網を張っている結果ですが、年金ファンドの運用でもこの規制対象になっています。

従って海外での運用が難しいのです。

米国は、効率的な資本運用のメッカです。縦横無尽な運用で成績を上げていけるのです。

ここでも、中国の閉鎖的な金融システムが障害になっています。

出生率低下による3大問題

中国の出生率急低下がもたらす意味をもう一度、整理したいと思います。

第一は、潜在的な経済成長率の低下問題です。

合計特殊出生率の低下は、中国において顕著にGDPを押し下げる要因に働くでしょう。

国有企業中心の産業構造であり、もっとも生産性上昇に寄与する民営企業が補完的立場に追いやれています。

民営企業は税収の5割、GDPの6割、都市雇用の8割と言われるほど、中国経済では重要な役割を果たしていますが、正当な扱いを受けていません。

第二は、現役世代の年金負担の増加です。儒教社会では、「老いては子に従え」で子どもの世話になることを一種の美徳と考えてきました。だ
が、政府の「一人っ子」政策で、老後は国家が面倒を見る形に変ってしまいました。遅

くも60歳でリタイアして、趣味で暮らす生活を理想型にしているのです。こ

れでは、人的資源面で大きな損害を発生させます。

出生率の急落は、現役世代の年金負担を増やして生活のゆとりを奪うことになります。

これが、さらに、出生率の低下を招くという悪循環に陥るリスクを発生させます。

第三は、中国のような巨大人口国家は、海外での領土拡張が可能なイメージを与えます。

それは、現実的でないのです。

中国の国家戦略は、内政充実よりも海外に基地をつくって威容をほこる「帝国主義」的発展の針路を取っています。

「一帯一路」も、明らかにその一環です。

最近では、北極圏に位置するグリーンランドの空港建設計画への融資に関心を示していると『ウォール・ストリート・ジャーナル』(2月12日付)が報じました。

このように、中国の海外膨張政策は歯止めがなくなってきました。

南シナ海から「一帯一路」を使ってヨーロッパへ。

さらに北極圏までと触手を伸ばしています。

これを実現・維持するための財源をどうやって確保するのか。

国内では、出生率の急低下がもたらす潜在的成長率の低下と、年金財源の確保という問題が急浮上してきました。

軍拡という危険で無益な道よりも、国民が安心して老後を暮らせることに財源を振り向ける。

中国は、こういう重大な選択を迫られていると思います。